ちば環境情報センター
2002..8.5 発行    ニュースレター第61号
代表:小西由希子

目次
  1. 21世紀を再生可能エネルギーの時代に!!
  2. 「循環型社会」の構築に向けて 子ども新聞を作ってます

21世紀を再生可能エネルギーの時代に!!

特定非営利活動法人クリーンエネルギー・フォーラム専務理事 横浜市 前田 典秀

はじめに
中学生の頃から「日本は資源小国だから、海外に依存しないと1億2千万人の生活が出来ない」と教えられてきました。石油をはじめ膨大な資源を海外から輸入し、「油上の楼閣」といわれる日本型経済を築いて来ました。しかし、こうした化石燃料の消費が二酸化炭素などの地球温室効果ガスの原因となり、世界各国は今、京都議定書の批准に伴う地球温暖化防止対策に躍起となり始めています。
この取組の中心は何と言っても、二酸化炭素などの排出が極めて少ない再生可能エネルギーを急速にかつ大規模に展開し、21世紀を再生可能エネルギーの時代にすることです。

1. 一人当たり約10トンの二酸化炭素を排出 
 7月18日朝日新聞朝刊によれば、地球温暖化の原因になっている二酸化炭素(CO2)やメタンなどの温室効果ガスの2000年度国内総排出量が13億3400万トン(最新方式で計算したCO2換算)だったことが環境省のまとめでわかりました。99年度比0.3%の微増で96,97年度に次ぐ増加で、温室効果ガスの9割を占めるCO2排出量は、99年度より0.3%増の12億3950万トンで過去最高になったと報じています。
2000年度の総排出量は京都議定書の削減目標の基準である90年度当時を8%上回りました。90年度比6%削減の目標を達成するため、つまり、実際は14%を削減するため政府は3月に決定した地球温暖化対策推進大綱に新たな対策の追加が必要かどうか検討することになりそうです。

2. 再生可能エネルギー資源大国・日本、「水素エネルギー社会」に向けて
こうした温室効果ガスは、主に電気の生産や自動車の利用、生産工場から排出されています。電気や自動車は生産活動や個人の毎日の生活に無くてはならないものですが、反面、地球温暖化の犯人でもあります。再生可能エネルギーの普及によって、この犯人を早く逮捕することが重要です。
我が国には確かに石油やウランは在りません。しかし、太陽光・熱、風力、バイオマス、水力などの再生可能エネルギー資源は豊かに存在します。
@ 現在の「米の減反面積約100万ヘクタール」に太陽光発電を敷きつめると、日本の全電力使用量に匹敵する電気が生産できます。
A 海上風力発電を設置すれば、全電力の40%生産可能という試算も発表されています。
B 木質バイオマス資源や家畜糞尿・生ごみからのバイオガス資源も大量に存在します。
C 中小の河川では水力エネルギー資源の活用も可能です。
D 雪氷冷熱、温度差エネルギー、メタンハイドレードなども利用可能です。
再生可能エネルギーは「お天気まかせ」という弱点がありますが、近い将来は水素生産と結んで、保管・貯蔵することが可能になり安定し夢ではありません。
水素は燃料電池の燃料、21世紀の基幹エネルギーとして石油やウランに代わる可能性があります。今年から燃料電池自動車が発売されます。家庭用の燃料電池(自宅で発電・熱利用)も数年後には実用化します。
21世紀は「水素エネルギー社会」となる大きな可能性があります。

3. エネルギーをわが家で創ることから。 1ヶ月の電気代が23円に。

  北海道苫小牧の山川明美さんは十数年前から省エネルギー、創エネルギーに取組み
 @ 1989年、電力会社との契約アンペアの切替えやスイッチを小まめに切るなど、誰にも出来る省エネルギーに取組みました。
 A 1993年53Wの太陽光発電を屋根に設置し自家消費し省エネルギーの取組推進。
 B 2001年130W×8枚の太陽光発電を新設し、北海道電力に売電を開始。
 C 2001年6月は買電68kWh・1,839円、売電67kWh・1,816円、差引き1kWh・23円、6月1ヶ月の電気代が23円でした。北海道の気候を考えても年間電気料は10,000円以下になるそうです。
二酸化炭素削減量は石炭火力発電のCO2排出量を0.97kg-CO2/kWhとすると、約2.5トンの削減を行ったことになります。こうした市民の取組が、非常に重要です。

4. 再生可能エネルギーによる「1村1万キロワット運動」の推進
 クリーンエネルギー・フォーラムが提唱する「1村1万キロワット運動」は
@ 一人一人の市民が太陽光発電など自分でエネルギー生産に係ること。自家用車を低公害車に切り替えること。
A 工場など民間事業者は新エネルギーや低公害車を積極的に導入すること。
B 市町村ごとの再生可能エネルギーの導入計画を策定し、推進すること。
C 国はこれらの取組を制度面、財政面で積極的に支援すること。に尽きると思います。結果として省エネルギーが推進されます。
@ 山形県立川町では風力発電によって町内全電力を賄う事業を推進中です。
A 岩手県葛巻町では風力発電に加えて、家畜糞尿からのバイオガス生産によるクリーンエネルギーの町づくりを推進中です。
B 静岡県御前崎町ではクリーンエネルギー・フォーラムと町民風力発電所の取組を推進中です。
など各地に広がってきています。

5. 国の支援制度の活用と地域住民の新エネルギー事業
 京都議定書の批准を受けて、5月31日「新エネルギーの利用に関する特別措置法」(RPS法)が制定されました。主な点は
 @ 新エネルギーの普及を急速に行うため、電力会社などへ一定量の新エネルギー電力の買取りを義務化する。
 A 証書の扱い、買取り価格、買取り量、契約期間などは今後定める。
 B CO2排出につながる廃棄物発電の取り扱いは慎重にする必要との国会付帯決議付。
 C 平成15年4月1日から施行する。
となっています。積極的な活用が求められます。
クリーンエネルギー・フォーラムでは地域住民の50%以上の資金で行う新エネルギー事業については(例:御前崎町民風力発電所など)
@ 建設費の補助金補助率は1/2とする。
A 電力会社との契約は入札に寄らない随意契約とする。
B 電力会社は固定優遇価格で買取る。
C 風力発電事業の場合の契約期間は17年とする。
ことを提案しています。


おわりに 「この地球は未来の子供たちからの借り物」
 100年後の2100年は私たちの孫、曾孫(ひまご)、玄孫(やしゃご)の時代です。この子供たちからの借り物である地球と地域をどうしたら良いとお考えでしょうか。皆さんと一緒に考え、行動したいと思います。


「循環型社会」の構築に向けて 子ども新聞を作ってます

千葉市美浜区 茂木 俊輔

 地元の子どもと一緒に新聞を作っています。まだ始めたばかりで、近く出すのはやっと3号目です。でも、なかなか悩ましいこともあります。
やらせるのはそうむずかしくありません。ただ、「なんで?」という不思議に思う気持ちでもなんでも、なにかを引き出して、それを新聞作りに結び付けるのが厄介です。つい、自分が前に出てしまう。おもしろそうなテーマであるほど、自分でやりたいようにもっていきたい衝動にかられます。
記事のネタは地域の話題中心です。町を歩いて見つけた不思議なものを紹介するとか、お気に入りの店を取材して紹介記事にするとか、工事現場の出入り口に立つ交通誘導員のおじさんに取材してインタビュー記事に仕立てるとか……。小学3〜6年女子を中心に20人近くの記者が、2か月に1回のペースで企画・取材・執筆を担っています。
こんなことを始めたのは、おとな社会に子どもの声をもっと持ちこみたい、との思いからです。理想は、「思いの循環型社会」を、です。まだまだそこには至りませんが……。
ホント言えば、なにも新聞を作らなくても、"いい素材"はすでに学校にたくさんあるんです。
いわゆる総合学習が始まる前から、始まってからは恐らくそれまで以上に、町を素材にした学習成果は学校の中に蓄積されています。残念なのは、成果がちっとも地域に出てこない点です。近所の小学校に行くと、町探検の成果を地図にまとめたものなんかがあって、「なんだ、こんなおもしろいことやってるんだ」と驚かされます。
それに、学校の先生は「教えるプロ」であるとともに、子どもからなにかの思いを「引き出すプロ」じゃないかとも考えます。学校での成果には子どもの思いが、冒頭のような悩みを抱えた新聞より素直に映し出されているかもしれません。そういう先生のかかわった学習成果が、学校にはたくさん眠っています。もったいない。
昨年、近所の小学校で4年生が作った町の地図を店に展示したことがありました。9人の子どもが作った計8枚の「お店マップ」です。これはよかった。店員に評判を聞くと、「みなさん見て行きますよ」とか「商店会で作った案内図よりわかりやすいって言われます」と、なかなかでした。こういう機会を、もっと増やしてほしい。学校からの情報発信力を高めてほしいものです。
子どもの声を受け止めて、現実の社会に生かしていくのは、地域のおとなの役目です。学校と地域がうまく連携して、子どもの声も地域に取り込んで町づくりをしていく仕組みができれば、と思います。自分の発した声は世の中を変えていくきっかけにもなりうるんだあ、と子どもに気付いてもらえれば、もう言うことはありません。
「思いの循環型社会」というのは、子どもの声が現実の社会に生かされて、その結果がまた子どもの社会をハッピーにする方向ではね返っていく、そんな世の中です。そういう循環の中から、自分は現実の社会とつながっているんだあという感じ、つまり「公共心」といいうるものもまた育っていくのでは、と考えています。


編集後記: 7月28日、情報の無かった香取郡栗源町,大栄町,干潟町,山田町にメダカ調査に行ってきました。いずれの町にも土水路が残っていて、メダカを見つけることができました。栗源町ではミクリが繁茂し川遊びにうってつけの場所もありました。mud-skipper