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千葉市立扇田小学校 千葉市緑区 石井 信子
2001年4月から5年生を中心に、全校児童,地域の方と共に学校ビオトープ作りに取り組んでいる。2003年の春に一応の完成をめざし、今橋や看板などの作業をしている。ビオトープ作りは「総合の学習の時間」の取り組みとして展開してきた。その様子を紹介したいと思う。
1.活動のねらい
自然体験の少ない子供たち,人間関係が上手に結べない子供たちにとって、人と自然の関係,人と他の生き物との関係をもう一度取り戻すことは大切なことだと考える。ビオトープは自然や他の生き物との共存,共感,共生を体験させる場であることをねらっている。そして、自分たちの思いを伝え、多くの人たちと共同で何かを作り上げる経験は、豊かな人間関係を生み出すと考え、ビオトープ作りに取り組むことにした。
2.学習の様子
@自然とのつながり考えるために
社会科の学習の発展で、自分たちで「究極の米作りをしよう」と花壇を田んぼに変え米作りに挑戦した。先生は地域の年長者、子供たちは「名人さん」と呼んでいる。開校6年目になる本校は、開校当時から多くの名人さんが子供たちと関わってくれている。
理科の学習でメダカを観察することになったが、昔は用水路にたくさんいたメダカも開発の波でどこを探してもいない。「メダカを見つけたい,川で遊びたい。」という子供たちの強い願いから、下大和田の谷津田に行くことになった。
当日は、ちば環境情報センターの方々の協力で、川遊び,草笛作り,フィールドビンゴ,谷津田観察などさまざまな体験ができた。子供たちは豊かな自然の中では飽きずに遊び続け、また仲間と新しい遊びを考え出すものだと感心した。
その後学芸員の方とメダカの生態と自然とのつながりについて学習したり、植物に詳しい専門家と近くの林を観察しながら、自分たちで育てる木のドングリを探したりした。ネイチャーゲームを通して、自然の循環や不思議さに気づく学習もした。自然の中で子供たちは、いろいろな発見をする。「先生、見て。これA君が見つけたんだよ。鳩の巣が落ちてたんだよ。名人さんが鳩の巣だって教えてくれたんだ。」「すごい。大発見だね。」こんな会話が次から次へと出てくる。誰かがそばで自分の発見を一緒に驚いたり、よろこんでくれるという体験は、心が開き自分に自信が持てたり、相手を認めたり開放的な人間関係を生み出していくようである。また、多くの名人さんとの活動は、学習が広がり深まるばかりでなく、その人の生き方にふれることで、子供たちはもう一度自分自身を見つめることができたのではないだろうか。
A主体的に参加する意欲を育てるために
子供たちは全校にビオトープ作りを呼びかける活動を始めた。全校朝会でビオトープの大切さを話したり、自分たちの思いを新聞に書いたりした。また、全校児童や地域の人にビオトープの意見を聞くためアンケートをとり、回収,集計。それをもとにアイディアを練っていくことにした。ビオトープ作りに賛成者は多かったが、「自然が多いのになぜ作るのか」「作った後管理はどうするのか」「自然は作るものではないのではないか」など反対の意見もあり、子供たちは何とか反対の人を説得しようと自然の仕組み人と自然とのつながりなど調べ始めた。6年生や保護者の方に自分たちの思いを発表し、厳しい質問にとまどうこともあったが、「もっときちんと調べて6年生に説明できるようにしたい。」など前向きな発言があった。子供たちは専門家や地域の名人に支えられ、意欲的にビオトープ作りに参加していた。
B多くの人との出会いを通して
子供たちのアイディアをもとに専門家にビオトープの設計をしてもらい2学期から具体的な作業が始まった。名人さんや保護者、小さい子から卒業生も手伝いにきてくれた。
アドバイザーの方がた、そして全校の子供たちが一緒に作業に取り組んでいる。普段は休み時間などを使って子供たちと職員が作業をしているが、子供たちは生き生きと取り組んでいる。「力持ちだなあ。」と名人さんにほめられはりきる子。多くの人と出会い、共に一つのものを作り上げていく過程には、豊かな人間関係が生まれてくることは確かである。
C広がる学習
ビオトープ作りは新しい学習を生み出していく。子どもたちとやりたいことを話し合った時、炭焼きや粘土で焼き物,椎茸栽培やビオトープの模型作りなどの意見が出た。学校だけでは実現できなかったことも、地域の名人さんや外部の方の協力のおかげで、どれも実現することができた。子どもたちにとっては素敵な体験となった。
D現在の様子
新年度に入り粘土張りや田んぼの土張りが6月近くまで続いた。6月には田んぼに古代米をやっと植えることができた。地域の作業日土曜日が休みになった今も、第1第3の午後に行い、地域の方の協力を得ながら進めていった。7月にはメダカの学校を開き、夏休みに希望者にメダカを育ててもらい、9月に「メダカの放流式を」を行った。中央博の学芸員の方や水草の会の方の協力を得てたくさんの水草を植えることができた。その池や川にたくさんのくろめだかが元気よく泳ぎ、いろいろな種類のトンボ達が産卵にやってきた。
今は築山に階段やスロープを造ったり、ビオストック,橋などを作っている。また今育てている木も含めて植樹したり、看板やベンチなども作りたい。来年3月には一応の完成をめざしている。
形が見えてくると、地域の名人さん達もビオトープ作りに力を入れてくれるようになった。「このビオトープがお手本となり、地域の自然にも関心を持つようになってほしい。」と話している。ビオトープ作りの考えが学校の中だけに終わらず、地域へと広がって行くようにがんばっていきたい。また、この学習を通し、自然や人,社会との関わりの中で豊かな心と、生きる力を子どもたちにつけていければと願っている。
ちば環境情報センター 千葉市稲毛区 中村 彰宏
2002年10月1日、戦後最大級とも言われた台風21号が日本各地で大きな爪あとを残しました。その報道は各地で取り上げられ、千葉市若葉区にある泉自然公園では500本を越える杉の倒木が出たということを聞いた僕は、「こういう時こそボランティアの出番だ!」と思い、『泉自然公園台風被災森林ボランティア』というイベントを思いつき、11月30日に開催しました。開催に当たっては、以下の手順を踏みました。
@泉自然公園の所長に連絡を取り、ボランティアの受け入れが可能か伺う(いくらボランティアと言っても無断で他人の敷地に入ったり、公共のものであっても勝手に手を加えることは犯罪です)。
A受け入れの許可が出たら、さらに「日程」「内容」「スケジュール」「必要な物」「事前準備」などを話し合う。
B予定が決まったら、ボランティアを募集する。
●今回の募集手段
1、募集チラシを作製し、配布する。
・ちば環境情報センターのニュースレターにチラシを同封する(チラシの同封については事務局へご相談下さい)。
・環境シンポジウム、エコメッセなどのイベントで配布する。
2、インターネットで募集する。
3、知人に呼びかける。
4、地域新聞に募集を取り上げてもらう。
Cイベントスタッフとの打ち合わせ、事前準備
Dボランティアの参加の受け付け(申し込みを必要とするイベントの場合)。
E当日の流れと準備を細かく確認し、当日に挑む。
また、今回のような野外での作業ボランティアの場合、さらに以下について気をつけなければなりません。
@作業現場の安全性 ・・ …足場や周辺環境に危険な箇所が無いか確認
A作業内容の安全性・・ …危険な作業や過度の労働、作業道具などの考慮
B保険の加入・・ …作業内容に合った保険の選択・加入
C緊急時の連絡体制・・ …病院などの場所と連絡先などの確認
D参加者の人数・年齢・経験などによる内容の修正・・ …個人に合った作業内容を用意する
E悪天候時の対応・・ …悪天候の場合のプログラム作成や中止時の連絡これらの事項は、ボランティア作業で1番起こってはならない「事故」を未然に防ぐこと、また、もしも起こってしまった時の対応を準備するためのものです。また、悪天候時の対応は結構見落としがちですが、実際に悪天候になったときに「どうしよう」とならないための防衛策です。
これらを踏まえて今回は、
1、倒木の枝払いと幹の輪切り・運搬
2、どんぐりを拾って森づくりのための苗木育成
3、倒木材を使った木のコースターづくり
を計画し、さらに公園所長のアイデアとご協力により「焼いも」「チェーンソー体験」を実施しました。
さて、肝心のボランティア参加者は、事前応募&当日飛び入り参加で、確認できただけで41名もの有志に集まって頂けました!(この他、ちょっと顔を出して頂いた方などもいます)。さらに当日には千葉日報新聞社から取材も受け、開催翌日の12月1日には新聞に大きく取り上げて頂きました!
また、今回の森林ボランティアの隠されたテーマとして、「ボランティア未経験の方にたくさん参加してほしい!」という狙いがあり、森林整備ボランティアという体を動かす分かりやすい内容に加え、木のコースター作りで記念品ももらえるという内容にしました。その狙いも当たってか、半数近いボランティア未経験の方に参加して頂くことができました!予想を上回る参加者の方々のパワーで作業も驚くほどはかどり、皆さんからも満足の言葉を頂くことができました。
今回、台風の被害で多くの木は倒れましたが、参加していただいた方々、そして参加できなくても「こんなボランティアやってるんだ」と関心を持って頂いた方々の心の中に、小さくても立派な樹が成長していった事が本当に嬉しく想い、これからも多くの方々が自然に触れ・感じ・考えられる場を創っていけたらと想いました。
でも、正直言って僕が特別な事をしたとは思っていません。きっとたくさんの人が今回の台風被害に「何とかしたい」という意識を持ったと思います。その想いを実践することは大変な苦労がありますが、誰にでもできることです。もしこの文を読み、自分が想い続けていた活動に実践への意欲が湧き上がったのならば、是非「ちば環境情報センター」に相談してみてください。ちば環境情報センターはそんなあなたの想いを応援し、できる限りの協力を惜しみません!!
第5回 白鳥に会いに行こう千葉県最大の白鳥渡来地本埜村で350羽あまりのオオハクチョウとコハクチョウを観察します。都市鳥研究会の越川重治氏を講師に、生態など分かり易く解説してもらえます。現地には京成佐倉駅から自家用車に分乗して行きます。車手配の都合がありますので、事前に参加連絡を願います。 日 時:2003年2月2日(日)10:00〜12:00 集 合:京成佐倉駅前北口ターミナル10:00 持ち物:双眼鏡,筆記用具,十分な防寒を 参加費:300円(資料・保険代) 申込み:1月31日までに電話またはfaxでTEL&FAX:043-223-7807 主 催:ちば環境情報センター |
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第20回谷津田プレーランドプロジェクト「どんど焼きと昔遊び
&田んぼの草取り」 日 時:2003年1月25日10:00〜14:00 集 合:中野操車場バス停10:00 持ち物:燃やすもの,遊び道具,弁当,水筒,敷物,軍手,ナイフなど 参加費:300円(保険代) 主 催:ちば環境情報センター 連絡先:043-223-7807(ちば環境情報センター) |
ちば・谷津田フォーラム 第7回シンポジウム「谷津田からの夢発信〜循環型社会への提言〜」 日 時:2003年2月9日(日) 10:00〜16:30 会 場:千葉県立中央博物館講堂 内 容:午前は事例発表,午後はアート,自然エネルギー,農業,生き物から見た谷津田夢発信 参加費:300円 主 催:ちば・谷津田フォーラム,ちば環境情報センター 連絡先:043-223-7807(ちば環境情報センター) |
編集後記: あけましておめでとうございます。暖冬との長期予報が見事にはずれ、厳しい寒さが続いています。異常気象や戦争の危機などいいニュースはあまりありませんが、今年もちば環境情報センターは、実りある環境保全活動に取り組んでいきたいと思います。 mud-skipper