ちば環境情報センター
2003.3.7 発行    ニュースレター第68号
代表:小西由希子

目次
  1. 普通のサラリーマンが自宅で行った多面的な環境保全策
  2.  環境ボランティアに参加して
  3. CEIC運営委員から2 ー いま、この場所に生きる 

普通のサラリーマンが自宅で行った多面的な環境保全策

千葉市中央区 角川 浩 

 千葉県に住んでいるのに、学校も職場も東京。地元と何のかかわりも持たず、それをおかしいとも思わない、あるいはしようがないと思うだけの日々。
 その一人の私にとって「ちば環境情報センター」は初めての居住地域とのかかわりでした。電車に乗って長距離旅行をしなくて済むということのほか、普段着で身近な事柄に触れることが精神的にもどんなに楽なことかを教えてくれました。
とは言うものの現役の身、中々時間は取れません。瓜生氏(ニュースレター第67号)も話されているように、たまにガソリンを使って遠くのエコイベントの場に参加するだけで、果たして?と疑問が湧きます。そのイベントが目的とする理想からすると、毎日思い立ったら10分でも参加できる方が望ましいはずです。
そんな考えから、都市周辺に住む普通のサラリーマンが最も身近な場である狭い自宅をキャンバスに見立てて一人でどの程度、多面的な環境保全策を講じることができるか、とテーマを設定して挑戦してみました。これまでに実現した内容は次のようなものです。
 ・家屋基礎工事で出る建設残土と落ち葉で作った築山と傾斜地
 ・安価な割栗石を用いた空積みの石垣 
 ・ミニ田んぼづくり(底の漏水防止材にはベントナイトを使用)
 ・雨水 コントロール装置を付加した雨水利用 
 ・太陽光発電(系統連系型と手作りの独立型併用)
 ・いくつかに分かれた池で構成される水辺空間等々。
水辺空間(ビオトープ)には同じ水を循環使用するので水質の維持に気をつけています。下水処理場のシステムをヒントに作ったろ過池や砂利でつくった沢を経由させたり、夏の水温低下策も講じてあります。鉢底水質維持装置やエアポンプ消音器というものも考案、付加しました。さらに、ミニ田んぼとは別に稲、アサザとメダカの生育の両立を可能とする小さな小さな三段棚田も作ってみました。これには遊び心で水車もつけてあります。
今般、これらの内容が「棚田のある日曜ビオトープ」(竃k斗出版03-3291-3258,1,600円)という書名で本になりました。"楽しい日曜大工"の感覚がいつか自然尊重につながればとの考えに立脚しています(厳格に園芸種やコンクリートを排斥せよとは言ってません)。水中ポンプや給排水用品の使用方法なども説明してあるので、手作りする方のハード面での参考になると思います。よかったら見てください。(ちば環境情報センターに1部あります)


 環境ボランティアに参加して

千葉市中央区 布施 昭利 

30有余年勤めた会社を早期退職した。昔から人生50年、50歳を過ぎたら自分の好きな事だけをしたいと思っていた。時間が自由に使える。旅,映画鑑賞,競馬行脚,ジョギング,油絵,読書等々・・・無為の時間は最高の贅沢なりなんて思っていたりして、2002年1月より実践した。それは心身共、解放されたようにとても嬉しく感じられた。しかしながら3月になると自分自身・家族の為だけに時間を費やされることに少し後ろめたさを感じ始めはじめた。
ボランティアという言葉が脳裏をかすめた。会社生活の中で社会貢献活動(クリーンキャンペーン,使用切手回収,ユニセフ募金等々)に積極的に参加していた経過もあり、ボランティアセンターに会員登録していた。毎月届くボランティアセンターだよりに「ちば環境情報センター ボランティアスタッフ募集」があった。
自分のためでなく、週1回位奉仕の気持ちをと応募した。主な仕事は新聞整理であった。今まで漠然としていた環境という文字。新聞の切り抜きを分類していくなかで、ダイオキシン,遺伝子組み替え,まちづくり,環境学習,農業,水系,三番瀬,生物,緑系,CO2・温暖化,新エネルギー,屋上緑化,ISO14001,ごみ問題等々、環境という言葉の裾野の広さ。ひとつひとつの新聞の切抜きの記事を読みながら、整理するのがいつのまにか学習になっていた。多分、図書館に通って環境問題をこんなに沢山読むことはなかったであろう。
これらを知識としてとどめるだけでなく実践として昨年の親子三代まつりに友人と割り箸リサイクル(使用すみの割り箸をごみではなく資源であることを知っていただく・回収量17Kg)をした。今後ともあせらず。できることから実施してみようと思っている。奉仕と思ったことが、自分自身の勉強であった。
今後も、水曜日ちば環境情報センターへ通い新聞整理は生活の一部でありつづけるだろう。そして分類した新聞切り抜きがどんな形で生かされていくのか楽しみでもある。


CEIC運営委員から2 ーー いま、この場所に生きる 

千葉市稲毛区 宮川 沙弥香 

 いつの頃からか、遠い異国の文化に憧れていた。色とりどりの民族衣装や活気あふれる市場、その土地ごとに違う生活、習慣、言葉、顔立ち、神話。世界はなんてすばらしいのだろう、と。この世界がディズニーランドの"It's a small world"のように平和であってほしい、と思ったわたしは大学で国際学部に入った。4年間かけて自分なりに見つけた答えは「いま、この場所に生きる。」ということ。(卒論もこの題でした。)憧れつづけたインドやカナダのハイダという先住民の聖地の無人島、畑の毛虫に大切なことを教わったオーストラリア、わたしのこころもからだも、あっちこっちに行ったあげくに今、やっぱりわたしは生まれ育った千葉に根っこを伸ばそうとしている。きちんといま、この場所に向きあって、めいっぱい愛そう、と思う。世界は待っていても変わらないかもしれない。だからわたしはこの小さな場所を変えていきたい。そしてそういうことがいろんな場所で起きてきて、小さな場所が集まって成り立っているこの世界が変わるのだと思う。


編集後記:台風並みに発達した低気圧が日本列島を通過した3月2日、下大和田谷津田観察会に参加しました。谷津田におりると、強風がうそのよう弱くなり、まぶしいくらいの日差しでした。前日の大雨で増水した田んぼには、メダカやアカガエルのオタマジャクシ,コシマゲンゴロウも泳ぎだし、春の訪れを感じました。mud-skipper