目次 |
千葉市花見川区 青木 清
環境対策をしようとするとき、誰でもその趣旨には賛成するのだが、具体的な話になると反対または慎重論になる。色々とその理由づけをするが、大抵の場合、根本には利害が絡んでいる。いわく、対策の費用がかかる、経済産業活動が抑制される、などである。温暖化防止のための締結国会議は環境会議とは言いながら通商色の濃い会議となっている。"環境よりも経済"というわけである。それが現実というが、本当にそうなのだろうか。
1970年アメリカでマスキー法と通称される環境保護法が成立した。その中では自動車排ガス中の窒素酸化物の濃度を当時の10分の1に削減することが求められていた。当然、日本でも同様の規制が行われようとしていた。少々技術的な話になるが、当時のエンジンは高出力,低燃費を目的として高温で燃焼していた。ところが、窒素酸化物は燃焼温度が高いほどその生成が盛んになるという特性を持っているので、排出削減のため燃焼温度を下げようとすると燃費が悪くなって、経済性が落ちてしまう。このため、当時のメーカーや専門技術者の間では、マスキー法のような厳しい規制などとても不可能といわれていた。
ところが、これを飛躍のチャンスとみたホンダでは、従来の技術にこだわらず果敢に挑戦して、CVCCという新しいエンジンを開発し、世界に先駆けて大きな壁を突き破ってしまったのである。排ガスがクリーンで燃費も良い、環境性と経済性を両立させたのである。そればかりか他のメーカーを刺激して技術競争が盛んになって、経済を活性化させ、いまや、自動車は低環境負荷が大きなセールスポイントになっている。
最近、テレビで北九州のエコタウンについての特別番組を見た。産学協同で廃棄物の資源化の研究開発を進めて、顕著な成果をあげているという。たとえば、生ごみからクリーンなガソリンを、またアルミ缶から良質なアルミ塊などの原料を製造している。評論家の内橋克人氏によれば、ここでの試みは日本の今後の産業のあり方を示唆しているというのである。すなわち、製品は現在発展途上のアジア諸国から輸入して使用の後、資源化して原料を輸出する。廃棄物処理産業は原料製造産業となり、日本の基幹産業になるとしている。
このように大気汚染対策にしても、ごみ対策にしても環境対策はいまや重要な産業として日本の経済産業活動を担う大きな柱となりつつある。
過って、環境問題は経済・産業活動の"足かせ"と見られていたものが、逆に活動を引っ張っていく"牽引車"になったのである。近視眼的な反対は止めて、長期的視点に立って正面から果敢に取り組んでいくことが望まれる。
千葉市環境事業総務課 神崎 広史
消費者が分別排出し、市町村が収集し、事業者が再生処理するというペットボトルリサイクルの制度があります。パパイヤ鈴木が踊りながら、「フタ取ってWASH♪ラベルはがしてCRUSH!」とペットボトルのリサイクルを呼びかける公共広告機構のCMをご存知ですか(3月放映終了)。フタを取って洗うのは、再生資源としての品質を維持するため。実際、飲み残しやタバコの吸殻が入っていることもあります。このため、ペットボトルの引き渡しを受けた事業者は「品質ガイドライン」に適合しているかどうか毎年検査しており、市町村毎に品質ランクを付けています。その結果、県内でも「再商品化に支障が生じる」という「Dランク」を付けられた市町もあります。あまり公にはされませんが、不名誉なことです。次に、つぶすのは効率よく回収するため。つぶさないと空気を運んでいるようなものです。収集には多額の経費がかかっていますので、ぜひ、つぶして経費を節約したいものです。CMをみて、ラベルをはがし始めた人もいますが、処理工程で分離できるので多くの市町で、はがさなくともよいルールになっています。ただし、ラベルを資源化するため「その他プラスチック」という分類に分別するというところもありますので、お住まいの市町村のごみ出しルールを確認してはいかがでしょうか。最終的にペットボトルは再生処理されて、衣料や日用雑貨などに生まれ変わりますが、資源になるからといって、たくさん使ってよいということではありませんし、資源が循環するよう、消費者が再生材を使用した製品を選んで購入していくことが必要です。なお、ペットボトル収集に多額の税金が使われていますが、今後はデポジット制度やメーカーの自主回収など、生産者の責任を強化していくことを検討すべきでしょう。ごみのことを考えるこのコラムは5回の連載を予定しています。
千葉市中央区 及川 久美子
いつもなら、憂鬱になってしまう6月。家の中もジメジメしがちです。でも、今年の我が家は違うんです!ナチュラルクリーニングをはじめてから、そうじが楽しくて仕方がないんです。それは、重曹・
クエン酸・粉せっけんだけを使った、シンプルなそうじ法のこと。重曹に消臭効果や研磨作用があることは以前から周知ですが、それに制菌作用のあるクエン酸・分解可能な界面活性剤の粉せっけんをプラスすることで、家の中のどんな汚れにも対応できるんです。
粉せっけんをぬるま湯で溶かしたトロトロせっけんと、重曹をふりかけておけば、油汚れはペロンのポイ!悩みのトイレ掃除は、重曹にティーツリーオイル(殺菌作用がある)を混ぜて振り入れゴシゴシ、クエン酸水をシュッと拭きかけ、ぼろ布でキュッキュのポイ!排水パイプも、アルカリと酸の中和反応を利用すれば、すっきり。フローリングの床や、家電の汚れ、お風呂のカビ防止にも、クエン酸水は大活躍。さらに、好みのアロマオイルを入れて使えば、部屋中いい〜香り。そうじが楽しくなる秘訣です。小さな子どもと一緒にそうじしても安心。これも嬉しい。だって、重曹もクエン酸も、食品として売っているくらいですから。
「自分の家をきれいにするために川の水を汚している。これっておかしい」と思い、市販のそうじ用洗剤を使わなくなってずいぶん経ちます。罪悪感はなくなったけど、なんとなく家の中がくすんできて、心までもやもやしてたんです。ナチュラルクリーニングは、そのどちらをも、すっきりクリアーにしてくれました。
ポイントは、使いやすいボトルを選ぶこと。この習慣が日本の常識になる日を夢見て、今日もペパーミント入りクエン酸水をシュッシュッとやってる私です。あなたもいかがですか?詳しくは本「ナチュラルクリーニング」佐光紀子著。ブロンズ社。又はhttp://www.katoko.com
をご覧下さい。(本の割引購入と、ボトルの相談承ります。043-234-3579 及川まで)
四街道市 古川 美之
「ずっと気にはなっていたけれど、まだ入ったことのない森に今日入ってみることにしたのでした・・」で始まる森の絵本。昨年の実践活動ワークショップにて提案された子どもグループの活動として、上総一宮の町田徳子さん(たまあーと創作工房主催)とともに四街道市内の里山にて実施しました。里山への子ども達のかかわりと、自然をテーマにした絵本を作りたいとの提案をつなげ、自然への関わりを、絵を描くことで体験したのです。
まずは森を感じることからはじめ、森の声を子ども達と聞いてみました。そこには大人の感じるもの以上の森のささやきを感じ、森の住人と出会います。森の住人はこれから結婚する。だけど森の将来が心配。そこで子ども達は森に入って感じたことを思い出し、森を守っていこうと決心していく。というお話です。
絵を描くことを通し、森を良く見る,体で感じる,そして人と森との関わりを改めて考える事ができました。大人も子どもも溢れるばかりの森の命を,風のゆらぎや土の香りを、暖かな日ざしの中で感じました。絵を書くことは人をとても素直にしてくれるのですね。はじめての事で不馴れの事も多々ありましたが、町田さんのおかげで完成することができました。四街道市まちづくり助成金,里山再生プロジェクト事業助成金にて印刷し、四街道市内の保育園,幼稚園,小学校に配付させていただきました。子どもたちの里山への窓口になってくれることを願っています。
千葉市緑区 高山 邦明
千葉市では谷津田や里山の自然環境の保全をめざして、平成14年度に「谷津田の自然の保全活用に関する調査」を実施しています。市では、この調査を含めたこれまでの検討をもとに、谷津田の自然の保全に関する基本方針を、今年中に決定する予定で、この調査に関する市民の意見を募集しました。谷津田の保全はちば環境情報センターとしても大きなテーマの一つなのですが、意見募集期間が2週間(5月15日?28日)と短かったため、会として意見をまとめることは残念ながらできませんでした。その替わりというわけにはいきませんが、下大和田の谷津田で活動する情報センターの運営委員個人として、意見を提出しましたので、ご紹介させていただきます。私以外にも何名かの会員の方が意見を提出されていますので、ぜひ、こうした意見が今後の基本方針の策定に生かされて欲しいものです。
谷津田の保全・活用に向けて取り組むべき課題、保全事例の紹介など、80ページにおよぶ報告書は読みごたえがあるものでした。千葉市の全ての谷津田を調査し、その自然度を数値で示していたり、開発計画の状況や圃場整備の状況なども地図上にわかりやすく表示したり、市内の谷津田の概要を知る良い資料ができたと思います。また、農家や市民へのアンケート調査も行っており、市民の大半が「谷津田の場所を知らない」という驚くような結果が出ています。
意見の募集は終了してしまいましたが、皆さんも一度この報告書をご覧になって下さい(ホームページhttp://www.city.chiba.jp/env/yatsuda/)。そして、谷津田の保全をどう進めたらよいのか、一緒に考えてみましょう。
<提出した意見書>
1.特性調査について
・GISを用いた調査は有効であり、今後の谷津田保全を進める上で貴重なデータベースが構築できたと考えられる。
・自然環境の資質について、複数の観点から定量的な調査を行い、さらにタイプ分けを実施したのは、市内の谷津田の状態を把握する非常に良い手法である。
・谷津田には稲作の継続によって維持されてきた豊かな自然があり、水田が放棄されることにより、自然環境が大きな改変を受ける。したがって、「放棄・休耕田率」が重要な環境指標・現状指標になると考えられ、今後の調査を望む。
・圃場整備や都市化については過去との比較が可能であるが、現在緊急で取り組む必要があるのは、最も豊かな自然が期待できる未圃場整備地域における放棄・休耕田の急増である。非効率な農法に頼らざるを得ないこうした地域では高齢者が先祖から引き継いだ水田を守るために細々と稲作を続けており、その多くが後継者の欠如に悩まされている。谷津田における稲作従事者の年齢、後継者の有無、若者の就農率等の調査を行うことにより、今後、谷津田についての予測可能であり、保全の緊急性を認識できると考えられる。
・土地所有者および一般市民に対する意識調査を実施したのは大変良い試みであり、興味深い。「谷津田の場所を知らない」という市民が過半数である現状を明らかにしたことは意義深い。今後も母数を増やして大規模なアンケートを行うとともに(ファミリーアンケートについては母数が示されていない)、農家に対する聞き取り調査も実施していただきたい。
・農家の高齢化に伴い、谷津田の放棄・休耕田化は急速に進行している。今回実施したような調査を2?3年おきに定期的に実施し、谷津田の状況変化をモニタリングする必要があり、市にぜひお願いしたい。
2.保全・活用方針について
・縦割り行政の問題の対策,地権者や市民団体の支援,構造改革特区の設定,都市と市民の交流,産廃問題の適正化など、必要と考えられる様々な方策が網羅されており、評価できる。ただし、個々の方策について、現状では羅列して必要性を指摘した段階であり、具体性に乏しい。各項目の実現に向けて、問題点の分析、詳細な実施計画の提示等を早急に行っていただきたい。
・保全・活用計画として、モデル事業に主眼がおかれているが、並行して、千葉市内の谷津田全体の保全に取り組むことにより、モデル事業が有効に生かされてくると考えられる(基本的な考え方や方針には含まれているが、計画はモデル事業についてのみの記述となっている)。両輪として、具体策を検討していただきたい。
・谷津田の自然環境は現在、大きく変わりつつあることから、継続的なモニタリングも保全に向けて極めて重要であり、方策に含めていただきたい(基本的な考え方には含まれているが、方針や計画に盛り込まれていない)。
・谷津田保全の意義に述べられているとおり、谷津田は千葉の人々の原風景であり、農文化の基盤となっている。そして、伝統的な農業手法によって最も豊かな谷津田の自然が維持されている。したがって、谷津田の自然を保全するにあたっては、自然そのものだけでなく、伝統的な農業手法を引き継いでいく必要がある。谷津田の伝統の記録(手法、農具、暮らし、伝統行事等)と伝承も重要な事項と考えられる。
・農家の高齢化、後継者不足により、谷津田は急速に失われている。稲作に携わる人々の年齢を考えると今後、5?10年で放棄・休耕田が大幅に増え、谷津の自然が大幅に改変されることは必至である。市として谷津田保全の緊急性を認識し、保全に向けた方策を至急開始していただきたい。
千葉市美浜区 佐々木 典子
このニュースレター創刊号の少し前より運営委員として参加しました。最初は寄稿者も少なく、私も環境アセスや三番瀬問題などについて担当しました。今一度読み返すと懐かしく思い出されます。愛称募集したのに結局そのまま70号にもなっていて、定着しているんですね。
私が環境問題に関心を持ったのは、20年位前子どもが生まれた頃になります。生協を通して水問題、ごみ問題など学習したり調査したりマイペースで取り組んできました。現在は息切れ中ですが、今年CEICは法人格を取得した区切りの年なので私自身も足元を見直す良い機会と考えています。皆様もどうぞ活動するスタッフとしてご参加ください。素晴らしい仲間が待っています!!
<事務所が移転しました>
5月26日、ちば環境情報センターの事務所が移転しました。新事務所は千葉市リサイクルバンク(旧扇屋)の前にある黄緑色のビルの2階です。JR千葉駅から徒歩約15分,京成千葉中央駅から徒歩約5分です。今まで通り月・水・金曜日の10:00〜14:00、事務局員が常駐しますので、お気軽にお立ち寄りください。
新住所:〒260-0013
千葉市中央区中央3−13−17
(右の地図をご参照ください)
TEL&FAX:043-223-7807(変更ありません)
編集後記:5月11日、緑区下大和田の谷津田で田植えをしました。老若男女55人もの方が集まり、皆どろんこになりながらも笑顔で100坪ほどの田んぼにコシヒカリの苗を植えました。5月中旬から下旬の天候不順で稲の成長が心配ですが、秋に惠をもたらしてくれることを願いつつ、今後も田仕事がんばります。 mud-skipper