ちば環境情報センター
2004.7.7 発行    ニュースレター第84号
代表:小西由希子

目次

  1. 俺のタンボを蛍とトンボでいっぱいにするぞ!−循環農法で作物と向きあって−
  2. 今年もたくさんの活動がスタート!
  3. 八日市場の里山観察会と商店街歩きに参加し

『俺のタンボを蛍とトンボでいっぱいにするぞ!』
−循環農法で作物と向きあって

八日市場市 斎藤 ふみ子 

 我が家は千葉県の北東部に位置する八日市場市の小高い丘の農家です。古いだけが取り柄の母屋は築200年とも言われています。その大きな力に包まれてか訪れた人の誰もがホッと懐かしくなると言ってくれます。農家といえばソラ忙しそうですが百姓仕事が大好きな主の性格か、カアちゃんの体形からかゆったりのんびりしてしまう農家です。
みやもと山は「循環農法」で作物に向かっています。裏庭に約三百羽の平飼いのニワトリがいます。まずそこで美味しい卵を頂きます。そして、宝物、鶏さんたちのウンチ「完熟発酵鶏糞」を作物の肥やしとしていただきます。その肥料で育てた作物(米糠や青草)を頂いてニワトリ達の餌と・・・・回ってます。循環して無駄が無いのです。
なぜそのような農法をしているのですか?とよく聞かれます。原点に返ってみると、出発は長男のアトピ−だったと思います。母乳から長男のアレル源を探るため様々な削除療法をする中、卵の反応が大きかったのかな?そこで安心な卵を求めました。それが縁で有機農法の友人と出会い始め、自分たちの農法になっていったわけです。(まあそのうちあれが駄目コレガ駄目、それも駄目、ダメダメダメ―が嫌になり、拘らずに美味しいものを感謝して頂こうということになり現在に至ります。) 
で、長男のアトピ−と言えば、削除療法の答えが出る前に誰に教えられたわけでも無く、ある日それはそれは美味しそうに庭の泥をパクパクと食べ続け、砂だらけのウンチを1・2週間していたでしょうか。気がついたら綺麗になっていました。変な赤ん坊でした。
我が家の作物の紹介をします。主の作物はお米です。一様に化学肥料は使用せず裏庭のニワトリたちの鶏糞を主に育てています。

@合鴨米 完全無農薬米です。苗作りの前段階の消毒から一切農薬使用していません。そして田の除草を合鴨にやってもらう農法です。これにたどり着くまで、ドジョウ,鯉と数年挑戦しましたが、当時夫は『この農法は田の草取りをしないですむ上、ドジョウ・鯉で大儲けだぞ!』と。
が、草はボウボウ、ドジョウには逃げられ、鯉は狸に食べられ・・・・一石二鳥どころか・・・?大失敗。しかし合鴨農法は少々手間がかかりますがかわいいので最高です。
Aホタル米 たくさんの蛍が飛び交う田んぼのお米です。除草剤を1回のみ使用する超低農薬米です。近年はこの田で糠除草に挑戦中。
Bトンボ米 ここからは多種のトンボが生まれます。赤とんぼ、シオカラトンボ・オニヤンマなど。最近は貴重なギンヤンマまでが現れています。除草剤1回と、残念ですが市全域で行われてしまう農薬の空中散布の避けられない田んぼ。
   夫は「俺の田んぼを蛍とトンボでいっぱいにして
やるんだ」と夢中です。
Cおしゃべり味噌 市内の障害者の自立を目指す会のメンバ―と作っている手づくり味噌です。地場産の丸大豆・天然塩・そして、みやもと山のお米でつくった糀のみで仕上げ土蔵でじっくりゆっくり仕込んだ絶品!
D平飼い有精卵 宝物の完熟発酵鶏糞を生み出してくれる鶏さんたちの美味しいコクのある卵です。温めたらヒヨコになる確率大。
E健康弁当 我が家の食財を中心に玄米歩合搗き米を主食としたオベントウ。野菜たっぷりの元気みなぎる献立です。これは母ちゃんと娘の合作!旨い!
Fその他 玄米餅・カキ餅・野菜・・・・
もし、この原稿を見て「みやもと山」にご関心お持ちになった方はご連絡ください。循環農法で栽培した我が家自慢の品々いかがでしょう!問題は一度食べたら止められないことです。
のんびり農家みやもと山
〒289-2103千葉県八日市場市宮本74
(0479-73-3741メールhyjff685@yahoo.co.jp 
ホ―ムペ―ジhttp://miyamoto.exblog.jp/


今年もたくさんの活動がスタート!

千葉市緑区 高山 邦明 

 7回目を迎えるちば環境情報センター実践活動ワークショップが、昨年好評だった野栄町のちばコープ産直の家で6月12〜13日に行われました。顔なじみのメンバーから初参加の方まで、総勢28人が2日間、熱く語り合いました。
初日は午前中に八日市場で有機農業に取り組んでいらっしゃる斎藤さんご夫妻の谷津田を、午後は八日市場の商店街を見て歩きました。詳しくは春山さんのレポートをご覧下さい。産直の家に戻って、それぞれの夢と今年やりたいことを出し合った後は、お楽しみの懇親会。屋外のバーベキューコンロを囲んでますます話がはずみました。斎藤さんご夫妻や近隣で農業に励む若い人たちもたくさんかけてくれて、農業の将来など様々な話題に、皆さん、夜が更けるのを忘れていました。
2日目はいよいよ行動計画づくりです。今年は谷津田を舞台としたアイデアがたくさん出て、イベントチーム,匠プロジェクト,谷津田プロジェクト,谷津田保全のシナリオづくりの4グループができました。そして、昨年度からの活動が発展したわりばしの有効活用開発プロジェクトも。どの計画もみんなの夢が一杯、しかも実行に向けてとても具体的な内容となっていて、これからが楽しみです。
ワークショップに参加できなかった皆さんも各グループの報告をご覧になって、興味を持ったら、ぜひ、情報センターにご一報下さい。参加、大歓迎です。

匠プロジェクトグループ

メンバー:南川忠男,伊原香奈子,内田拓秀,萩原真紀,中村彰宏,瓜生達哉,高山翔
谷津田の田んぼや雑木林などの自然を保全していく上で生み出された間伐材やワラなどの資源を、捨てることなく有効活用していくと同時に、工作教室などのスタッフの技術力・指導力を向上させていこうというプロジェクトです。
1.環境系のお祭りや各種イベントにて、谷津田素材を使った工作の体験コーナーや、「Made in谷津田」作品を来場者に提供して、谷津田保全の寄付を募ります。
 ※早速、8月8日のエコメッセちばにて私たち「匠(たくみ)」が登場します!!
2.谷津田保全で出た間伐材や竹を使って、炭焼きにチャレンジします。炭は、空気や水の浄化、土の活性化や、作るだけでも地球温暖化の改善にもなるという、環境活動のスペシャリスト。みんなで考えながら、いろんな炭焼きにチャレンジしたいと思います。
 ※炭焼きで使いたいので、カラのドラム缶や一斗缶、オイル缶を募集しています!
3.自然素材を使った工作の技術や指導のスキルアップのため、匠養成塾をなるべく定期的に不定期開催します。培った技術は、イベントの講師として役立てます。 (文責:中村彰宏)

谷津田プロジェクトグループ
メンバー:田中正彦,福満美代子,清水成憲,平沼勝男
下大和田の谷津田を今まで以上の生物の多様性に富んだ環境にし、それを保全して後世に残す。また多くの人にそのことを知ってもらうきっかけを作ろう、といったことを実践するために4つのプロジェクトについて話し合い、計画しました。
1.下大和田谷津田ハス田Pr. 生き物たちのために新しく池を作ります。田んぼより少し深い池です。そこにハスも育てます。レンコンの夢も?
2.下大和田谷津田物置Pr. 廃材を利用して一軒四方、立方体型の物置小屋を作ります。これを称してリサイコロハウス!? 谷津田における拠点になります。
3.下大和田谷津田看板Pr. 田んぼや手入れをした山林に立て看板を設置します。詳細は今後となります。
4.下大和田丸ごと図鑑Pr. 一昨年来、日夜奮闘中。今年こそは完成させたい。
谷津田の自然を愛する皆様、下大和田で一緒に汗をかきませんか。皆様のご協力をお待ちしております。(文責:平沼勝男)

谷津田保全のシナリオづくりグループ 

メンバー:小西由希子,高山邦明
ちば環境情報センターが下大和田を中心として続けてきた谷津田保全に向けた活動を一層充実させるために、夢のある目標を持ちたいと考え、保全のシナリオを作りたいと思います。
1. 谷津田の夢を語るワークショップの開催: 農家の高齢化や後継者不足により放棄田が急増している谷津田では同時に豊かな自然が失われています。そんな谷津田をどのようにしたら保全・復元できるのか、ワークショップで大いに夢を語りたいと思います。
2. 農業について知る勉強会の開催: 谷津田の保全を考えていくためには農地に関する法律や農政などについて知らなければなりません。新たな食料・農業・農村基本計画についての検討も現在行われており、その辺の状況を勉強したいと思います。
3. 地元農家に元気を!: 谷津田の保全には地元の農家の方の理解と協力が必要です。下大和田やこども環境講座が計画されている土気周辺を具体例として、農家とのコミュニケーションを図り、農家の方にぜひ、もっと元気になっていただけるように考えていきたいと思います。
谷津田に関心のある方の参加を歓迎します。ご連絡は高山(e-mail: kuni@eastcom.ne.jp)または情報センターまでお願いします。(文責:高山邦明)

イベントチーム
メンバー:東昭男,瓜生達哉,小西朝希子,小西岳勝,高山瑞紀,平沼ゆきの
2004年10月16日(土)に下大和田の谷津田でバリアフリーの『収穫祭』を開催します!!
今年の収穫祭は、今までとちょっと違います。
≪内容≫
・ 運動会→竹馬競争、ザリガニ釣り大会etc…
・ 野外コンサート→ワイワイ広場で。プロでも素人でも参加OK。
・ 料理→おいしいものいろいろ
・ その他→竹細工、谷津田ウルトラクイズetc…
とにかく盛りだくさんな1日です。参加者はもちろん、用意とか手伝ってくれるスタッフ、コンサートの出演者等、大募集です。  (文責:小西朝希子)

割り箸の有効活用開発プロジェクト
メンバー:伊原香奈子,内田拓秀
これまでごく一般的に行われてきた再利用の方法としての紙やパーティクルボードに 加えて、新たな利用法を開発することで割り箸の可能性をアピールできればと考え、 班として構成されました。
具体的な活動予定日は決まっていませんが、まずは、これまでメンバーが行ってきた割り箸に ついての活動の情報を報告し合い情報の共有を行いたいと思います。 また、2〜3ヶ月に一度ミーティングを行い、活動の進行状況を共有すると共に、情報を持ち合い、 有効活用方法の開発を行います。
次ページの項目は、今回のミートで出てきた割り箸の利用方法を箇条書きにしたものです。
・ 割り箸でカブトムシorクワガタムシの飼育
・ 炭化を試す(炭化技術の取得)
・ パーティクルボード:圧縮材(東京ボード工業)
・ 紙(王子製紙)
・ ペットの敷物
・ 割り箸細工         (文責:内田拓秀)


八日市場の里山観察会と商店街歩きに参加して

千葉市稲毛区 春山 秀司 

 まず午前中は、八日市場の谷津田で化学肥料を使わない稲作をしている斎藤さんと、その田んぼの周辺でイモリやトウキョウサンショウウオなどの調査をしている敬愛大学八日市場高等学校の生物教諭、八木先生の案内で里山観察会に参加しました。
斎藤さんの田んぼの説明では、以前アイガモを野犬に殺されてしまって泣きながら集めた話しや、米ぬかを利用して雑草を押さえられる事など、プロならではの苦労や知恵を聞く事が出来て「こりゃー大変だ、よっぽどのこだわりが無ければ無理だ」と思いました。
観察会のすこし前にも、下大和田で稲作をしている友人の田植えを手伝った時に
「米ぬか除草は、生き物は大丈夫なのかな?」と話していたのですが、今回実際に見ることが出来て、大量のミジンコやオタマジャクシ、次々に羽化しているイトトンボなどがいるのを見られて、疑問も一気に解決しました。
八木先生のサンショウウオの生態説明でも、人間の与えるインパクトの大きさや、食べられている虫、10センチは有る成体も初めて見ることが出来たのと、幼体が手で捕まえられるほど沢山いる良い環境の残っている谷津だということも知りました。
観察会も終わり、お昼は斎藤さんのお宅でいただきました。自称宮崎良子こと、ヨン様に夢中の明るい奥さんが作る「みやもと山の元気弁当」は、とても美味しくて一人前2個と人が残した物まで食べてしまいました。それと偶然なのですが、私の自宅で今使っている味噌も斎藤さん作の「おしゃべり味噌」だと判明しました。世の中狭いですね。
里山観察会に参加して感じた事は、斎藤さんの様な農家のお米を買う事で、多くの谷津田やそこにいる生き物を守っていける事と、観察会は、本を読むと眠くなってしまう私にはピッタリだという事でした。
午後からは、八日市場の商店街歩きをしました。
私の参加した「夏が大好き」班(田中正彦,小西朝希子,高山翔くん&瑞紀ちゃん)では、商店街の人気者らしく、歩いていると次々に声が掛かってくる産業振興課の岩城さんの案内で弓具店,和菓子店,甘味処,刃物店などを回りました。特に弓具店でのお話では、硬いハゼの木を柔らかい竹2枚ではさんで作る事や、節の間隔が均等に育つ熊本産の竹を使い、節が重ならないようにする事で綺麗に曲がる和弓が作れる事など、職人仕事をしている私にはとても興味深い内容でした。他のお店でも丁寧に説明をしてくれて、それぞれのお店が自分の仕事や商品にとても自信を持っている様に感じました。伝統があり、人はやさしく、時間はゆっくり流れている良い商店街でした。
感想を書いていたら金物店お勧めのナタがやっぱり欲しくなってきた。買おうかなー。


編集後記:今年の生物カレンダーは少し早まっているようです。千葉市緑区下大和田でのヘイケボタルは、6月14日に10個体ほど出現し、27日頃ピークを迎えたようで、7月3日にはわずかに見られた程度でした。やはり4月が記録的に温かかった影響もあるのでしょうか。みなさまの所はいかがですか。      mud-skipper