ちば環境情報センター
2005. 3. 7発行    ニュースレター第92号
代表:小西由希子

目次

  1. 新潟中越地震ボランティア体験記
  2. 「ごみ」って何なの? 
  3. 続・楢葉の白鳥現象とは
  4. 割り箸アート工作教室
  5. 千葉市緑区土気地域(小山町)の水源地に産廃最終処分場計画

新潟中越地震ボランティア体験記

八日市場市 萩原 真紀

2月の3連休に有給を少しプラスして、仲の良い友達と新潟中越地震の被災地である小千谷市へボランティア活動に行って来ました。
ボランティアへ参加した目的は主に2つです。1つ目は、実際にこの目で見てみたかったから。悪い言葉で言ってしまえば、好奇心です。そしてもし私に出来ることがあれば、何でも喜んでやらせてもらいたい、自分の元気な体と定期的に頂けるお金を有効利用したいというのが2つ目の目的でした。
さて、まず小千谷での活動拠点ですが、私たちは今回「中越元気村」というボランティア団体にお世話になりました。こちらは10年前の阪神淡路大震災の時に出来た「神戸元気村」の流れを持つそうです。私の知る限りでは今でも新潟県外からのボランティアを受け入れている数少ない団体の1つです。地元の方が笑顔で『もう貴方たちは必要ないよ』と言うまで、活動を続けるということでした。ピンクドームと呼ばれる体育館ほどの大きなテントの中には彼らの本部、ボランティア用の台所、お風呂(ほとんど手作り)などがあり、誰かがまとめて作ってくれた料理を皆で食べました。寝泊りは奥にあるキャンプ用のテントの中でします。

中越元気村ピンクドーム脇で雪かきボランティア(2005年2月12日)

次に実際の活動内容ですが、今年は19年ぶりの大雪ということでこの時期は雪掻き(地元では雪掘りと言うそうです)が1番の仕事でした。2〜4メートルも積もって、窓をふさぎ家の中は真っ暗、道がどこだかもわからない、そんな中ただひたすらこっちの雪をあっちへ持って行く、という作業をします。毎日まいにち繰り返さなければならない地元の方にとっては大変なご苦労だと思いますが、私にとってはとても楽しい体験でした。その他に愛知から団体で来ていた中高生たちは地元の子供達と雪合戦をしたり、楽器のできる人は仮設住宅で小さなコンサートをひらいたりしていました。ボランティアの本部でボランティア用の食事を作ったり、掃除をしたりという仕事もありました。春になると地震で破壊された田んぼや畑の修復などのお手伝いもあるそうです。ほとんどの仕事は本部の方に割り振られますが、雪の真っ白な世界での作業はその内容に関わらず、私にとってはどれも喜びでした。
ボランティアに行って、喜び?楽しい?と、思われる方もいるかも知れません。確かに被災地の方々の思いは私たちには計り知ることが出来ず、ボランティアという行為が迷惑になることもあり得ると思います。が、実際にお会いした被災者の方の中には、本当にお世話になったから、と言って、お酒を持って遊びに来てくれた方や、バイオリン弾きのボランティアが避難所に来てくれて、あの時地震後初めてお腹の底から笑ったよ、と話してくれたご夫婦もいました。イラクでの人質事件があった時、彼女達を批判したのは、普段イラクのことなど考えたこともないような人だと思います。本当にボランティアに仕事が出来るのか、それとも迷惑になっているのか、単なる自己満足なのか。それを決めるのはボランティア自身でも周りの人間でもなく、それを受け入れてくれる被災地の方々だと思います。とにかく私はこの数日間の体験を通し、普段にも増して、その表情や人生経験の豊かな方たちと出会え、自分自身の心の栄養になりました。ボランティアに行って元気になれるとは・・。私にとって今回のようなボランティアは、単に人生をより楽しくする方法の1つと言えるかも知れません。
最後に、今回お邪魔した「中越元気村」の皆さん、何も知らないよそ者を快く受け入れてくださった小千谷市の皆さん、千葉で私の安全を見守ってくれていた家族や親しい人たち、どうもありがとうございました。春になると近くの山ではゼンマイやフキノトウが顔を出し、カタクリの花も咲くそうですよ。素敵な自然が残っているんですね。そんな雪解けはもうすぐそこです。そんな季節になったら、またお邪魔しようかなぁ。


「ごみ」って何なの? 

千葉市若葉区 井上 健治

改めて考えると、その概念は一人一人の中でまったく違ってきます。暮らしの中でも、年齢によっても、価値観でもまったく違う扱いをされるのが「ごみ」です。
あなたにはごみでも、私には宝物、あの時はごみでも今は大事なもの、私の中でもクルクルと変わる。眼の前の、たとえばペットボトルも、ある人にはごみ、またリサイクルに使えると思う人、そしてお金に換わる大事な商品だと思う人など、今いる立場によってでも変わります。いろいろな感じ方があると思います。

地域での好事例、市原市立巽代東小学校の活動

今の時代、それぞれで責任が持たされています。個人がもてば個人の責任、行政がもてば行政の責任、処理業者がもてばその責任で処理がされる、厳しい法律の中で、ガンジがらめの中で。ただ、こんな簡単なルールを守れない大人がなんと多いことでしょう、目先の自分たちの欲のために‥。そして、人が生活している限り、無くなる事が無いのは確か。
今の焼却、埋立の処理、処分に疑問を持つ人はまだ少ないです。税金を払っているから当たり前のように、ほかに方法もないので仕方なしに、眼の前からごみが無くなるから、その先がどのように処理されるかも意識せずに捨てられていく。
自然の中では、見事なほど循環が成立していまいるのに、やっぱり、「ごみ」は人社会の問題なんです、自分達のことは自分達で考えるって事だと思います。
その中で、「ごみ」を一般廃棄物と産業廃棄物の区分よりも、資源にする、資源にしないで区別する方が分かりやすいと感じるのは私だけでしょうか。なんともヤヤコシイ世界です。本当は県外にも国外にも出せない同じ物が「有価物」や「資源材料」に変わると話が違ってくる、ごみが名札をつけているわけではないのに何でもリサイクルしよう、がその方が環境の負荷がかかる事もあります。実はリサイクルは最後に手段だと私は思います。そして廃棄物処理法、リサイクル4法の矛盾など、ごみ問題から見えてくるこの国の危機管理能力、不法投棄があってから、慌てて対策を考える、すべて後手で何かが起きないと手を打たない、これは、ごみ問題だけでなく、すべての環境?問題に通じる事ですね。
いまや各地で、ごみ問題などのセミナーや講演会が盛んに行われていますが、地域で実際にその場でのごみ減量を行動し、ある程度の考え方をまとめないとなかなか進むものではないのではないでしょうか。地域によって、抱えている問題、解決方法が違うと思います。それこそ、ご近所の底力を見せるときがきているのでしょう。
最近、江戸時代の循環型社会が注目を浴びていますが、真意はそこに戻ることではないと思います。将来が見えないとき、過去に生きた人々のことを知り、その生き様に、そこに自分の姿を重ね合わせることで、未来へのアイデアが見えてくることだと思います。
「社会そのものが病気」がようやく皆さんの意識の中に見えてきだしていると感じます。


お花見会場で割り箸回収! ボランティア・スタッフ大募集!!
春のあたたかい陽射しの下、桜の花を眺めつつ割り箸回収をします。
今回は、他団体の方々にも御協力いただいて、花見の宴を盛り上げるパフォーマンスも展開します!踊りや手品なども交えて割り箸リサイクルのアピールをしましょう!どんな割り箸回収になるやら・・?!
企画、当日の会場設営・運営、割り箸分別のナビゲーションなど、お手伝いして下さる方を募集しています。お花見ついでにちょっとボランティア、も大歓迎!
わたしたちと一緒に資源を大切にするココロを伝えてみませんか?
ちば環境情報センターまで、ご連絡ください。お待ちいたしておりまぁす!!

日 時:4月3日(日) 午前11時〜午後3時(短時間でもOK)
場 所:千葉市の亥鼻公園(千葉城のある公園) お花見会場
主 催:ちば環境情報センター  TEL&FAX 043-223-7807 
担当:割り箸リサイクルプロジェクト 岩丸・伊原


続・楢葉の白鳥現象とは

東京都文京区 荒尾 稔

先月号で、過重な餌付けによる生き物の自立喪失を「楢葉の白鳥現象」と名付けましたが、この話には続きがあります。
福島県双葉郡楢葉町の大堤,いわき市の夏井川、そして千葉県本埜村、いずれも高濃度餌付け白鳥群で知られていますが、そのいずれでも昨冬から生活環境に大きな変化が生じています。

栄町新海さんの田んぼに飛来したマガン(右端)とコハクチョウ
(2004年1月17日 田中正彦氏 撮影)

朝の餌を廃して、給餌を1日2回から1回に減らしたのです。白鳥群はイヤでも採餌地を探しだします。結果として、朝から白鳥群は餌場を求めて、大挙飛び立ち、昼間はほとんど姿を消しています。でも夕方までにはすべて戻って餌にありつくように行動が変わってきました。特に幼鳥を引き連れた若い夫婦白鳥には、効果的と言うことです。お腹を減らした幼鳥にせっつかれるために、親が近在の餌場を探し出す行動を起こす誘因となります。
これは、最初夏井川白鳥を守る会の小野会長さんが始めたことで効果抜群。昨年まで1日中餌場前に400羽も滞留していた白鳥が1〜5羽を除いて、近在の国道の両側の田んぼに数群に分散して採餌を始め、真っ白に見事な光景とのことです。
雨で水のたまった畦の間で主に落ち穂を食べているとのこと。これを聞いて、本埜村でも昨年同様なことを行って、栄町の新海さんの田んぼへ移住する個体群(50羽程度)が発生しました。今年は、周辺に餌が豊富です。現在57羽程度が北印旛沼の河畔や新海さんの田んぼへと昼間飛来しています。
朝、餌を断つことで、昼間の採餌が不十分であっても、夕方の給餌がありますのでねぐらと、体調管理での餌付け機能は崩れません。効果として、給餌の絶対量が大幅に減少し、管理する側の負荷が軽減され、結果、餌等の費用が軽減されます。
昼間の観光客からの餌を期待して居残るか、自分で探すかの選択をすることで、多様な生き方が選択されます。なによりも餌付けではなく、自立してきちんと生活能力を身につけた白鳥となります。


割り箸アート工作教室

船橋市 長 正子

2005年2月26日(土)の午後、ちば環境情報センターで割り箸アート工作教室が開かれました(主催:ちば環境情報センター)。
毎日あるいは1週間に1回くらいはお世話になる割り箸。でもその由来や行く末は、気になりつつも目をつぶってしまって捨てている人も多いのではないでしょうか?講師の小池正孝氏は、自分の家で使用した割り箸を「もったいない」という気持ちから、ずっと取っておいたそうです。定年になった後、身近な材料を使った彫刻やアートを作りたいと思い、割り箸から大きなタコやヒラメやハマグリなどの海の生き物を作るようになったそうです。なぜ、魚かというと、人類はたかだか何万年しか生きていないけれど、魚は地球が誕生してから、何億年と生きている生物であり、好きだからだそうです。その作品はまるで生きているような躍動感があって、とても割り箸から作られたとは思えませんでした。参加者は年配の男性から小学生の男の子、主婦などで、割り箸を利用した作品にたっぷり2時間、挑戦しました。
割り箸はいまや年間で230億膳も使用され、ほとんどが海外(中国が中心)から輸入されるそうです。そのほとんどは間伐材ではなく、樹齢20年以上のポプラやカバの木で、それらを輸入することは輸出した国の森林破壊と砂漠化をもたらします。かつて割り箸は国産の間伐材を使うので、いいのだ、という論調もあったけれど、今はそういう状況ではないということです。
たった一度の食事のために捨てられる割り箸は飲食店でも嫌われ者だとか。
「もったいない」という言葉を、−ケニアの環境運動家マータイさんが日本から学んだとおっしゃったそうですが、一回で捨てられる紙袋や割り箸も「もったいない」の典型ではないでしょうか?日本の消費スタイルをそろそろ変えるべき時期にきているのではないかと思いました。なお割り箸は三膳で、ハガキ1枚(A4コピー上質紙1枚)に再生できるのだそうです。割り箸プロジェクトは飲食店の回収にも力を入れています。使った割り箸はゴミではなく資源です、という言葉が印象に残りました。


千葉市緑区土気地域(小山町)の水源地に産廃最終処分場計画

プロジェクトとけ事務局長 千葉市緑区 川本 幸立

「水源地として、房総半島の北総と南総の中間、また東京湾側と太平洋側との分水嶺をなし、千葉県全体の自然保護の要の地」(県立中央博・中村俊彦氏談。朝日新聞97年8月30日)と言われる土気地域で、川崎市の業者が、小山町の谷津田の台地部分に産廃最終処分場(安定型)設置の許可申請を千葉市に出したことから、地元住民からの反対の意見書、要望書が千葉市に多数提出されています。

計画地である千葉市緑区小山町谷津田の台地
(2005年2月11日 高山邦明氏 撮影)
生き物いっぱいの小山町谷津田では2003年,2004年ちば・谷津田フォーラムによる「こども環境講座」が実施された (2004年10月2日 田中正彦氏 撮影

@生活用水、農業用水を地下水、絞り水に依存した生活をしていること。また周辺ではオオアカウキクサ,メダカ,アカガエルなどが生息していること。
A安定型処分場をめぐる環境汚染,健康被害の事例が全国各地で発生しており、土壌汚染,地下水汚染,空気汚染による環境や健康への被害が危惧されること。
B土気地域の産廃処分場銀座化が心配されること。
などの意見がだされています。一方、水環境や動植物などの調査は行われてはいません。
関係方面から情報を収集したところ、業者側が、関係地域住民の2/3以上の同意を得ていないなど市の設置要綱が定める事項を満たしていないこと、赤道を市の許可や利用者の同意もなく勝手に「移設」していること、地元に事実に反する説明をした疑いのあることなどが判明しました。
廃棄物処理法などの公法の基準が不十分である現状において、汚染や紛争を未然に防止する当面の対策としては、水源地への立地規制や、廃棄物処理法の手続きに入る前の許可手続きとして地域住民の合意などの参加権を保障する制度を整備することが緊急の課題と思われます。その次は、産廃として排出された後の「事後処理」(焼却・埋立)ではなく、欧米で浸透しつつある「ゼロ・ウェイスト」や資源回収を定める生産者責任制度を自覚的市民の力で法令化することだと考えます。


編集後記:2月5日、ニュースレターにイラストを描いてくださっている、こまちだたまおこと町田徳子さんがめでたく結婚しました。今回は新婚旅行先の奄美で出会ったたくさんの生きものをイラストにしてくださいました。特に貝ひろいの毎日は幸せいっぱいで、たくさん拾って研究したいとの話でした。お幸せに。 mud-skipper