ちば環境情報センター
2005. 4. 6発行    ニュースレター第93号
代表:小西由希子

目次

  1. 学生主体のISO運用〜千葉大学の環境ISOへの取り組み
  2. 「まちの自然観察と植物スケッチ」に参加して
  3. 『わりばしな午後』の実施報告
  4. トワイライト映画上映会『東京原発』報告

学生主体のISO運用〜千葉大学の環境ISOへの取り組み

千葉大学 千葉市稲毛区 高柳 幹矢 

 「ISO14001(環境ISO)」は、環境マネジメントシステムの国際規格です。事業者の環境負荷の削減と管理のため、統一的な規格を定めています。近年では、多くの企業などがこの規格を取得しています。千葉大学では2005年1月、ISO14001を認証取得しました(西千葉キャンパス)。
千葉大でのISOの大きな特徴として、『学生主体』という点が挙げられます。千葉大での環境ISOの取得と運用には、「環境ISO学生委員会」という組織が重要な役割を担っています。この委員会は、千葉大での環境ISO取得の話が本格化してきた2003年10月、学生有志によって設立されたものです。私も、この当時から学生委員会に参加し、微力ながらISO認証取得に向け活動を行ってきました。

 学生委員会は、大学事務局や各組織との協力体制のもと、千葉大学のISO取得の中心的部分に関与してきました。取得に当たっては、大学でコンサルタント等を一切雇わず、そうした役割の多くの部分を学生委員会が担当しました。例えば、環境マネジメントシステム(EMS)の基幹となる運用システムを規定した「環境マニュアル」を学生委員で分担して執筆したり、すべての一般学生・教職員に対して千葉大の環境ISOの仕組みや役割を説明する「基礎研修」の講師を担当したりしました。また、EMSがきちんと運用されているかを確認する「内部監査」では、教職員の方と共にほとんどの学生委員会のメンバーも監査員として監査チームに加わり、実際に各学部等を回りました。
初期の頃は、多くの学生委員は環境ISOに関する知識も少なく、常に手探りの状態で活動を行ってきました。知識を身につけるため、講師を招いての公開セミナーや、自己学習会を行うなどしてきましたが、2004年度からは効率的な必要知識の修得と、活動の継続・安定化を図るため「環境マネジメント実習」という科目が開講され、委員会活動の単位化が行われました。このような大学側との綿密な連携が、学生主体によるISO取得の成功の一つの要因ではないかと思います。
とはいえ、今後に向けた課題も多くあります。環境ISOの基本理念として「継続的改善」があります。システムを構築した後、それを継続的に運用・改善していくことこそが最も重要なことなのです。活動を今後も継続的に改善していける体制づくり、それが学生委員会にも欠かせないことであるといえるでしょう。今年度は、園芸学部のある松戸キャンパス等にも範囲を広げることが決まっています。さらなる環境改善にむけて今後も活動を行っていきたいと思います。   (千葉大学環境ISO学生委員会HP   http://chiba-u-siso.xrea.jp/index.html)


「まちの自然観察と植物スケッチ」に参加して

大網白里町 平沼 勝男 

  2005年2月11日(祝日)里山レンジャー養成講座第5弾「まちの自然観察と植物スケッチ」(主催:ちば環境情報センター)に参加しました。講師は自然観察指導員・デザイナーの高野史郎先生です。
当日はどんよりとした曇り空、雨こそは降らなかったものの肌寒い天気でした。当日の参加者は15名ほどでした。集合場所の千葉市市役所前で挨拶のあと早速花壇に咲いていた菜の花について高野先生から簡単なレクチャーを受けました。花びらのつき方、花の特徴、他の植物との違いなど、細かな、よく目にしても気付かないようなことを教えていただきました。

みなと公園を中心に自然観察 キョウチクトウについての蘊蓄を語る高野講師

 その後近くにあるみなと公園に移動。その道すがらにも、街路樹の個々の木についてのご説明があり、公園の中でも夾竹桃、さざんか、乙女椿、ビャクシン、ヤツデ、ウラジロチチコグサなど等、様々な植物に対しての幅広く、奥の深いお話を伺いました。
私のような植物に対して興味はあるが何も知らないという人間にとって、講師のお話はとても新鮮に感じられました。それと同時に植物に対しての基本的な観察の仕方を教わり大変為になりました。

植物スケッチのこつは・・・ 作品を手に集合写真

 今回のもうひとつのテーマであるスケッチの為に、各人が思い思いの植物を手にして、千葉市のコミュニティーセンターに向かい、部屋の中でスケッチを開始しました。何か簡単に書ける方法やコツといったものがあるのかを期待しましたが、そのようなものは無いようで、講師に教わったことは、とにかくよく見ること、これに尽きるようです。そしてとにかく描くこと。当たり前のようですが数をこなして自分で技術を身につけるしかないようです。
スケッチを始めて気付いたことは本当に細部まできっちり見ないとスケッチが描けないという事です。今回私は小さな草を描いたのですが(残念ながら名前は不明)、今までにこれほど集中してひとつの草を見た事ありませんでした。茎と葉のつなぎ目の形、葉の縁の形と色。根元に付く葉と上のほうに付く葉の形の違い、全体の形、など等。これが本当の観察なのでしょう。出来上がった私のスケッチは誰が見てもへたくそな物ですが、自分なりに頑張ったつもりなので満足できるものでした。高野先生のスケッチを見せてもらいましたが、本当にすばらしいもので、つくづくこんな絵が描きたいと思ってしまいました。
今回の受講で講師から教わったことは自然の本当の姿を見る目を養うという事ではないでしょうか。つまり観察をする目です。それが備われば如何に自然が機能的にできているのか、もう一歩踏み込んだ自然の更なるすばらしさが見えてくるという事ではないでしょうか。そのためにスケッチというのは有効な手段であると。写真にはないスケッチの素晴らしさ。紙に書き留めるという事以外にも、スケッチをする事でその物の形態観察の結果が自分の頭の中に情報として入力できるのだと。観察する目を養うことができれば、自分の人生にもうひとつ楽しみをプラスできることになると思いました。


『わりばしな午後』の実施報告

ちば環境情報センター 割り箸リサイクルプロジェクト 船橋市 成島 美憲 

 我々、割り箸リサイクルプロジェクトでは、去る、2005年2月26日に、割り箸細工工芸家である四街道市在住の小池正孝さんをお招きし、『わりばしな午後』(主催:ちば環境情報センター)と題したイベントを行いました。おやっ?と思われた方もいらっしゃるかも知れませんが、けっして誤植ではありません。「今日は、半日割り箸漬けになって頂こう」という思いを込めました。寒さが戻り、スッキリしないお天気であったにもかかわらず、大人6名、子供4名の計10名の方々にご参加いただきました。2部構成のイベントは、小池さんの講演で始まりました。

おとなも子どもも割り箸細工 作品を手に小池さん(前列中央)をかこんで

 割り箸の木目の持つ独特の風合いを生かした小池さんの作品のモチーフとなるのは、主に海の生き物達です。現在作成中の『シーラカンス』を含めて、14年間で40種類を製作され、いずれは『ドライ水族館』を創るのが目標、との事です。現在、日本で使用される割り箸の9割以上は輸入品です。輸入品の割り箸が、1膳が1円程度なのに対し、国産のものは10円程度するため、あまり市場には出回りません。でも、裏を返せば最大の輸出国である中国では、安い割り箸の生産を維持するために、労働者の賃金が安く抑えられているという事です。また、違法な伐採によるものも少なくありません。最後に小池さんは、「国産の間伐材を使う事は、中山間部の活性にも役立つはずである。日本の割り箸文化を尊重した上で、割り箸を粗末に扱う店には、行かない。と言うくらいの気構えがあっても良いのではないか」と結ばれました。
後半の工作教室でも紙漉きや、花瓶、迷路など全てに割り箸を使った作品作りで、各々、有意義な時間を過ごしました。小池さんにも講演に引き続き、割り箸細工の実演を行っていただき、小さな兄弟や以前に作品を目にされたという方が、その技に見入っていました。
3年程前に、意気投合した2人の活動から始まった割り箸リサイクルプロジェクトも、今では複数の飲食店や回収拠点として御協力いただいている公共施設などから割り箸を回収しています。回収した割り箸は再生紙の原料の一部として製紙工場に送られ、3膳で葉書1枚,10kgでティッシュペーパー15箱分の再生紙に生まれ変わっています。ぜひ皆様も、お店などで使ってしまった割り箸は、事情を話して持ち帰りリサイクル活動に御協力ください。断られる事は、先ず有りませんよ(笑)。また、この活動に、より積極的にかかわってみたいという人は、是非ちば環境情報センターまでご連絡ください。
今年度も、割り箸リサイクルプロジェクトでは、県内のイベント会場での取り組みや講演会、現在御協力いただいている回収拠点でのサポート活動の更なる充実など様々な計画をしています。どうぞお楽しみに。
では、最後に一言、「使った割り箸はゴミじゃない!!」


トワイライト映画上映会『東京原発』報告

八日市場市 萩原 真紀 

 私達ちば環境情報センター「映画班」では2005年3月5日(土)、情報センター事務所にて3回目となる小さな上映会を行ないました。参加者はスタッフも含め10名ちょっとと小規模でしたが、土曜の昼下がりに仲間と楽しい時間が過ごせました。
今回上映したのは『東京原発』。役所広司扮する格好良い都知事が東京都に原発を誘致しようとするお話です。しかも都庁の隣、新宿公園に。彼曰く、東京に原発を作れば良いことだらけです。@国のバラ撒き法により地方交付税や公共事業、原発による固定資産税が増え、財政が潤う。A職も増え、失業問題は解決され、所得税収入もアップする。B既にコンクリートジャングルである東京では地方の山や海辺の自然を破壊し、住民から漁業権や田畑、居住地を奪う必要もない。C送電線を使ってわざわざ遠くからエネルギーを運ぶ必要もない(情報センターで活動している千葉市下大和田の谷津田の様に景観も破壊します)。D70%が無駄に温排水として海に捨てられているという冷却水を熱エネルギーにして都民の生活に役立てる。−と、いう具合です。よく考えてみると○○村に作って安全だというものは、東京に作っても安全な筈ですよね。
そんな都知事の発言をきっかけに原発について都庁の各担当達が話合いを進めていくという内容ですが、その中でこの国のおかしなエネルギー政策を素人にもわかりやすく説明してくれています。まず、私の生まれた約○年前にオイルショックがありました(もちろん私は覚えていませんが)。当時、エネルギー自給率は日本とほとんど変りのなかったデンマークが、石油危機をきっかけに方向性を変え、今では風力発電の先進国になっています。では日本はどうかというと、この狭い島国にすでに50基の原発があり、2010年までに更に10基増設する計画だそうです。民間のエネルギー業界への参加は規制でがんじがらめにされ、国のエネルギー予算の9割以上が原発に使われているそうです。“日本の原発に関する情報公開はロシアにも劣る”と、1999年のデンバー国際会議では非難され、火力発電は余力の30%しか使われていないというのに“国の電力の1/3は原子力で作られている”というセリフに騙され、原発がないと生活できないと信じている人々。原発によって生まれる放射能の危険性については耳を塞ぎ、国の政策を傍観している一億人の傍観者。“国の政策を傍観しているのは賛成しているのと同じ”という言葉が印象に残りました。例えば、静岡県にある浜岡原発が地震等によって事故を起こすと、その放射能は風に乗って千葉県まで軽く届くと言われ、現にチェルノブイリの原発周辺の地図と重ね合わせると避難勧告の出された地域に私達の千葉県も入っています。
この地震大国日本に於いて1gで10億人の致死量に値するというプルトニウム(死の灰)を生みだす原子力発電所を作り続ける私達の政府と、それによって作られたエネルギーを使い続ける私達。どっちもどっちでしょう。大切なのは原発について安全性や必要性など真実を知る事、その上で自分で判断し、お日様や自然の風、波を上手に利用して自分の生活を豊かにしたいという人がいれば、それを国が応援してくれる。そんな国と私達の関係が出来ると良いなと思いました。
そんな風に原発について簡単ながらも学んだ私達(そして、この報告書をここまで読んで下さった貴方)、皆すでに映画の中の都知事の思惑にはまっているのです。そう、彼はそうやって無関心な都民に関心を持たせ、内側から国を変えていこうとしていたのです。
この映画の最後ですか?それは私達の未来かも。もし良かったら、レンタルビデオ屋さんで借りてみて下さい。尚、次回上映会は6月4日(土)を予定しています。お楽しみに〜。


     ☆☆☆   わたしのエコ宣言   ☆☆☆☆☆☆
ニュースレター1月号(90号)で募集した「今年のエコ宣言」に、会員の方から力強い宣言をいくつもいただきました。
きっと、1人1人の環境への思いや行動が、周囲の人や社会に良い影響を与えていくことでしょう。

皆様のご活躍を心より期待いたしております!!! 「雨の日も自転車通勤。エコバッグで買い物。ぬぐってから重曹でお掃除」。(市原市 南川忠男)
ゴミの減量として、生ゴミの堆肥化に努力したいと思います。土は大切。万物の命の源です。それから、今年はぜひ、トンボのヤゴをもらって(救出して)、自宅の水槽で孵したい。今年の夢ですっ、挑戦でっす。   (船橋市 長 正子)
カレーはきれいに食べて、お皿を汚しません!!洗い物の工夫をして水を節約します。     (船橋市 成島美憲)
家庭的なエコロジスト〜田畑耕作・手料理・重曹掃除・石鹸洗濯・笑顔と「ありがとう」〜    (ペンネーム、GEN)
ごみ、ごみと言い続けた1年。1割は減ったかな? 市原地域で「ごみごみ新聞」発行するぞ! (市原市 今野正子)
マイコミュニティーの環境学習活動「エコスクエアー」を立ち上げるぞ!           (佐倉市 田淵克彦)
酉女として、今までと違う羽ばたきを!そして、環境活動のプロ(?)を目指します!       (千葉市 kanappi)
グリーンコンシューマーになる!A毎日の生活でできるごみゼロ行動を見直し、新しいことにチャレンジする!  (成田市 江坂誠子)

編集後記:久しぶりにソメイヨシノの花が新入生を迎えてくれそうです。このところ3月中に咲いてしまうことが多く、卒業式に花をつけてしまった年もありました。今年はどうやら花暦どおりのようです。アカガエルに続き、ヒキガエルの産卵も始まり、いよいよ春本番です。mud-skipper