ちば環境情報センター
2005. 6. 6発行    ニュースレター第95号
代表:小西由希子

目次
  1. 佐倉市第一の谷津、畔田に危機せまる!
  2. ちょっと一息 〜デジタル生活に疲れたら〜
  3. 「地下水流動と汚染」〜佐倉保夫先生の講義をうけて
  4. 「愛・地球博」へ行ってきましたぁ!
  5. 「アルビノオタマの観察記録」

佐倉市第一の谷津、畔田に危機せまる!

佐倉市 小野 由美子 

 佐倉市西部に畔田(あぜた)という谷津があります。面積約218ha、源流部は四街道市域にあり、手繰川水系の枝沢です。生き物の宝庫として、市内で保全すべき第一の谷津です。ところが、この中流域、下流域で湿田を埋め立て、牧草地にするという計画が持ち上がり、豊かな里山・谷津環境に黄信号が点滅しています。

段差のない湿田と土水路 昔ながらの谷津田景観

   畔田の特徴とその価値
1.佐倉市自然環境調査報告書にて、自然環境の重要地域候補として選ばれている。
2.サシバ,ニホンアカガエルをはじめ、イチョウウキゴケ,オオアカウキクサ,ミズオオバコ等、貴重な動植物の生息生育地となっており、生物多様性がきわめて高い。
3.長さ3,300m全域にわたって、未整備の湿田と土水路がまとまって残存している。また湿田と土水路に段差がなく、水生生物は自由に行き来できる。
4.耕作田が比較的多く、里山景観が良好である。帯田・おだがけなど農村文化を継承している。
5.市街地に近いので、市民の憩いの場、農業体験の場、子供たちの遊びの場として十分活用できる。
6.水質調査結果により、枝沢の清浄な湧水が河川に大量に流入し、水質浄化に役だっていることが明らかとなった。こうした地域を失うと、私たちの飲み水でもある印旛沼の水質はさらに悪化するであろう。
7.佐倉市は最近ひんぱんに洪水に見舞われている。現況を改変していくと、保水力を失い、更に洪水の危険が増すであろう。

 市民活動として7年前より、米づくり、ビオトープづくりを継続しています。その他に、不法投棄の清掃撤去、農道の草刈り、野草の手入れ、湿田の整備、調査・観察等、幅広く行なっています。
 今回、大手デベロッパーが仮登記している約50haが、売却され改変されようとしています。そうなってしまえば、命の源である湧水も消滅し、谷津環境としての生き物のにぎわいは永遠に失われてしまうでしょう。このことは、生き物にとって大きな損失となるだけでなく、私たち市民にとっても、かけがえのない共有財産を失うことになります。
私たちはこれまでずっと、道路・学校・住宅地・・・と社会基盤整備の恩恵に浴してきました。しかし、生き物も含めた景観を、まちづくりに組み込むことこそ、21世紀の基盤整備といえるでしょう。人と自然が共生する場として畔田を後世に残すことが、市民の務めであると考え、現在、各方面に働きかけております。どうぞ周りの方々にもお知らせください。また、私たちの働きかけに、ご賛同いただける方はご連絡ください。グループ、個人を問いません。どうぞよろしくお願いいたします。
連絡先:TEL.043-484-5023,e-mail:onoeco@zpost.plala.or.jp(小野)


ちょっと一息 〜デジタル生活に疲れたら〜

千葉市 大友 英寿 

 コンピューターの特質は高速な計算能力と膨大な記憶力にあると思います。しかもその両方を正確に行い、自転車や双眼鏡、時計などと同様に人間の能力を補ってくれます。コンピューターがそれらの道具と違う点は、応用範囲が非常に広い点でしょうか。ワープロや表計算、通信(メールやウェブ)、画像・映像処理や音楽などから、遺伝子解析や流体力学などの高度な科学技術計算まで、様々な分野で活用されています。また、ゲーム機や携帯電話も立派なコンピューターです。それらを含めると、利用者数および各利用者がコンピューターに注ぎ込む時間数は年々、増加しているように思います。

夏のほっとするひととき
千葉市若葉区太田町の田園風景(2004年8月1日)

 コンピューターのおかげで色々な事が便利になったと思います。ワープロで綺麗な文書を作ったり、遠くの人とメールでやり取りしたり、ちょっと気になった事をウェブで調べてみたり…。でも、同時に困った事も起きています。便利さや手軽さを悪用して迷惑メールを多数の人に送りつけたり、コンピューターウィルスを作って蔓延させたり、顧客データを複製して悪用したりといった事件が増えてきました。それらの問題に対処するため、ウィルス対策ソフトウェアが必要になって、迷惑メールを削除して、データの取り扱いを厳密に管理して…。
 また、ハードウェアやソフトウェアの不具合に悩まされる事も少なくないように思います。ソフトウェアが動作異常を起こしてうんともすんとも言わなくなったり、部品が壊れてデータが消えてしまったりした事、ありませんか? マニュアルを調べて、知人に相談して、メーカーのサポートセンターに電話をかけて…。あれれ、コンピューターのお陰で節約できたと思った時間が別の形で浪費されてしまっているような?
 人はコンピューターや自動車、テレビや携帯電話など、生活を「便利にしてくれる」ものを作ってきました。でも本当に便利になっているのか、ふと疑問に思う時があります。また、便利に感じる事や楽になる事は、幸せになる事と必ずしも一緒ではない気もします。
 コンピューターを使っていて「ん、変だな、仕事がちっとも楽になってないような気がする」と感じたり、ゲームが思うように進まなかったり、メールでのやり取りがちょっと億劫に感じたりした時は、ちょっと一休みして窓から景色を眺めたり、外に出て深呼吸したりしてみてはいかがでしょう。木々や雲や空、そして太陽や月や星が見えるかもしれません。風にそよぐ枝葉、刻々と形を変える雲、思わず微笑んでしまいそうな可愛い花、地上を淡く照らすお月様、時に暖かく時に熱い視線(?)を送ってくれるお日様達が迎えてくれるかもしれません。あるいは道路や人や車、そして連なるビル群しか見えないかもしれません。それでも風の流れを感じたり、空を飛ぶ鳥や小さな羽虫をみつけたりする事があるかもしれません。また、時には鉛筆や毛筆で字を書いてみるのも楽しいものです。特に筆は、字でも絵でも、好きなようにかいていると不思議な安らぎをもたらしてくれます。おすすめです。
 この数年で「この星に感情や感覚を持って生まれたのだから、それらを存分に使って生きたい」と思うようになりました。もっともっと、嬉しい時には笑い、悲しい時には泣き、心ふるえた時に涙したいです。沢山の事を感じて、考えて、悩んで、答えを見つけて、一歩一歩、少しずつでも前に進んでいくのも人生の一つの形と思います。そしてその際に、コンピューターがちょっとでもお役に立つ事があれば、コンピューター技術者の一人として幸いです。
 最後に一句。

この体 地球(ほし)より借りし貴重品
大事に使いて いつか返さん

「地下水流動と汚染」〜佐倉保夫先生の講義をうけて〜

大網白里町 平沼 勝男 

 2005年2月26日(日)谷津田・里山レンジャー養成講座に千葉大学理学部教授・佐倉保夫先生をお招きし、表題についてのご講義を受けることができました。佐倉先生は地下水研究の第一人者、当日集まった聴講生一同、先生の熱の入ったご講義を聴くことができました。

佐倉保夫千葉大学教授 熱心に講義を受ける受講生

 私はかねてから地下水について大きな疑問がいくつかありました、たとえば、なぜ地面を掘ったら水が湧くのか?つまり井戸ですね。ではどうして井戸の掘れる場所がわかるのか?そもそもなぜ地面の下に水があるのか、これも不思議な気がします。それは川のように流れているのか?どこをどう流れてゆくのか?湖みたいなものもあるのか?そして極めつけは、以前私が住んでいた静岡県に柿田川湧水という清流が湧いてくる有名な場所がありました。この水は数百年前に富士山に降った雪や雨が地下を通って湧いてくるのだそうです。これも信じられません。そんなことがどうしてわかるのか?とにかく私にとって地下水とは謎だらけのものでありしかもこの謎は一生引きずってゆくだろうと思っていました。皆さんの中にも私と似たような疑問を感じている方がいらっしゃるのではないでしょうか。ところが今回、佐倉先生の講義を聴き終えたときにそれらの疑問や謎が解けたように思えたのです。本当の答えがわかったかどうかはわかりません、しかし地下水についての考え方のようなものは理解できたとおもいます。突然こういう日がやってくることってあるのですね。
講義の内容をかいつまんでご紹介すると、まず地下水とは優れた水である。ミネラルが豊富で、土のフィルターを透っているので細菌が少ない。つまり飲み水をはじめ生活水として利用価値が高い。そして世界中にある。沙漠の下にもある。そして日本はもともと降水量が豊富でイコール地下水も豊富な国である。
教育と水事情についても興味深いお話を伺いました。水道が完備されていない後進国(地域)では水汲みが子供の労働である、半日かけて水汲みする地域もざらである。これが子供の教育の妨げになっているのだと。反対に水道の完備された地域では子供の教育が水汲みに邪魔されない。その格差は広がるばかりであると。
地下水の調べ方、技術的なことも講義にありました。私には少し難解であり、正確なことをお伝えする自信が無いのでここでは省きます。
そして地下水の性質。地下水を理解するうえで、水収支という考え方があるそうです、ある地域(流域)に降った雨や雪などの水が(P)、地下水を通って地上に出て流れてゆく(R)、その他にも地表からもしくは木や森から蒸発する量(R)がある。つまりここで、その地域における水収支P=E+Rという公式が成り立ちます。これがいろんな意味をもっているようです。まず地上に降った水は地下に浸透します。水は地層に沿って、もしくは低い方へ、時には高いほうへも移動してゆきます。このとき流れるというよりも浸透した圧力で水が水を押し出す感じらしいです。ですから速度は非常に遅い。1年で1メートルという事もあるそうです。だから数百年かけて地表に出てくることがあるし、中には数千年、数万年かかって地表に出ることもあるようです。
普通水は低いほうに流れますが、地下水では上に向かうことがあるようです。圧力の関係だと思います。それが集まり地面の高さを越えると自噴つまり泉となる。これが流れて川となるのです。そしてこの地下水や川の水を利用して我々の生活は成り立っている。
この流域の中に我々が生活しているのです。我々の利用している水道水は地下水を起源としていることはお分かりいただけると思います。流域の中で、降った雨を取り込む地域を涵養域とうのだそうです。反対に地下水が地表に流れ出てゆく場所のことを流出域といいます。佐倉先生はこう言われました、涵養域に工場を建ててはいけないと。建てるなら完全な流出域である、臨海部などの埋立地にしなさいと。我々は知らず知らずのうちに自分たちの首を締めているのではないでしょうか。生活に、生きてゆくことに必要不可欠な水。その大事な水のことを我々はしらなすぎるように思えました。大事な涵養域に平気で工場を建て、ゴミを捨てているのが現状なのです。これは大変恐ろしいことです。
今回の講義で多くのことを学ぶことができました。これからも水のことは良く考えてゆかなくては成らないテーマであることを確信しました。数百年、数千年、数万年先の子孫たちのためにも、水とそれを取り巻く環境は守ってゆくことが我々人類の使命ではないでしょうか。佐倉保夫先生ありがとうございました。


「愛・地球博」へ行ってきましたぁ!

千葉市花見川区 伊原 香奈子 

 ゴールデンウィークの超込んだ最中でしたが、「愛・地球博」に行き、大満足で帰ってきました。さすが「環境」をテーマとした博覧会!今までになく、自然や環境保全・エコロジー的視点の技術が、随所に散りばめられていました。例えばトイレ一つ取っても「どんな点に環境配慮されているか」などがきちんと記されているし、パビリオンの内容や展示も、地球環境がかなり意識されたものになっています。
また、会場が全体的に木材や緑がたくさん使われ、心地よい音や香りも楽しめ、とても温かみの感じる会場でした。博覧会の開催そのものが環境破壊とも言われますが、これを機会に、日本の環境配慮技術が世界に発進されるのではないかと期待します。
瀬戸会場の「地球市民村」では、市民団体がそれぞれ工夫した情報発信をし、気軽に楽しめるワークショップなども豊富に開催されていました。この会場では、毎月5団体ずつ市民団体が入れ替わりながらブースを構えています。HPなどで、あらかじめ参加団体を確認してから行くのもいいのですヨ。ちなみに私、9月後半には「東アジア環境情報発伝所」のブースのボランティアに入ります。今度は楽しさを提供する側としての参加です。今から楽しみです。
この「愛・地球博」は、日頃環境活動をしている私達だからこそ気がつく点が、ホントにい〜っぱいあります。せっかくの博覧会です。是非、各企業や博覧会全体の工夫されている「良いところ探し」をしてみてはいかがでしょうか?


「アルビノオタマの観察記録」

千葉市立あすみが丘小学校4年 千葉市緑区 江澤 千春 

わたしは田んぼのかんさつ会でアルビノオタマを何度か見て、どんなカエルになるのか知りたくなりました。ちょうど学校で生き物のかんさつをしていました。そこで、かってみたくなったので田んぼにさがしに行きました。わたしは、この間も見つけたのでたぶんいるだろう、と思いました。でも、ふつうのオタマジャクシしか見つからず、「もう、カエルになってしまったのかなぁ」と、おとうさんやおかあさんと話していました。そこで田中先生に会っていっしょにさがしました。でも、見つかりませんでした。

アルビノオタマ(ニホンアカガエル)
下大和田の田んぼ(2005年4月24日)

 田中先生がかっていたアルビノオタマがあと1ぴき残っていたので、それをわたしの家までとどけてくれました。わたしは、せっかくとどけてくれたので死なせたらたいへんだと思い、できるだけのことをしようと思いました。まず、家にあった「カエルのたん生」という本を読んで石を入れました。次に、もともとすんでいた田んぼの「土」と「も」と「水」をもってきました。
かっていて、どうしてアルビノオタマが生まれてくるのか、ふしぎだったので、田中先生にメールでたずねてみました。すると、「メラニン色そができないから黒い色ができなくてアルビノオタマが生まれてくる」ということでした。
田中先生にもらったときは足しかはえていませんでした。四日目ぐらいに手がはえてきました。しっぽが長かったときは、まだ水中で泳いでいて、ときどき水面にあがってきてこきゅうしていました。しっぽが短くなってきたら石や壁にはりつくようになりました。
それから二日後、死因はよくわからないけれど、石の上にはりついて動かなくなっていました。いっしょうけんめい育てたのに死んでしまったのでとてもかなしかったです。せめて田んぼの土にうめてあげようと、田んぼに他のオタマをにがしに行きながら、うめに行きました。また来年もアルビノオタマをみたいです。


編集後記:気象庁から12年ぶりの寒い5月だったと発表がありました。田植えしたコシヒカリも、元気がないようです。それでも、谷津田には、メダカが群れ、ヒガシカワトンボがオレンジ色の美しい羽で舞っています。シオカラトンボの羽化も始まり、オオヨシキリやホトトギスも現れました。正に「夏は来ぬ」です。mud-skipper