目次
|
佐倉市 田中 正彦
はじめに
東京湾最奥部の江戸川放水路の河口干潟には、小さいけれども貴重な泥の干潟が残っています。そこにはチゴガニやヤマトオサガニ,ゴカイ,アサリをはじめとしてたくさんの生物が生活しています。こうした干潟生活者の中でとりわけ奇妙でとびきり可愛いのがトビハゼではないでしょうか。トビハゼとはいったいどの様な魚なのでしょうか。
トビハゼのジャンプ(1996年6月29日) | トビハゼの巣の石膏型 |
1.水陸両用生活の魚
魚というのは水の中に住んでいて、水から上がると死んでしまうものと相場が決まっていますがトビハゼにはこの「常識」が通用しません。というのはトビハゼはカエルのように水から出て、陸上で生活することができるのです。
しかも、足のように変化した胸鰭を使って泥の上を歩いたり、ぴょんぴょんと飛び跳ねて移動することができるのです(英名をmudskipperといいます)。だからトビハゼが歩いた泥の上には彼らの「足跡」を見ることができます。また、トビハゼを水中に閉じ込めてしまうと溺れて死んでしまうという、全く魚らしからぬ魚なのです。トビハゼを見ていると、両生類が魚類から進化してきたというのもうなずけるような気がします。
2.巣を掘る魚
トビハゼは干潟の泥中に深さ20〜30pの巣穴を作ります。巣穴は泥を口にくわえそれを吐き出す行動をくり返すことによって掘られていきます。そのため、巣穴の回りにはトビハゼが吐き出した長さ1pほどの泥粒が多数堆積しているのが観察できます。
巣には普通2ヶ所の入口があります。巣の断面は@型やA型が一般的で、トビハゼはこの巣の壁面に産卵したり夏の暑い季節を巣の中で過ごしたりします。
11月ごろになるとトビハゼは越冬のための巣を作りますが、この巣は入口に泥を3〜5pの高さに積み上げた煙突のようなかっこうをしています。
3.干潟での生活
・産卵…江戸川放水路では産卵は5月下旬から始まり、6月中旬にピ−クとなり8月下旬まで続きます。産卵数は5,000個程度です。
・成長…7日で孵化し、孵化後30日で体長9.8o,45日で12.0o,50日で13.0o,80日で24oに達します。体長10oに達するころから水陸両用生活を開始し、11月までに体長20oから50oに成長し越冬にはいります。最大体長は80o程度です。
・食性…動物食で小型のカニ,ゴカイ,ミジンコなどよく食べます。なかなかのきれい好きで、泥で汚れたチゴガニを口にくわえ水で洗って食べたのを観察したことがあります。水槽などで飼育する時はイトミミズを与えるとよく食べます。
4.世界的な北限−江戸川放水路のトビハゼ−
トビハゼの仲間は東京以南、朝鮮,中国,台湾,東南アジア各地,フィリピン,インド,アフリカ東岸,オ−ストラリア,南太平洋地域等熱帯から温帯にかけて10種類以上が分布しています(欧米には生息しません)。日本には東京湾以南、愛知県,有明海,中国,朝鮮等に生息するトビハゼと奄美大島以南、沖縄,西太平洋の熱帯地域に分布するミナミトビハゼの2種類が生息しています。ここで注目すべき点は、江戸川河口放水路干潟のトビハゼが、こうしたたくさんのトビハゼ達の中で最も北に生息している個体群、すなわち世界的なの北限種の一つであるということです。
北限種というと青森県下北半島のニホンザルが有名ですが、ここのトビハゼも生物の分布や環境適応ということを考える上で大変貴重な存在なのです。そのため、環境省のレッドリストでは「絶滅のおそれのある地域個体群」に指定されています。
5.トビハゼの棲める干潟を残そう
かつて東京湾奥部には広大な干潟が広がっており、トビハゼもたくさん生息していました。浦安ではゲーロッパとよばれ、子ども達にも親しまれてきました。ところが干潟は次々と埋め立てられ、トビハゼが住めるような良質の泥干潟は、新浜,江戸川放水路河口,谷津,小櫃川河口などわずかを残すのみとなってしまいました。
トビハゼが住んでいるような干潟には、カニの仲間やゴカイ,それを餌にするシギ・チドリ類などいろいろな生き物が生息しています。つまりトビハゼは良質な干潟環境の象徴的生物なのです。トビハゼの住めるような環境を保全していくことが、干潟の生物多様性を維持することにつながっていくのです。
東京都江東区 中瀬 勝義
当該アセスメントは全体として、膨大な準備書:報告書となっているが、市民に判りやすく、理解されることを願ったものとは考え難い印象を持った。
専門的には多岐に渡り、現況把握のための大変な情報収集及び予測がなされているが、それぞれが個別に分化したものであり、空港を総合的な観点から市民が検討し、意見を述べるには余りに親切心が欠ける感じがする。
大気・水質・底質・騒音・低周波音など、個々の課題にはかなり踏み込んだ感があるが、最終的な人間との係わり、人の健康や水産業との係わりなどが欠けているかと思う。
環境アセスメントは、根本的には人との係わりが最重点課題と考える。特に東京港周辺には漁業権が無くなっているとの認識が持たれているが、隣接する千葉県や神奈川県では水産業は確り継続しているとともに、東京都内でも相当な水産業・釣魚業が継続されていることから、水産業には十分な検討:現況・予測・評価がなされるべきである。
また、人間は生態系の外に存在するのではなく、生態系の中に存在していることを十分に理解し、その中に組み込まれた環境評価でなければならない。
その観点から具体的な意見としては
@ 江戸時代からの東京湾の水産業の歴史と現況を把握・検討し、これからの水産業のあり方を示した後に、アセスメントはなされるべきである。
A 東京湾の水質保全の鍵は、東京湾に生計の基盤を持つキーマン:漁師さんである。
漁師さんが主体的に係わり合える経済社会システムの中で十分な検討を行うべきである。
B 東京都を始め、国も今後の日本のあり方の中心として、観光立国を上げている。
天然資源やエネルギー資源に乏しい日本は、今後人口の多い中国やインドなどを始めとして工業化が進めば進むほど、従来のような資源の輸入は困難になり、観光資源としての東京湾・隅田川などの河川の重要性はますます高まることになる。
工業化社会を前提とした現在の経済社会システムを抜本的に見直したライフスタイルを検討した上でのアセスメントにするべきと思う。
C 本アセスメントにおいては、水質や青潮などの予測・評価に対しては、広域的な予測を行っているが、それらによる魚大量死などは微細な地域性の強い・一過性のイベント現象で、その観点からの予測・評価が欠けている。
D 流況や水質予測は、現況との十分な整合性が確認された上で、進めるべきであるが、本アセスメントではその整合性が十分にはなされていないと考える。
E 人と自然との触れ合い活動の場として主に海浜公園が上げられているが、江東区などで造成促進されている親水公園や小さな公園を含めた自然を再検討し、生活環境・労働環境としての自然の再評価を行い、それらに及ぼす環境評価を行うべきと思う。
F 人が自然生態系の中に存在していることを十二分に理解した環境アセスメントであるべきで、拙速なアセスメントはなされるべきではないと考察します。
下記のHPで当該アセスメントは縦覧・借用が可能です。一人でも多くの方々が縦覧され、意見を述べることが望まれます。 (2005.9.15)
http://www.mlit.go.jp/koku/04_outline/01_kuko/02_haneda/kankyo_setsumeikai.html
愛光保育園長 長生郡一宮町 渡辺 恵之助
私の父母は、明治生まれですし、私が育った時代も、まだ日本がそう豊かでない時代でした。家の中は使用済みの包装紙や菓子箱、広告の裏紙、古着など多くしまってありました。また、食べ物も地元の農家で取れ過ぎた物や形の悪い物など、大量に持ち込まれる事がありました。
母はそれを漬物にしたり、ジュースや、ジャムなどにして、捨てることなく利用していました。父は、自然の恵み、特に太陽に関心を持ち、ブリキ屋さんに頼んで、太陽温水器を作り、お風呂のお湯に利用していました。ですから物を大切にする、使えなくなったら、使えるところを利用し寄せ集めて使えるようにする習慣がついていました。
日量10sの処理能力のある 大型の生ゴミ処理機 |
その後、日本は、急激に経済成長を遂げ、使い捨て文化に傾斜していきました。そんな中で、何か違和感を感じながら、青年期を過ごしましたが、MOTTAINAI精神は、時代に逆行しながらも衰えませんでした。
今年になり、国連でも、MOTTAINAIが、脚光を浴びるようになり、私の時代がきたと感じています。そして、自然を活用した器具が色々開発され、太陽光発電や、風力発電に特に興味を持ち、保育園の屋根には、28KWhの発電能力を持つ太陽光発電設備を導入しています。
また、生ゴミの処理にも関心を持ち、可燃物としてゴミにしてしまうには、もったいないと思い、コンポストや家庭用生ゴミ処理機を使ってみましたが、分解菌の管理に相当に手間がかかりました。
今は、日量10sの処理能力のある大型の生ゴミ処理機を導入していますので、調理師さんが夕方ゴミを投入してスイッチを入れるだけですから、私の手間はまったくなくなりました。
これからの課題は、これからの若い世代にどのようにMOTTAINAI精神を、伝えて行くかです。私の息子も、新聞などで温暖化の記事に関心を示したので、私達が出来ることは、不要の電気をこまめに消すことも一つの方法であると話しましたが、実行となると難しいようです。資源は、有限ですが、知恵は無限ですので、飽食の時代に育った子ども達が何とか、宇宙船地球号の未来を託せる、エコに対して、知恵を出せる、大人になってもらいたいと思い、これからも色々な取り組みをしたいと考えています。
地球環境パートナーシッププラザ 東京都渋谷区 須藤 美智子
東京・青山にある地球環境パートナーシッププラザ(GEIC)は、環境省と国連大学が共同で運営する環境パートナーシップの情報センターで、NPO・企業・行政など様々なセクターがパートナーシップを組んで環境活動をできるよう、たくさんの情報を発信しています。
GEICに毎月届けられる、ちば環境情報センターのニュースレターは、来館者に配布され、また、ニュースレターコーナーでバックナンバーを閲覧することもできます。ちば環境情報センターには、2002年に、民設民営の情報センターとして代表の小西由希子さんに取材をさせていただいたことがありますが、小さな事務所の中に、地域の情報がぎっしり、スタッフの思いがぎっしりで、とても居心地のいい場所でした。その後NPO法人となり、移転をして事業を拡大されました。確かな目を持った地域密着型の組織として、常に注目をしています。
このたび、GEICでは、NPOが発行する書籍を多くの市民に知ってもらい、必要なものを入手できるよう、『NPOブックカタログ2005』を企画・発行しました。NPO・市民団体の中には、優れた調査能力や政策提言能力を持つところも多数ありますが、一般にそうした団体の発行物は書店に流通しないことが多く、なかなか手に入りません。
このブックカタログには、158団体、自然環境/野生生物/ごみとリサイクル/食と安全/パートナーシップ/NPO支援など18分野、約400冊を掲載。NPO発行書籍の紹介、発行団体の紹介、書籍の入手方法、情報ウェブサイトが満載です。A5判 112頁 無料(送料のみご負担いただきます)。ご希望の方は、
1.地球環境パートナーシッププラザ、ちば環境情報センターにお越しいただければ差し上げます。
2.郵送をご希望の場合は送料実費でお送りいたします。210円切手を貼った返信封筒(A5判が入る大きさ)に、ご住所・お名前をご記入の上、下記までお送りください。(在庫がなくなり次第、配布を終了します。近日中にPDFファイルをホームページ上でダウンロードできるようになります。)
【問い合わせ先】
地球環境パートナーシッププラザ(GEIC) 須藤
〒150-0001 東京都渋谷区神宮前 5-53-70 国連大学1F
TEL: 03-3407-8107 FAX: 03-3407-8164
e-mail: catalog2005@geic.or.jp
http://www.geic.or.jp/geic/2005/info/catalog/index.html
※また、地球環境パートナーシッププラザのNPOライブラリーでは、カタログに載っている本をはじめとして、約500冊のNPOの発行書籍を手に取ってみることができます。
市原市 南川 忠男
5年前に活動を開始したちば環境情報センターの谷津田プレーランドプロジェクトはそのイベントの開催時に不思議と晴れることが多く、52回のうち49回が雨に降られませんでした。前夜激しい雨が降り続き、皆が中止かとほとんどあきらめていても翌朝雨が急にやんだり、収穫祭や野草を食べるイベントなど雨天順延になると都合がつかなくなるような方が多い時でも必ず晴れました。
晴天祈願のお守り(材質はレッドシーダー) |
この実績はその後も継続しております。そのようなありがたみのある実績にあやかり、世の中で「晴天願望」の方々にてるてる坊主に代わりお守りを製造致しました。イベント参加時などに実費でお分け致します(写真のような特殊なハート形状の注文も承ります)。
材料は長柄町の田中邸(こひつじハウス)の構造材であるカナダから輸入された針葉樹であるレッドシーダーの予備材を使用しました。4cm×9cmで厚さ1cmの長方形の板に『晴天祈願』の焼印を押しました。
屋久杉ほどではありませんが、年輪が密なので、熱した金属の焼印を20秒強く押すときれいな印がつきます。時間が短いと薄いこげになるし、25秒以上だとこげすぎて字がわかりづらくなる事が制作中に会得しました。効能は晴天成就、防虫効果(タンスに入れるとナチュラルな防虫剤となります)及びストレスの癒し(樹の香りに癒される)です。
使用者の声:仕事着の胸ポケットにハンカチと一緒にいれておき、ハンカチを取り出す度に香りに癒されています。
会員の皆様方のご用命をよろしくお願いします。
編集後記:このところ下大和田での活動がよくマスコミに取り上げられるようになりました。6月からの4ヶ月間でNHKだけでも4回の取材やイベントがありました。良好な里山環境を広く知っていただくのは好ましいことなのですが明らかにオーバーユースの状態です。今後どう活動展開していくか思案のし所です。mud-skipper