ちば環境情報センター ニュースレター第118号

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2007. 5.7 発行    代表:小西 由希子

目 次

  1. 拡がれ!農への関心 そして 有機農業の輪
  2. 民間発流域ネットワーク組織の必要性
  3. 生業(なりわい)を考える 千葉県の農業問題
  4. “紙芝居がはじまるよ〜!”

拡がれ!農への関心 そして 有機農業の輪

香取郡東庄町 鎌形 正樹 

 千葉県東庄町で有機農業をしている鎌形です。私が農業を始めたきっかけは、環境を壊さない生き方がしたかったからです。学生の頃、人間が自然を壊してきた歴史を知り、そんなことをしなくてもいい仕事はないかと考えました。そして農業、特に有機農業なら環境への付加が少ないし、かつ生活も出来そうなので、これはいいと思ったのです。
きっかけは人それぞれでしょうが、自然や農業に関心を持つ人が多くなるというのは、本当にうれしい限りです。どんどん自然と触れ合って、上手な付き合い方を身につけて欲しいものです。やはりこれからの時代、環境問題に関心がないとか分からないというのは、恥ずかしいことになって来るんじゃないでしょうか。
 自然は、癒しと厳しさを分け隔てなく与えてくれます。だからこそ野の生き物は、凛としていて、かつ生きている事を謳歌できるのだと思います。田畑の中でも沢山の生き物と触れ合うことが出来ます。そして学んだり駆け引きしたりする中で、人間も自然の一員だということを実感できます。見方を変えると農業は、季節や天候や、動植物、虫たちや果ては土の中の微生物に至るまでを相手にする、ダイナミックにして繊細な仕事と言えるでしょう。
 また、農業はやればやるほど面白くなる仕事だと思います。それは、工夫出来る点が沢山あるからです。皆さんも、プランターのようなちょっとの所でもいいから、自分が食べるものを作ってみてはいかがでしょう。自分で育てたものは格別美味しいですよ。
私達は夫婦で有機農業を始めて15年程たちます。近所にはそれぞれ特徴のある4軒の農家があって、緩やかな交流活動をしています。全員のやっていることを合わせると野菜作り、お米作り、養鶏、果樹、ケーキ・餅・味噌などの食品加工、里山管理などなど多様な仕事をしています。
 農作業体験したい方は、お問い合わせ下さい。微力ながらお手伝いさせて頂きます。出来ることは年間いろいろ有り、季節と共に変化しますので事前に確認して下さい。ただし、私達のところは、仕事として畑や田んぼ、山の手入れなどを行っているので、本当の現場を知りたい方のみ受け入れています。
 私達は日頃、仕事として畑や田んぼ、山の手入れなどを行っていますが、農作業体験したい方の受け入れもしています。本当の現場を知って、真面目に農を考えていきたい人には、微力ながらお手伝いさせて頂きますので、ぜひご連絡ください。
以下は、グループの一員で田んぼをたくさん作っている、岡野さんからのメッセージです。

 2003年、私はサラリーマンから転職し、新規就農しました。全く予備知識のないまま飛び込みましたが、「こうありたい…」という信念だけは持っていました。幸いなことに、人との縁のつながりによって、日本不耕起栽培普及会の岩澤信夫会長との運命的な出会いを授かりました。“田んぼを耕さないで、強い稲を育てる。”美味しい、安心、安全だけでなく、地球環境にも良い、そんな米作りに共感しました。
 今から、百姓(農家)を目指そうという方は、自分の信念を強く持つことが大切だと思います。方向性を定めつつ、すぐに実行に移せずとも、2〜3年後には実行する!と知人(周囲)に公言するのも良いでしょう。また、出会いの場、情報に対しては絶えずアンテナを張っておくことです。沢山の個性ある人、良い知恵やら、良い御縁が広がっていきます。まさに「邂逅(かいこう)こそ宝」なのです。あとは成功する自分の未来の姿を信じてあきらめないこと。家族と共にただ今実行中です。

 農作業体験で出来ることは年間いろいろ有り、季節と共に変化しますので事前に確認して下さい。問い合わせは、はがきかファックスでお受けします。 希望の時期にどんな作業があるか、希望にそえそうかなど、追ってご返答致します。
   はがきの方:〒289-0633 千葉県香取郡東庄町大久保96 <鎌形農園>
   ファックスの方:0478-87-0343 <鎌形農園>

民間発流域ネットワーク組織の必要性

NPO法人とんぼエコオフィス事務局長 鎌ヶ谷市 岩波 初美 

 千葉県NPO活動推進課のコーディネート事業に初めてNPOからの応募し採択され、17年・18年と2ヵ年に渡り、「印旛沼あっぷ事業」を実践してきました。NPOが4市(船橋・佐倉・八千代・白井)で活動する11団体、および行政のコーディネートをするということは初めての試みでした。現場で事業を動かす当団体が、初めて他団体の支援と連携形成を経験しました。「現場では負けないぞ」といった気負いから脱皮し、他の団体の為に働くことで、全体の力が強まったという実感を得ました。
この経験は自らの自信につながりました。4市で実施してきた取り組みを、今後は印旛沼15市町村につなげていくこと、同時に手賀沼関連団体とも手をつなぎ、利根川流域の取り組み、それも企業との協働を軸に発展させたいと考えています。また、今後の事業には、財団法人日本グラウンドワーク協会(東京都中央区人形町)が事務局サポートとして参加くださることが決定し、すでに18年度より流域企業の意向調査に着手しています。
  http://inbanuma.jp

★発足イベントのお知らせ
「グラウンドワーク・フォーラムin千葉」
〜印旛・手賀沼流域でのラウンドワーク型市民事業創造へ〜
  日時:2007年7月8日(日)13:30〜16:00
  場所:船橋市中央公民館6階講堂(047-434-5551)
  1 部:印旛・手賀沼環境あっぷ協議会設立総会 
  2部:パネラー&会場で話そう「グラウンドワーク型市民事業の提言」
★協議会へ参加しませんか?
 NPO主体の環境立県ちばを目指して、印旛沼・手賀沼環境あっぷ協議会を設立させます。本団体へ是非ご参加下さい。

設立趣旨「利根川に注ぎ、また利根川から流入する」印旛沼・手賀沼は同じ母なる利根川につながる兄弟沼であり、千葉県の農業・工業・水産業・飲用水と県民の暮らしはこの兄弟沼と共に成り立ってきています。一方で共に湖沼法における対策を打つべき特定湖沼に掲げられ、千葉県では水質保全計画を策定して目標達成に向けて県流域市町村が継続して取り組んでいます。
 取り組んでいるのは行政機関ばかりではありません。流域では多くの住民団体やNPOが、行政からの受託事業として、または独自資金を確保して、またはボランタリーで、多様な取り組みを継続してきています。印旛沼・手賀沼それぞれの水質保全計画に関する費用対効果、達成スピード、連携の拡がり等々を予測すると、こうした住民の経験や力をどれだけ計画や事業に活かすかが極めて重要と考えます。加えて、昨今県内企業が希望する地域貢献への受け皿の必要性が、県市町村初め地域全般に期待されています。こうした企業の意欲に応えることもまた、連携型組織の役割ではないかと考えます。
 これまで各団体が身につけてきた経験や技術は水辺には何処でも共通して使えるテーマです。エリアを流域ごとに小さく区切っていては、必要な場所に大胆に波及させることができません。そこで、より広くよりスピードを持って事業展開させる為の組織をNPO主体で設立させることにします。
事業目的:NPO主体の環境立県ちばを目指して、主に印旛沼と手賀沼流域に関わる団体個人が連携したプロジェクトを支援し、必要に応じて自らが実践者となって行動します。
事業内容
 【1】市民参加型水質改善プログラムの企画と実践
 【2】環境配慮型地域づくりの企画と実践
▽具体事業内容
 @企業向け意向調査と企業向け連携事業提案と実践
 A市民参加型行動計画づくりと実践支援
 B温暖化防止開発ルール導入事業(自治体向け)
 C未利用地を活用した「環境基金」事業(自治体向け)
 Dロゴ作成とロゴ活用事業
 F広報事業
 G研修事業(千葉県・市町村向け/企業向け/大学向け)
 H調査・研究事業
<問い合わせ>
 〒273-0005千葉県船橋市本町4-20-18
 NPO法人とんぼエコオフィス代表理事 薮内俊光
 TEL:047-460-0735 FAX:047-460-0803
 e-mail:npotonbo@aqua-k.net
 http://www.aqua-k.net/tonbo/

生業(なりわい)を考える 千葉県の農業問題

東京都文京区 荒尾 稔 

 東京都は、2007年3月中に「羽田空港第4滑走路」建築に取りかかることになりました。当初の予定より丁度1ヶ年の遅れです。関係筋の話しとして、この遅れでアジア圏でのハブ空港競争下で、日本の産業基盤強化策が、さらに立ち遅れると言った悲鳴が上がっているそうです。なぜ、遅れたか、それは千葉県での漁業者への補償問題がこじれてしまったことが原因として言われ、「また千葉県か」という声が強まっているようです。
 前回の千葉県知事選では、現、堂本知事の反対派への応援という、東京都/神奈川県等からのかなり露骨な選挙運動への関与があったとされていますが、何とか意見の通じる方を通じて、千葉県を制御したいとの気持がますます強まる傾向と感じます。
この点で千葉県内は、例えば里山と呼ばれる山林や水田(谷津田など)の89%が農家の個人所有となっており、補償等の問題から公共工事等が他県と対比しても、はかばかしく進まない事態を招いているようです。
 土地所有の権利は戦後の農地解放に始まっています。今となっては、里山の所有者たる農家の方々は、条件が折り合わないと何としても手放さない。国が少し強権で動くと、成田の三里塚の騒動のようになってしまう。
結果として、千葉県、特に内陸部は東京や神奈川県とはまったく違う。グローバリズムとは異なるローカリズム路線に向かっていかざるを得ないと思われます。
 千葉県は、東京よりの一部の地域を除いて、里山がそのまま保全された、いや放置され残土・産廃の捨て場、そして外来種の野獣やイノシシ等が跳梁するだけの、人が住めない原野だらけの地域が広がっていく運命だともいえるかもしれません。良くも悪くも。
でも反面、千葉県では農業があまりに小口化され、里山も一種の畑として管理されてきた歴史的経過の中で、生業(なりわい)を再度立ち上げられていない現状から、「薪、ほだ木、炭」など燃料源として里山からの所得が殆ど得られなくなってしまっています。北海道の夕張市に似て、燃料革命の被害者かも知れません。
 そのため個人としての農家や、組織としての土地改良区の一部の方々の思惑で、地域の景観や産業基盤をも考えずに残土・産廃業者や開発業者に土地を売却してしまうケースが続出しています。
 その中でも、千葉県の一部地区、特に木更津や君津など、五井港や東京湾アクアラインで、都市部と直結してしまった箇所では、「アクアラインはゴミロード」と揶揄されるごとく、どんどん東京や神奈川県から、残土・産廃業者が深く入り込んでいます。
 特に残土・産廃がますます大規模に大量に里山の源流部や谷津田部分が、今でも産業廃棄物処理の箇所となって放置されてしまっている箇所も、至る所に存在しています。
改めてそれら残土・産廃箇所での問題の一つとして、いずれも農家の組織体の一つである土地改良区が、絡んでいることが多いことは確かです。
 里山の源流部での開発、残土・産廃やゴルフ場、住宅地の造成等には、下流部の汚染対策として土地改良区へと多額の協力金が支払われるのが常です。業者は行政許可を得るためには、土地改良区のはんこが必要となるようです。特に千葉県では多いようです。
100軒程度の土地改良区で、5000万〜億単位の「使途未定金」が蓄積されているとのことを、いろいろな方々から聞いています。通常この資金は実際の土地改良等に費やされることが多いとのことです。が、大きな土地改良区では、この「使途未定金」の膨大な蓄えが、農家の長老と結びついて、土地改良区の権力の象徴となってしまっているところもあるようです。
このような背景のある地域個所では、市町村ともにおよび腰となって、残土・産廃業者や開発業者、郊外型ショッピングセンター等の業者側に押し切られて認めてしまうケースが多いと聞いています。
 東京圏では、想像もしにくい土地所有の実際の形態からも、これからますます千葉県は(茨城県も含めて)、里山に象徴される農業県的な地域として保全されて行くことになると思われます。良くも悪くも地権者の力は絶大です。

 

第4回里山シンポジウム全体会 テーマ:「里山となりわい」

日 時: 2007年5月19日(土) 13:00〜17:00
会 場: 城西国際大学水田記念ホール(東金市求名1)JR東金線求名駅下車、徒歩5分
参加費: 無料(事前申し込み不要)
主 催: 里山シンポジウム実行委員会,ちば里山センター,千葉県,東金市ほか
連絡先: 里山シンポジウム実行委員会事務局(荒尾) 
      TEL.03-3824-6071,FAX.03-3824-4980
      E-mail:minoruarao@tml.co.jp

“紙芝居がはじまるよ〜!”

森の紙しばい屋 千葉市美浜区 斉藤 りつ子  

  「紙芝居がはじまるよ〜!」アースデイちばやエコメッセなどの環境のイベント会場でこんな声を聞いたことはありませんか?
私たち“森の紙しばい屋”は「グリーンコンシューマー(地球にやさしい暮らしをする人)の輪を広げたい!」という願いを胸に、エコ紙芝居を製作・上演しているグループです。イベント会場の一画にゴザを敷き、紙芝居舞台を整え、紙芝居の登場人物?のハンドパペットを手に、冒頭の呼び声で会場を回り子どもたちを誘拐(!?)してきて、さあ、紙芝居の始まり始まり〜。

 演目は「エコリスの森」、「カレーの汚れはどこに行く?」など、ただいま5本。子りすのエコリスやアイリス、フクロウおじさんを主人公に、身近なことから地球環境までを考えいくほのぼの楽しくなるようなお話です。
 紙芝居というと小さな子ども対象と思われがちですが、実は半分は子どもの後ろについている大人たちに聞いてもらいたい内容でもあるのです。地球環境の悪化を食い止めるためには、やはり大人が意識を、行動を変えていかなければなりません。そのきっかけになれば、という思いで、紙芝居やエコクイズをしたり、参加賞と称して「フクロウおじさんの地球を救う六つの心得」というミニ冊子やエコすごろくを配ったり、アクリルたわしやマイ箸袋を紹介したり・・・あの手この手で迫ります。
 ごく小さな子どもたちには少し難しい内容もありますが、イベント会場の騒がしい中、驚くほど良く聞いてくれて、こちらが感激してしまうこともしばしばです。子どもたちのまなざしをみていると、細かいことはわからなくてもきっと私たちの思いは届いているにちがいない、何かが心に残っていつか地球を救う力になるかもしれない、という願いを持たずにはいられません。同時に、この子どもたちの輝く未来を壊してはいけない、今同じ地球に生きているほかの国の子どもたちの未来も希望を持てるものにしていかなくては、との思いを強くします。
私たち一人ひとりにできることは小さなことかもしれません。でも、先進国といわれている国のたくさんの人々が、世の中の悲しい出来事の根本原因をみつめ、暮らし方を少しずつ変えることで、地球の未来は必ず良い方向へ大きく動いていくのだ!と信じたい。森の紙しばい屋は、その小さな小さなきっかけ作りをしていきたいと思っています。
 どこかのイベント会場で「紙芝居がはじまるよ〜」の声が聞こえたら、ぜひお子さんも大人の方も紙芝居を見にいらしてくださいね♪紙芝居の貸し出しや出前にも応じています。斉藤(043-278-7245)までご連絡くださいね。


発送お手伝いのお願い

ニュースレター6月号(第119号)の発送を 6月6日(水)10時から事務所にておこないます。発送のお手伝いをしてくださる方を募集しています。よろしくお願い致します。


編集後記:4月29日、高校時代の生物部OBが集まり、飯能にある天覧山と多峯主山で自然観察会を実施しました。顧問だった薄葉・唐沢両先生に35年前の生徒だった頃と同じように、説明を受けたり質問したり、またこちらが解説したり。いつまでも変わらぬ好奇心いっぱいの大人達が新緑の自然を満喫しました。  mud-skipper