ちば環境情報センター ニュースレター 

ちば環境情報センター > ニュースレター目次>ニュースレター第135号 

2008. 10.8 発行    代表:小西 由希子

目   次

  1. 下水(排水)浄化の主役たち
  2. 環境漫画講座が実施されました
  3. 里山で描く生きものまんが体験学習に参加して
  4. エコメッセに参加して
  5. 新米主婦のえこ日誌 N〜番外編・いのちの誕生〜

下水(排水)浄化の主役たち

八街市 佐藤 寛子 

 8月28日、新宿区にある落合水再生センターを見学してきました。このセンターで長年現場に携わってこられた野口さんに案内していただきました。
幸運にも、7月に皇太子が訪問されたばかりだったので、展示パネルも新しく見やすくなり、高性能で録画も出来る顕微鏡も購入したばかりでした。http://www.gesui.metro.tokyo.jp/oshi/infn0375.htm
下水道は、段階を踏んで下水を浄化していくのですが、どこへ行ってもメインは微生物なのです。何か、大掛かりな機械や装置で、たくさん薬品を使って処理する、というようなことを想像される方も多いと思いますが、非常に地道できめ細かな対応をしながら、微生物が最も働きやすい環境を調整しているのが、下水道局の主な仕事と言えます。上水道と違って、薬品は一切使用していないんですよ。
まず、初めの段階では、早い水流で大きな石や重たいゴミなどを取り除きます。素人考えには、初めから取り除けるものはどんどん取り除いて、きれいにしちゃったほうが効率がいいのでは?と思ってしまいますが、ここで浄化しすぎると、窒素やリンなどが大量に排水に混じってしまうので、東京湾に赤潮が発生!などの問題を起こしかねないとか。そこでもっと後の反応層で微生物に分解してもらうほうが、いいのだそうです。
さて、メインの反応層へ行くと、活性泥という微生物がたくさん入っている泥が加えられ、下水中の汚れをどんどん食べてきれいにしていきます。微生物は原生動物、後生動物が1ml中に1万5千個、さらに細菌類にいたっては、億単位で存在し、素晴らしい働きをしています。
この層で微生物が最もよく働けるように、大型のポンプ(1基が一般家庭の500件分の電力で、7基あり、4〜5基が常に稼動しているとのこと)が酸素を送っていて、これに使われる電力が、下水道局で使用する電力の実に半分を占めるそうです。
ここで実際に反応層の水を取り出し、顕微鏡で見てみました。ほんの1mm幅の様子が、モニターに大きく映し出されます。います、います!ツリガネムシやワムシ、ゾウリムシなどが見えます。お目当てのクマムシはどうかな・・・?と見ていると・・・発見!!クマムシです。輪郭は薄れていますが確かに足や足先のツメの形が見えます。お腹に卵を抱えたまま、死んで小さな微生物に食べられているところでした。お腹の卵は無事のようで、だいぶ卵割が進んでいます。
野口さんによると、一日中顕微鏡に向かっていても、クマムシを見つけられないときもあるので、本当にラッキーだということで、これは貴重な映像ですよ、と早速録画していました。微生物同士でも食物連鎖が起きていて、最も大きい頂点のクマムシなどの後生動物が、細菌類に食べられているところなのだそうです。
小学生の見学者から「微生物は、下水の汚れを美味しいと思って食べているんですか?」という質問が出たそうですが、美味しいはずです(笑)。だって、顕微鏡で見ていると、何でもいいわけじゃなくて、自分の好みのものだけを、選んで食べているのがよく見えるんです。あとはサーッと流しちゃう。それぞれ好きな食べ物が違うようです。

 下水道のポスターなどで、「油を流さないで!」というものがありますが、揚げ物の廃油を流さなければ大丈夫、というものではありません。お皿などの食器についた油やマヨネーズなどもきれいにふき取ってから洗わないと、これらの微生物が油にまみれて死んでしまうのです。
最後の方で、砂に下から下水を通してろ過するプロセスがあるのですが、ここでもメインの働きは、砂ではなくて砂の周りにびっしりついている微生物が、水をきれいにしてくれるのだということでした。
本当にどこまで行っても微生物のお世話になっているんだなぁ、とあらためて感心しました。なんだか可愛らしく愛嬌のあるクマムシやイタチムシを見ていると、こんなに小さいけれどまさに”動物!!”という感じで、親しみが湧いてきます。
そして、とっても応援したくなってくるのです(笑)。きっと下水道に限らず、自分たちの目には見えないところで、天文学的な数の微生物たちに、私たちの命も支えられているのでしょうね。感謝!!感謝!!
みなさん、油は必要最低限に使用しましょうね♪そして食器やお鍋についた油汚れも、きれいにゴムベラやボロ布などでふき取ってから洗うのを習慣にしましょうね!!よろしくお願いします!!

環境漫画講座が実施されました

 2008年 9月13日、昨年に引き続き千葉市若葉区中野町と緑区下大和田の谷津田・里山で、参加・体験型環境学習講座「里山で描く生きものまんが体験学習」(主催:NPO法人 ちば環境情報センター)が実施されました(参加者57名)。
はじめにグループに分かれて谷津田・里山の生きもの観察した後、発見したことを題材に漫画を描きました。漫画を描くこつなどは環境漫画家のつやまあきひこさんが指導しました。また、東京情報大学教授でナチュラリストのケビン・ショートさんには、興味深い生きものの話をしていただきました。描いた作品は森の中にロープを張ってつり下げ、参加者全員で発表会を行いました。最後につやまさんからイラスト入りの色紙が全員にプレゼントされました。
参加者から感想が寄せられましたので、掲載いたします。            (事務局)
      ※本講座は、千葉県「生物多様性モデル事業補助金」を受けて実施しました。

 

里山で描く生きものまんが体験学習に参加して

船橋市 加藤 斉史 

 暑さの中にも秋の気配を感じる9月の3連休の初日に「里山で描く生き物まんが体験学習」に行ってきました。場所はJRの千葉駅からバスで40〜50分ほどの谷津田(千葉市緑区下大和田)というところです。雑木林に田んぼ、きれいな湧き水に恵まれていて、さまざまな虫や魚や鳥がいます。

 さて、今日の先生は漫画家のつやまあきひこさんと東京情報大学教授のケビン・ショートさんです。つやまさんは自己紹介の中で「漫画の里山どんぐりの舞台はここですよ〜」とおっしゃっていました。ケビンさんは「つやま先生の漫画でおならばっかりしてるケビンで〜す。」と言って、漫画で描かれているコンパクトに縮めて持ち運びして使う時は伸ばすことができる虫取り網を構えて、「シャキーン」。おもろ〜です。
最初に散策しながら漫画の題材探しをしました。でっかいかぶと虫の幼虫。クワガタの成虫。クモもたくさんいて、コガネグモ、ハシリグモなどを見かけました。前に調査したらここには50種類ものクモがいるそうなんです。元気な男の子はバッタを見つけてクモの巣に落としていました。クモのすばやいこと。あっというまに糸でぐるぐる巻きにしていました。


その後、それぞれ、散策で見つけて来た物を題材に漫画をかきます。途中、お昼休みをはさんで、漫画がだいたい仕上がった頃、ケビンさんが里山のことを話をしてくれました。このお話もよかったのですが、とても書ききれないですね。
里山は人の暮らしが自然と密接に関係してできています。それは手つかずの大自然の荒々しさとはまた異なっていて、そこでゆっくりと落ち着いて過ごすことができます。子どもたちは特に湧き水の用水が大好きで、よくそこで遊んでいました。自然観察会も定期的に行われているので、また行きたいと思っています。         (写真:田中正彦)

生き物まんが体験学習作品集(一部)

 ※全作品は千葉市中央区にあるQball(きぼーる)のアトリウムにします。
日程などの詳細については、後日ニュースレターでお知らせいたします。

エコメッセに参加して

東京都江戸川区 千葉大学理学部 1年  田崎 雄也 

 今回、私はボランティア実習生として「エコメッセ2008inちば」での出展をお手伝いさせていただきました。今まで私はこのような催しにはなんとなく訪れる程度の人間で今回始めて出展側になるということで、当日になるまでは実際に何をするのか少し分からず不安でしたが、いざ始まってみるとあっという間に終わってしまっていました。
今回の出展で私たちは自然のものでできたキーホルダーや自然カルタなどの販売を行ったり、普段の活動の様子などを他の団体のかたと情報交換をしたりしました。販売の時には立ち寄ってくれた子どもたちと実際にカルタをやったりして「またやりたい」といってもらえたり、ちば環境情報センターの活動に興味を示してくださった方とお話をしたりして楽しく出展できました。

 また、エコメッセには数多くの出展があり、自分が今まで知らなかったことを知るよい機会となりました。私は今まで環境といったらゴミ問題だとかリサイクルだとか大きな意味でしかとらえていなくて具体的にどういうことにつながるのかということをあまり知りませんでしたが、多くの化粧品に石油原料などの化学物質が使われていて身の回りの生活環境に影響を与えているということを知ったり、ペットボトルが実際にリサイクルされる過程を目で見て体感することができ、自分のすぐ周りでこんなにも環境のことを考えた行動が行われていたのだと感心しました。
ステージ企画のほうはあまり見ることができなかったのですが、缶つぶし世界選手権の決勝ではみんなすごい力で缶を潰していて面白おかしく見させてもらいました。私たちの南川さんも決勝で7位に入賞しました!おめでとうございます!
私はこのエコメッセは、小さい子どもから大人やご年配の方までみんなが楽しく交流しあいエコを考えるとてもよい場だと感じました。このエコメッセの場のように街や地域が環境のことを考え行動できるように今回のエコメッセで感じたこと、知ったことを日常生活に生かしていきたいと思います。


 

新米主婦のえこ日誌 N
〜番外編・いのちの誕生〜

              山武郡大網白里町 中村 真紀 
  私は今年の夏、助産院でのお産を体験し、無事に母親になることができました。助産院でのお産は医療介入ができず、他の出産施設と異なる点がいくつかありました。今回は番外編として、少しだけそのお話をさせて頂きます。
 まず、妊婦時代に何度も通う検診では、触診とお話が主です。助産師さんに何でも教えてもらい、お互いを知ることができ、いつも元気をもらっていました。提携先の病院で、お腹の中も見せてもらってダブルで安心でした。
 そしてお産本番も、陣痛中は夫と二人で静かな和室で過ごし、出産の時も分娩台の上ではなく、気持ちの良い音楽の流れる普通のお部屋で。蛍光灯のまぶしい病院よりずっと落ち着いてその時を迎えられたと思います。夫も一晩中私の背中をさすったり、私の背もたれや台になってくれたり、あの手この手ではげましてくれたりの大活躍。へその緒も切ってもらい、まさに夫婦二人で出産したという感じです。入院もテレビのない和室で、生まれたばかりの娘とずっと一緒でした。助産師さんは退院後も何度も家まで来てくれ、色々と相談にのってくれます。
 助産院でのお産で私が最も良かった点は、医療介入ができない分、自分の力を最大限に出せたこと、そして、お産がお腹の中の赤ちゃんと私のペースで進められたことです。初めてのお産で何もわからず、特に体力や若さに自身があったわけでもない私でしたが、助産師さんのお陰で何とかこの一大イベントを乗り切ることができました。
 ただ、お産は病気でないとは言っても何があるかわかりませんね。私も妊婦当時、何度か大きな病院のお世話にもなりました。お産の時も何かあれば、病院へ移動する約束でした。今はお産できる病院が少なく問題になっている様ですが、そんな風にお産施設を上手に使い分けて医療の不必要な人は助産院で生めると、医療を本当に必要としている人にもっと時間をかけられるし、女性としてお産に正面から向き合えるので良いと思います。そしてお産後、いよいよ育児が始まり、泣き笑いする娘と一緒に、まさに泣き笑いの日々です。子どもが育つにはたくさんの目や手や口(世話をしてくれる人)が必要だと思います。情報センターに顔を出した際には、どうぞ宜しくお願い致します。
 長く続きました私のエコ日誌も今月を以って終了とさせて頂きます。ご愛読頂き、本当にありがとうございました。またいつか、お目にかかりましょう。

発送お手伝いのお願い

ニュースレター11月号(第136号)の発送を11月7日(金)10時から事務所にておこないます。
発送のお手伝いをしてくださる方を募集しています。よろしくお願い致します。


編集後記:10月になってようやく抜けるような青空が広がるようになりました。まさに天晴(あっぱれ)な青空です。草露や葉の色づき、キンモクセイの香りやアオマツムシの鳴き声にも、本格的な秋の訪れを感じます。五感を使って移りゆく季節を思いっきり味わえる日本の自然。大好きです。  mud-skipper