ちば環境情報センター ニュースレター 

ちば環境情報センター > ニュースレター目次>ニュースレター第163号 

2011. 2.7 発行    代表:小西 由希子

目   次

  1. 千葉県生物多様性モデル事業
    ~生き物のにぎわいのまるごと体験と、「生き物のつながり」生物多様性マップづくり
  2. 無農薬手作り発芽玄米と唾液のカルシウム
  3.  自然体でいられる場所
  4. 谷津田の思い出
  5. ご寄付のお願い

千葉県生物多様性モデル事業
生き物のにぎわいのまるごと体験と、
「生き物のつながり」生物多様性マップづくり

NPO法人 ちば環境情報センター事務局 古川 美之

 NPO法人ちば環境情報センターは、平成22年度の千葉県自然保護課生物多様性モデル事業を受託しました。事業では2010年8月~2011年1月、千葉市緑区市下大和田谷津田にて定例の観察会を実施し、そこで見つけた生き物のつながりマップを作成しました。
 8月、木の樹液に集まる虫を探す。餌場をめぐって落とし合いをしているカブトムシを見ることができました。
 9月、セミやトンボの体、飛ぶしくみや食べるしくみ。オニヤンマの複眼にぎっしり並ぶ数万個もあるという個眼を実体顕微鏡で観察しました。オスのセミの鳴くしくみも改めて知ることができました。

 10月、クモ・バッタ・カマキリなどの食う・食われるの関係。ナガコガネグモがノシメトンボやコバネイナゴを捕らえている場面や、飛んでいる虫の捕らえて食べるトンボも観察しました。生きた虫を捕らえて食べるカマキリも食物連鎖の中では食べられる存在だということも実際に体験できました。
 11月、田んぼの生き物。赤とんぼをマーキングしながら調べ、田んぼではザリガニの赤ちゃんやオニヤンマの幼虫がいることを発見しました。
 12月、冬越しの生き物。谷津田に舞うオオタカの姿を見つけ、アオジやジョウビタキの声を聞くことができました。田んぼでは暖かな日差しでアカガエルも顔を出し、樹木にはヤニサシガメやカレハヒメグモの冬越しの姿も見られました。
 そして1月、これまでに観察した生き物をマップにおとし、生き物のつながりを考えてみました。幼稚園生から小学生、高校生まで、子どもたちも実際に谷津田で様々な生き物のつながりを見つけ、自らつながりを考えることができました。あわせて虫を捕まえたり、魚をすくったりしながら子どもたちは谷津田の自然を満喫していました。生物多様性は身近な自然にあり、だからこそ私たちの生活は豊かに支えられていることを感じたことと思います。
 これまで観察したことを谷津田のパンフレットにして、皆さんにも見ていただきたいと考えています。 

無農薬手作り発芽玄米と唾液のカルシウム

市原市 南川 忠男 

 下大和田でみんなで作ったこしひかりや農林1号をご家庭でお召し上がりの皆様でパサパサして固いと炊き方に苦労されている方はいませんか?種皮の殻をいかに傷つけて水を吸収させるかで炊きあがりが変わります。10年前に初めて玄米を炊いた時は2,3分フライパンで炒ってから(種皮を割って水吸収を促進)水に浸けて白米に1割くらい混ぜて1割くらい多い水で白米モードで炊飯器で炊いておりましたが、先日残飯整理の順番の関係で偶然2日も水に浸けられた新玄米を発芽玄米モード(今まであると知らなかった)の炊飯器で炊いたところ、白米と同じふっくら感があり、玄米100%なのにパサパサ感がなく、噛む回数も少なくて済みました。

 圧力釜でも柔らかく仕上がるそうです。噛む回数が少ない方が白米と同じ回数では腸での吸収をじゃましておなかの調子を崩した方もいると思います。30回以上は噛みましょう。
 洗う時は、玄米同士を擦り付け合うように3,4回洗うと、玄米の表面に傷が付き、水が浸透しやすくなり柔らかく炊き上がります。
 発芽玄米の作り方:玄米を一日半ほど水につけておき、その後濡れフキンの上に広げて一日半ほど待つと芽が出てきます。手間がかかりますが、市販の発芽玄米と同じものになります。
 映画「武士の家計簿」でおにぎりを食べるシーンがありましたが、玄米でした。昔から何百年も日本人は玄米や雑穀だった。
 玄米のメリットは
① ビタミンB1は5倍、B2は2倍、B6は4倍、Eは12倍、葉酸は2倍白米より多く含まれる。
② ファイバーが6倍白米より多いので、大腸の滞留時間が減り、毒素の吸収が少なくなる。
急増している大腸がんも動物性肉食割合の増加や野菜などファイバー食物の摂取不足が原因らしいです。
③ 発芽玄米に含まれるギャバは、血圧降下、中性脂肪増加抑制、ストレス軽減などの効用があると言われている。
④ よく噛むようになり、多くの唾液自身で口内がきれいになり侵入病原菌を殺す作用や消化効果があり、胃腸の消化負荷を下げる。
⑤ 食後すぐ口内は酸性になるが、溶けた歯のエナメル質を唾液中のカルシウムとリン酸が早い修復をする。
⑥ 純米酒を食前に肴が進む。
⑦ 炊き方を工夫したことでこどもも食べるようになった。

 白米の精米の結果、玄米のまわりの糠層や、芽が出る部分の胚芽をそぎ落とし上記①の有益な成分が無くなった状態です。玄米はその表面に農薬を付着させやすいが、下大和田は無農薬・無肥料耕作なので毎年収穫祭の時に頂く下大和田の玄米は安心です。
 みなさんも2011年の春から我々と手作り田んぼでお米を作ってみませんか? 今回より身近な化学物質シリーズで執筆させていただきことになりました。よろしくお願いします。

 自然体でいられる場所

千葉市稲毛区 北山 理恵子 

 3年前、当時2歳と小学1年になる子供を連れて長野県の松本からこの千葉に来た私が最初に感じた事は「都会は親も子も大変だな。」という事でした。
 松本の時は幼児から高学年まで一緒に遊び、自然と上の子が下の子の面倒を見ていました。これが繰り返されており、私がべったり子供についていなくても安心して任せる事ができたし、常に周囲の大人も見守ってくれている感がありました。
 ここではそんな訳にはいかず、小学生はいろんな事に忙しそうで、それは田舎もそんなに変わらないように見えるのだけど、親はしっかりと自分の子供についていなければならない感じで、なんとなく息苦しいような。この違いはなんなんだろうとずっと思っていました。1つ気付いたことは、情報量の違いかもしれない、都会はたくさんの情報に溢れ、その中から流されないよう、自分の考えをしっかりと持ち、選んでいかなければならない。

 適当、ゆっくり、では済まされないことがたくさんあるような気がしました。
 環境の違いに不安を感じながらも、自分らしくいたいと下の子の幼稚園探しをし、偶然にも私にぴったりな所を見つけ、そこから出会ったのが山口家と谷津田でした。
 「千葉にもこんな所があったんだ!」ここは全てが自然体で居心地が良くて、自由。活き活きとした大人たちが植物や昆虫を必死になって見つけてる。楽しそうに田んぼの手入れをする。子供たちには決して「~しなさい。」と言わない。子供たちはそんな大人達のそばで自然にやりたい事を見つけて遊んでいる。すごく気楽で適当、に過ごせる場所でした。
 この1年半、アウトドア派でない夫も何故か一緒に来てくれ、虫が触れない長女は今ではザリガニの水替えも1人で出来るようになり、カブトムシにも興味を持ち、一緒に世話をするハメになった私も15匹も産まれてしまったカワニナを毎日見つめて可愛がり、次女も自然と姉と楽しむ事を覚えました。
 気が付けば一番楽しんでいるのは私、それでいいよね、って迎えてくれるのが谷津田ですね。 

谷津田の思い出

       千葉市稲毛区 林 由美 

 千葉市子ども交流館きぼーるで、お米作り体験の募集を見て、すぐに友達家族を誘って申し込みました。以前から農業に興味あったため、家でもバケツ稲や簡単な野菜作りは試していましたが、 本格的な体験は初めてです。
 今回はNPO法人の方達は10回、きぼーるからの参加者は5回のコースで、種まき、田植え、蛍観察、かかし作り、稲刈り等のプログラムでした。殆ど未知な状態での参加でしたが、NPOの方達は毎年手探りで米作りをしているようで 天候などに左右されながら、楽しそうに育てていました。
 春はなかなか暖かくならず、発芽が遅い様子でした。種まきの時に黒米、赤米、コシヒカリなどの色々な種類を少しずつ戴いて家でも育ててみました。種類が違うと成長や収穫時期が少しずれます。稲の穂も色が違ったりしました。ちょっとした発見や成長が楽しみでした。
 谷津田にはじめて行ったとき、水に浮かんでいる油分の様な錆びた様な水を見て、汚れているのかなと思いましたが、米作りには、とても良いとの事で、これも家での稲にも使ってみました。

 田植えは、長靴を脱いで裸足で田んぼの感触が気持ちよかったものの、ズブズブして歩きにくかったです。夏は例年よりも、とても暑かったけれど、小川の水は冷たく子供達は田んぼより自然の中で、虫や魚を取ったりするほうが楽しかったみたいです。
 たまにしか田んぼに行かないため、稲はぐんぐん成長しているし、絶滅危惧種だという珍しい植物を見たり、オタマジャクシが蛙になったり、自然観察も楽しみの一つです。
 一番楽しみにしていた蛍の観察会。存在は知っていたけれど初めて見ます。真っ暗な中、虫の声を聞きながら、まわりにはたくさんの小さな光。持って帰りたいくらい綺麗でしたが蛍の寿命は短いために我慢しました。
 普段の生活の中では、虫を触るのも怖いくらいですが不思議と谷津田では平気です。子供にも自然の中の体験を通して、命の大切さを感じて欲しいと思いました。カカシ作りも着なくなった服を利用して可愛いのが出来ました。
 新年も、また参加したいです。去年より谷津田に行く機会を増やして、もっと楽しみたいです。いつまでも蛍が見られるような自然を残していくすばらしさ、お米が収穫できたときの感動、皆さんともっと仲良くなって少しずつ米作りに慣れて行きたいと思います。


    

ご寄付のお願い

                         NPO法人ちば環境情報センター代表 小西 由希子 

  当会では2001年から、多様な生き物の宝庫である千葉市緑区下大和田の谷津田を保全するため、米作りに取り組んできました。おかげさまでニホンアカガエルの産卵やヘイケボタルの飛翔など、豊かな生き物が生息する環境が守られています。
  しかし米作りは、田植えと稲刈りで終わりではなく、草取りや収穫した稲の脱穀・もみすりなどが必要です。
 脱穀で使う脱穀機は高価で購入することができなかったため、当初は農家の方に脱穀をお願いしていました。そんな中、2006年に高齢でもう米を作らないからと、隣の田んぼの大塚さんが脱穀機を寄付してくださいました。毎年メンテナンスして大事に使わせていただいてきましたが、老朽化が激しく、早急に、各種ベルトやキャタピラーなどの交換を行なわなければならなくなりました。また、機械が古いため部品がなくなる恐れがあり、部品を事前に購入していく必要もあります。これらの費用を試算したところ、合計10万円程度必要となってきました。
 これまで当会は、活動に際し必要な費用を自治体や民間の助成金を頼りにしてきましたが、メンテナンス費用はこれらの助成金ではまかなうことができません。
 一方、わたしたちは、少しでも多くの方に谷津田に関心を持ち、保全に取り組む仲間になっていただきたいと、参加費も極力安価に抑えて活動してきており、参加費だけではこうした費用をまかなうことはできません。
 そこで、多様な生き物を育む谷津田の保全を願う仲間の皆様に、脱穀機のメンテナンス費用をまかなうためのご寄付のお願いをしたいと思います。
 春の小川に群れ泳ぐメダカやカエル、トンボたちのため、どうか皆様のお気持ちをお願いいたします。振込用紙を同封いたしますので、よろしくお願いいたします。

【発送お手伝いのお願い】

ニュースレター3月号(第164号)の発送を 3月 7(月)10時から事務所にておこないます。発送のお手伝いをしてくださる方を募集しています。よろしくお願い致します。


編集後記 :節分を過ぎて、暦どおり春めいてきました。今年の冬は例年になく寒さを感じていたので、嬉しいですね。そんな中、新燃岳の噴火により、広い地域に火山灰が降り積もり、農作物にも被害が出ています。改めて日本の火山国であるが故のリスクと、それによってもたらされる、風光明媚や温泉等の恵を実感するこの頃です。  mud-skipper