ちば環境情報センター ニュースレター 

ちば環境情報センター > ニュースレター目次>ニュースレター第171号 

2011. 10.7 発行    代表:小西 由希子

目   次

  1. 青森市のごみの分別と生活、文化 ~使用済み割り箸もペットボトルのキャップも回収~
  2. 身の回りの化学物質シリーズ6-たばこの化学物質その2- 
  3. 今年も環境漫画講座が開催されました 
  4. 千葉県内の活動団体紹介 6

青森市のごみの分別と生活、文化
 ~使用済み割り箸もペットボトルのキャップも回収~

青森市 長 正子

 今年の1月に夫の転勤で青森市に引っ越してきました。青森市は本州最北端の県の県庁所在地です。青森駅に降りるとすぐ、陸奥湾が見え、青函連絡船に使用されていた八甲田丸という連絡船が港に置かれています。夏は海がとてもきれいです。
 しかし今年の冬は雪の当たり年だったそうで、家の周りは1メートル近い雪が積もっていました。借家の駐車場と思われる空き地には、雪が山のように積まれていて、家全体の姿がわかるのは春になってからでした。
 どんな所に行っても、ゴミをいつ、どこに出すかは、主婦にとって、最大の重要な関心事です。幸いゴミステーションは、5mくらい離れた道路にありました。屋根がついた小屋のような建物で、ネットが上から前面にかけられています。雪が積もらないように屋根があるのです。常設で、移動はできません。他の町会のごみステーションには、鉄製でできているものもあるのですが、私の町会のごみステーションは木製で、大分年季が入ったものでした。

 青森市のゴミの分別は他の市町村と同じで大きく分けて、燃えるごみ、燃えないごみ、資源ごみの3つに分けられます。しかし、その回数と資源ごみの品目に特徴があります。
 まず、回数ですが、燃えるごみの収集日は週2日しかありません。以前住んでいた船橋市では週3日あったので、かなり不便に感じました。一方、燃えないごみ、割れたお皿や茶碗、蛍光灯、スコップなど粗大ごみにならない小型のものは月に2回収集されます。
 船橋市では最終処分地を持っていませんので、月1回しかなかったのですが、青森市は最終処分地に余裕があるのか、こういうところも違ってくるのかと感心しました。
 次に資源ごみの品目で感激したことが2つあります。1つは一升ビン、ビール瓶が、一般のガラス瓶、缶と区別して別の日に収集されていることです。つまり、これはリターナルビンとして再利用されていることを意味します。
 かつては、ビール瓶や一升瓶は生きビンとして、酒屋さんに持っていくと5円、10円で引き取ってくれ、再利用されていました。しかし、今では一般のガラス瓶と同じような扱いにされています。しかし、青森市は全国でも有数な酒造会社の多いところで、リターナル瓶を利用する仕組みが残っているということではないかと思われます。一升瓶、ビール瓶を特別に扱っているというところに非常に感激しました。青森のお酒文化を感じました。
 第2番目は、使用済み割り箸とペットボトルのキャップと、使用済み油(てんぷら油)を、拠点回収ですが、収集していることです。
 市役所の方に聞きましたら、リサイクル率を高めるために、市民に協力をお願いしているとのことで、昨年度は使用済み割り箸は3トン、ペットボトルのキャップは7トン、てんぷら油は1トン回収したそうです。使用済み割り箸は北海道の苫小牧にある王子製紙工場に送られ、紙の原料に、ペットボトルのキャップはNPO法人エコネット未来に送り、売却代金をユニセフに寄付しているそうです。廃油は精製して清掃車のガソリンに使われているそうです。
 使用済み割り箸を回収している自治体(拠点回収とはいえ)があると知ったときは本当に驚きでした。市民センターに早速見に行きましたら、木の箱にビニールが敷いてあって、そこにレジ袋に入った割り箸がきれいにびっしりと入っていました。協力してくれるお店があるのです。やろうと思えばやれるのではないでしょうか、他の自治体も。もったいない精神が息づいているような気がします。市役所の方に聞きましたら、月2回業者の人に回収してもらっているとのことで、輸送費は協力してもらっているということです。
 もったいない精神といえば、青森市の資源ごみで腑に落ちないことが一つあります。それは古着や古布の回収がないことです。登録された町会や子供会の資源回収の品目には、古着、古布は入っているそうですが、回収の実績はゼロなのだそうです。
 そこで、私ははた、と思い当たったことがありました。青森では、「裂き織り」といって古くなった着物や洋服を引き裂いて細い布にしてバックや袋物を作る文化があるのです。青森の名産品になっているのです。
また、2月に後楽園で開催されるパッチワークの大会で八戸の女の人が優勝したという記事を読んだことがありました。また、リサイクル店があって、結構洋服も売っています。
 布を使い切るということが、青森の生活の中に根付いている、そういう文化があるのかなあと、ごみの分別品目を見ながら、感じています。 

身の回りの化学物質シリーズ6
-たばこの化学物質その2- 

市原市 南川 忠男 

 たばこを吸う方のため煙の刺激を弱めるために「ココア末」が添加され、煙のpHを下げるために「アンモニウム塩」が、パリパリになるといけないので約10%水分含有濃度にするため保湿剤として「グリセリン」が、ニコチンが早く脳の受容体に結合されるようにするため(この結果ニコチン依存性が高まる)香料の「レブリン酸化合物」が添加されています。いずれも燃焼によって毒性物質であるアンモニアやアクロレインが副生し、人体に悪影響を及ぼすといわれています。
 メンソール入りのたばこは粘膜の局所麻酔的な効果が咳反射を和らげるので、煙を続けて吸えるようになっています。未成年者はこのおかげで早いうちに常習喫煙者になってしまいます。

 たばこを吸ったばかりの方が室内に戻るとその方の呼気から吐き出される煙の粒子で室内が汚染されます。米国はサンジエゴ州立大学で2004年に発表された報告では、母親が喫煙者でこどもと同じ部屋では喫煙しないグループとこどもには関係なく喫煙するグループに分け、こども部屋の埃や家具表面の付着してくるニコチン濃度を測定した結果、こどもには関係なく喫煙するグループの室内ニコチン濃度は同じ部屋では喫煙しないグループの3倍から8倍ありました。
 更に同じ部屋では吸わない家庭も喫煙者が居ない家庭に比べ5倍から7倍ありました。これは喫煙後の煙が出ていない状態でも直前に吸ったたばこのニコチンなどの有害物質が喫煙者の肺から排出されこども部屋の家具や床面に拡散しているからです。これは「サードハンドスモーク」と呼び、受動喫煙の「セカンドハンドスモーク」の次の現象として2009年米国小児科学会誌の論文の中で掲載されました。
 駅構内が全面禁煙でなかった頃(2009年10月以前)はホームの端に喫煙コーナーがあり、風下の車内に煙が入ってくるのが嫌だったばかりか、急いでスパスパ喫煙して 車内に駆け込む喫煙者の吐き出す息が臭かった。喫煙者の衣服や持ち物には煙が吸着しており、ゆっくり衣服から放散しており、隣に座られるとたばこ臭かった。喫煙終了後の呼気のたばこ煙粒子(固体)は半減するのに30秒かかり、40回の呼吸に要する約200秒は出し続けるそうです。ホタル族の方は吸い終わっても、3分間くらいはそのままホタルになっている方が同室者のサードハンドスモークを少なくできます。
 アンモニア(気道毒性物質)・ベンゼン(発がん物質)・ヒドラジン(発がん物質)などのガス状成分は衣服や口臭から数時間発散します。最後に、たばこの生産過程で、葉はゆっくり乾燥させるため、多くの燃料が必要です。葉1㎏に薪10㎏が必要で、地球全体で毎年2,000㎞2(総伐採の12%)の森林を伐採してその燃料としており、毎年千葉県半分の森が地球上から無くなっています。その分飢餓で苦しんでいる人々の食糧をつくることができるのにと思います。たばこ生産で森林破壊という環境破壊と飢餓を招き、喫煙で人体に悪影響を及ぼし、火の不始末で火事という四悪です。

今年も環境漫画講座が開催されました 

 2011年9月10日、環境漫画講座(主催:千葉市生涯学習センター、企画運営:ちば環境情報センター)が千葉市緑区下大和田の谷津田で実施されました。
 この講座は、朝日小学生新聞で長年「里山どんぐり」を連載中の環境漫画家つやまあきひこ先生の指導のもと、今回で6年目となります。今年は現地での講座だけでなく、9月3日に千葉市生涯学習センターで谷津田環境と生物多様性、漫画の描き方などの講義を受け、10日に実践するというプログラムにしました。
 参加者26名(3日は18名)、残暑厳しい天候にもかかわらず、ちば環境情報センターの生きもの案内人に付いて田んぼの環境や生きものを観察し、それを題材に一コマ漫画を描きました。参加者2家族から感想をいただきましたのでご紹介致します。(事務局)

谷津田を感じる

千葉市若葉区 松田 聡・莉佳 

 私は、谷津田という、自然にちょっとだけ人の手が加わった田んぼに行きました。
 まず、とちゅうの水路に絶滅危惧種のニホンアカガエルがいました。このカエルは、吸盤がなくて泳げないと聞いたので、びっくりしました。
 その後、田んぼの横にある川で捕まえた、タモロコという魚を見ました。大きさはメダカより少し大きいぐらいで、口の下に2本の口ひげがついていて、メダカとけっこう違うことがわかりました。谷津田にはとてもたくさんの生き物たちがいて、とても楽しかったです。(莉佳9才)

 漫画好きの娘にプロのオーラを感じさせるのが主目的で、谷津田は正直「うーん、何だろう?」。しかし、雑木林に囲まれた谷津田でインストラクターの説明を聞きながらの、赤米の収穫近い畦の柔らかい感触と、小生物・水生植物とのごく自然な遭遇で、谷津田全体が一つの生命体とする意識を感じました。それを実体化できればと主目的をしばし忘れ、自分自身写生に没頭しました。(聡)

里山で描く生きものマンガ講座に参加して

千葉市稲毛区 五十嵐 愛子 

 黄金色の稲穂が風に揺れて輝く季節。私たち家族が初めて谷津田を訪れたのは、偶然にも、収穫直前のそんな美しい時でした。初めて見る谷津田は静かで美しく、穏やかな空気が流れていました。
 息子たちに急かされるようにして、その中に一歩足を踏み入れると・・・今度は谷津田全体から感じる生き物の息吹にワクワクしてじっとしてはいられません。「息子たちのため!」なんて大義名分はどこへやら、3人の息子そっちのけで一番夢中になっていたのは、他でもない私。虫嫌いだったはずが、子供と争って生き物を追いかけ、あっという間に時間が過ぎてしまいました。


 それぞれが見つけた生き物を持って、白い紙に思い思いに絵を描きました。「お昼にしましょう!」と声が掛けられても、なかなか腰を上げない子供達。その顔は、普段机に向かっている時と違い、のびのびとしたとても良い顔でした。
 これまで、子供たちの虫嫌いを克服すべく、輪をかけて虫の苦手な私が、毎年色々な生き物をせっせと育ててきたのですが、功を奏さず。それが谷津田の生命力を前に、たった1日で克服されてしまった様子。
 「絶滅危惧種」なんて難しい事が解らない子供達でもこの谷津田の生命力から感じるものが有ったように思えました。この理想郷を子供にもその子供にも残していきたい、切に思った一日でした。  


千葉県内の活動団体紹介 6

                                  千葉市花見川区 伊藤 道男

<団体名>   ちば千年の森をつくる会

<活 動 日>

 年度当初に決めた月1日の定例活動日と必要に応じて臨時活動日。

<活動場所>


 君津市豊英島;豊英島は面積約6haで、高木性の落葉広葉樹林を中心に、常緑広葉樹林やモミ・ツガ林、マダケ林など多様な森林タイプから成る、房総を代表する森です。林床にはクロムヨウラン、シュンラン、カンアオイ、エビネなど四季折々の草花も豊富。アカヤマドリ、サクラシメジ、ウラベニホテイシメジなど野生キノコの宝庫でもあります。ニホンジカ、テン、ノウサギ、ニホンザルなどが生息又は往来していて動物相も豊富です。
 毎年トビの子育て・巣立ちもみられ、豊英島は県内第一級の自然豊かなフィールドです。

<活動内容>

 活動の基本は、「生物多様性保全をめざす超長期の森づくり」です。計画的な森林整備に加え、植物、動物、野鳥、野生キノコの観察・調査、ニホンジカなど動物による植生の食害調査と保護、キノコの原木栽培、環境整備など多様です。また広葉樹林成長量調査、照度調査など各種調査や森づくりの研修も実施しています。

<連絡先>

伊藤 道男  
℡ 090-6929-6811 
E-mail sennennomori@hotmail.co.jp

【発送お手伝いのお願い】

ニュースレター11月号(第172号)の発送を11月7日(月)10時から事務所にておこないます。発送のお手伝いをしてくださる方を募集しています。よろしくお願い致します。


編集後記: 谷津田で伐採したコナラに今年はたくさんのシイタケができました。みんなで食べようと楽しみにしていましたが、シイタケから放射能汚染が見つかったとの報道もあり心配です。こんな時、安全性を確かめられるような公的相談機関があればと思いました。ささやかな楽しみさえも奪われているのです。  mud-skipper