ちば環境情報センター ニュースレター 

ちば環境情報センター > ニュースレター目次>ニュースレター第226号 

2016.5.6 発行    代表:小西 由希子

目   次

  1. 川内原発1,2号機の即刻停止と、伊方原発の再稼動中止を強く求めます
  2. 千葉県にすむ哺乳類16  アズマモグラ
  3.  わが昔遊び  その2
  4.  貝のよもやま話 26 -「トップシェル」ってしっていますか?-

 4月14日夜、熊本県益城町を中心に震度7を観測した地震以降、熊本県及びその周辺地域では激しい揺れが続き、今なお収束の気配が見られません。お亡くなりになられた多くの皆様のご冥福を心からお祈り申し上げます。また、避難されている皆様が一日も早く元の生活に戻られることを願い、お見舞い申し上げます。                      ちば環境情報センタースタッフ一同

今回の大地震に際し、稼働中の川内原発の停止を求めるご意見が届きましたのでご紹介させていただきます。

川内原発1,2号機の即刻停止と、
伊方原発の再稼動中止を強く求めます

佐倉市 大野 博美   

 今回の「熊本地震」は、布田川断層帯・日奈久断層帯において発生したものとされています。そして、この断層帯は千葉県にもその末端がかかる日本最大の活断層「中央構造線断層帯」に連なるものであり、実際中央構造線に沿って広範囲に有感地震が発生し、さらに震源も東西方向に移動拡大しつつあることが気象庁からも指摘されています。
 2011年3月11日、私たちは東日本大震災とそれに伴う東京電力福島第一原子力発電所の大事故を経験しました。現在わが国で唯一稼働しているのが九州電力川内原子力発電所1号機2号機です。川内原発は、布田川断層帯・日奈久断層帯の延長線上にあり、今回の大地震で川内原発立地点での震度は4でした。しかし国は「異常が無かった」として停止することなく現在も運転を続行しており、このことに国民のだれもが強い不安を抱いています。
 4月18日に開かれた原子力規制委員会の臨時の会合では、川内原発で観測された地震の揺れの加速度は最大で8.6ガルで、原子炉を自動停止する基準の1つになっている160ガルを十分下回り、「異常がみられない」ことが報告されました。しかし、地震は今も続いており、川内原発周辺もいつ何どき更に大きな地震に見舞われるか予断を許しません。「異常がみられない」として運転を続けていますが、「異常が起こって」からでは遅いのです。
 更に、川内原発は、再稼働について新規制ガイドラインに定められている「基準地震動」の検討に必要な「内陸地殻内地震」「プレート間地震」「海洋プレート内地震」のうち、「内陸地殻内地震」のみしか検討されていていない「非合法」原発だときいています。鹿児島県の地下深部には「海洋プレート」が存在し、1909年には宮崎県西部の深さ約150キロで推定M7.6の「海洋プレート内地震」が起こり、鹿児島県でも震度5を記録し、甚大な被害が出たそうです。こうした歴史的事実を無視してはなりません。
 「中央構造線」の延長上には、再稼働間近と言われている四国電力伊方原発が立地しています。震源が東に進んでいる中で、伊方原発の再稼動は絶対行ってはならないものです。人命よりも経済優先なのでしょうか。ここに、高浜原発運転差し止めを決定した大津地裁の決定文をご紹介したいと思います。
 「福島第一原子力発電所事故によって我が国にもたらされた災禍は甚大であり、原子力発電所の持つ危険性が具体化した。原子力発電所による発電がいかに効率的であり、発電に要するコスト面では経済上優位であるとしても、それによる損害が具現化したときには必ずしも優位であるとはいえない上、その環境破壊の及ぶ範囲は我が国を越えてしまう可能性さえあるのであって、単に発電の効率性をもって、これらの甚大な災禍と引換えにすべき事情であるとはいいがたい」
 再び甚大な災禍が起きることを防ぐために、国に対し、今回の地震活動で危険が迫っている川内原発1,2号機をまずは停止すること、さらに、伊方原発の再稼動中止を求めていきたいと切に思います。そして何よりも原発ありきが前提とされているこの国のエネルギー政策の根本的転換が必要であると考えます。

 

千葉県にすむ哺乳類16  アズマモグラ

哺乳類研究者 香取市 濱中 修 

モグラの生活

 モグラは、私たちのもっとも近くにいる野生哺乳類です。でも、モグラを見たことがあるひとは少ないようです。
 今回は、絵をたくさん載せました。地上に出て死んだモグラを、私が拾ってきて、見て描いたものです。ゲームセンターにあるモグラたたきのモグラとは、だいぶ違う姿をしていると思いませんか。
 モグラの体は、黒いビロードのような柔らかい毛におおわれています。この毛は、トンネルの壁との摩擦を小さくするのに役立っています。
 モグラの体型は、横幅があって、背腹の幅が小さい。トンネルの中でUターンするとき、モグラは、おへその辺りで体を二つ折りにして、向きを変えます。トンネルは狭いですから、体が扁平でないと、そんな芸当はできません。

   


 とび出た鼻のまわりにある粒々は、アイマー器官とよばれる感覚器官です。モグラは、目が見えません。代わりに、アイマー器官で、土の微弱な震動をとらえることができます。
 ミミズなどの土壌動物が動くと、わずかな震動が土の中を伝わります。モグラは、アイマー器官で、それをとらえて、食物である土壌動物の居場所を知ります。
 モグラは、いつも新しいトンネルを掘っているわけではありません。モグラには、住居にしている自分のトンネルがあり、そこに1匹で住んでいます。ふだんは、その中を巡回して、トンネル内に落ちてくるミミズなどを食べています。
 地震、大雨、人間が行う土木工事などによって、住みかのトンネルが壊れることがあります。モグラは、シャベルのような手を使って、トンネルの壊れた場所から、鉛直に穴を掘ります。そして、トンネルの中の土を、地面の上に押し出して、トンネルを修復します。それによってできる地面の盛土を、モグラ塚といいます。

 

 春、芝生などにミミズ腫れのような盛り上がりができることがあります。モグラにとって、春は食物が不足する季節です。その場所の深いところに住居を構えているモグラが、おなかをすかせ、食物を求めて、地面近くに上がってきて、浅いところに穴を掘っていったのです。
 春先は、地面の近くにミミズがあまりいないということです。モグラは、土の浅いところにいる甲虫の幼虫などを食べにくるのでしょう。
 畑の根菜類が、トンネルの居住者に食べられることがあります。食べたのは、前号で紹介したハタネズミなどの野ねずみです。モグラは、植物をほとんど食べません。

アズマモグラ

 違う種類のモグラが、同じ場所にすむことはできないようで、モグラは、地域ごとに「すみわけ」ています。千葉県にすむのは、アズマモグラです。
 だいたい糸魚川静岡構造線あたりを境に、西日本にはコウベモグラが、東日本にはアズマモグラがすんでいます。この2種は、コウベモグラのほうが、ひとまわり体が大きい。
 本州の山岳地帯には、ミズラモグラという小型の種もすんでいますが、千葉県にはいません。
 新潟県は特別な場所で、私の郷里である魚沼地方にはアズマモグラがすんでいますが、新潟平野にはエチゴモグラが、佐渡にはサドモグラがすんでいます。エチゴモグラは、日本のモグラの中で一番大きい種です。
 魚沼地方にすむアズマモグラは、コモグラともよばれ、千葉県にすむものより明らかに小型です。私は逆ベルグマン現象の1つであると考えています。
 シカでは、北にすむ個体群ほど、個体の平均的な大きさが大きくなります。この現象をベルグマン現象といいます。逆ベルグマン現象は、ベルグマン現象とは反対に、同一種または近縁種の個体の大きさが、寒冷地ほど小さくなるという現象のことです。哺乳類では、正反対の現象が両方とも起こります。

わが昔遊び その2

千葉市稲毛区 石橋 紘吉 

5.水中鬼ごっこ(夏)
 缶けりの代わりに川の中で複数の鬼を決め、逃げ役を捕まえる。捕まった人は鬼の基地で手を繋ぎ助けを待つのである。鬼に捕まらずに逃げ役がアウトの人に触れればアウトの人も生き返るのである。
 川幅もそう広く無く、水深は1.5mほどであったが川の水がそれほど綺麗でなかったので川底すれすれを潜って逃げればなかなか捕まらなかった。こんなことをして泳ぎも達者になった。
水がきたないとか不衛生とかは関係なく、大水がでればそこが遊び場で道路が冠水すればその道路を渡り歩いたり、時には泳いだりした。

6.竹筒鉄砲や竹トンボ(秋)
 笹竹で筒とサヤを作り、榎木の実やヤツデの実を筒の先に詰め、もう一方に木の実を詰めて、サヤで筒の中の空気圧を利用して発射するものである。相手をめがけて打ってあそんだものである。大きな筒の場合は、新聞紙を丸めて噛んで固め玉とした。
竹トンボ作りも楽しいもので竹細工に欠かせない小刀が必需品で何時も持っていた。

7.スズメ捕り(秋、冬)
 スズメ捕りは3つの方法があった。
① レンガの仕掛け
 レンガ2個を使いレンガとレンガの間に餌の米を撒き、一方のレンガを細い小枝で支えて傾け、スズメが餌につられて小枝に触れればレンガが倒れてスズメをゲットできる。この方法はかなり確立が高かった。
② 木の枠に網を張ったものを棒で支え、餌を撒き、棒に紐をつけて遠方から紐を引っ張ってスズメを生け捕りするものである。この方法は見張りをしなければならず根気がいるもであった。
③ ゴム銃
 Y字型の木の枝を切り出し、これにゴム紐をはり小石を飛ばして当てるものである。スズメに当てることはなかなか難しかった。

8.魚とり(春、夏、秋)
 魚とりは(川魚)色々の方法があり、楽しいものであった。色んな方法で魚とりをして楽しんだものである。魚とりは雨が降ろうが、早朝、昼間、夜とその時間に応じた方法で楽しんだ。
 ① 流し釣り…ハヤ、小鮒、コイ、フナ
 ② 投げ釣り…フナ、コイ、ナマズ
 ③ 仕掛け釣り…ナマヅ、ウナギ、ライギョ
 ④ 川えび釣り…エビ
 ⑤ 素もぐり捕り…小鮒
 ⑥ 魔法受け…フナ、コイ、ライギョ
 ⑦ 追い込み漁…小鮒
 ⑧ 川干し…小鮒、ナマズ、コイ
 ⑨ ドジョウ捕り…ドジョウ
 ⑩ ドンコ釣り…ドンコ
 ⑪ ヤス突き…フナ、コイ
 ⑫ ザニガニ釣り…ザニガニ

9.竹馬
 自分で作り1m,2mと高いものも作った。

10.釘打ち
  5寸釘を地面に投げ打ち込み、相手の釘を倒す。倒された釘を地面に並べて、これにめがけて釘を投げ打ちカチンと当たればゲットできる遊びであった。5寸釘を手に入れることが難しく余り流行ることはなかった。

11.木登りとムクの実(秋)
  秋になるとムクの実が熟れ、おやつ代わりに腹いっぱい食べた。ムクの木は高さ30m以上で直径1mを越すものが多く、その木に登るのである。今思うと良くぞ登ったものと思うし、今の子は登れないだろうし、親もそんな危険なことはさせないだろう。まるでサルの如く細い枝先まで登り、ムクの実をポケット一杯もぎ取った。
  又、榎木の実を採るため榎木の大木にもよく登った。このムクの実を採るため木登りも子供の楽しい遊び?の一つで10月の実りの時季はこうして遊んだものである。

  

 貝のよもやま話 26
 -「トップシェル」ってしっていますか?-

  千葉港ポートパークかもめのクリーン隊 千葉市中央区 谷口 優子  

  先日、市内の某デパートの海産物売り場で目にした光景です。貝の加工品を手にした男性のお客さんが「この貝、輸入品なんですが・・・・」と店の人に尋ねているところでした。彼の持っていた製品を裏返して見てみました。原材料がトップシェル(トルコ・ブルガリア)となっています。貝をわさびで和えた珍味のようです。きっとお店の人も困ったのではないでしょうか。
 「トップシェル」というのは英名で実は和名のアカニシのことです。アカニシは干潟などでふつうに見られる巻貝で、殻の口が赤いことに由来しています。富津岬の磯料理店では「ニシ」と呼ばれていてお刺身としてメニューに載っています。実はこのアカニシ、30年くらい前まではサザエの代用として南房総方面の旅館の食事にも出されていたそうです。(サザエの殻の中に切ったアカニシを入れた)サザエよりやわらかく、くせも苦味もなく、しかも安いので店側にもお客さんにも好評だったようです。食品偽装に引っ掛かるためいまはそのようなことはありません。
 トルコ・ブルガリアの貝がなぜ日本に輸入されてくるのでしょうか?それには理由があります。簡単なことで現地では食べないからです。トルコに赴任した知人に聞いたところ、マーケットで魚は見たものの、巻貝は見たことがなかったということです。日本周辺がアカニシの原産ですが、養殖用のカキの稚貝に混じってトルコ・ブルガリアに1960年代に移入されたといわれています。現地では食用にされないアカニシを「トップシェル」として日本の水産加工会社が目をつけて逆輸入しています。焼き貝にしたおつまみ、缶詰などがあります。
             
   アカニシという貝には蓋があります。この貝の蓋らしいものを中東の市場で「貝香」という形で売っていたそうです。(千葉県立中央博物館 黒住先生談)。
 貝の蓋は旧約聖書に書かれている最古の香(シュヘレテ香)の中に含まれているといわれています。その貝はおそらくもっと蓋が細い別の種類の貝だと思われます。香として使われる貝の蓋は革質・・・・タンパク質でできているのではっきりいって火にくべると髪の毛の焦げたようなニオイがするはずです。単独では使わず、ほかの香木や乳香と混ぜて使用すると香りが長持ちする作用があるらしく、日本でも貝香は古くから練香に用いられています。
 移入したカキの稚貝についてきたトップシェルは黒海で繁殖し、日本の食卓に上っています。そして貝の蓋は中東で香の材料として売られています。なんとも不思議な貝の旅です。そうそう、デパートで会った人はトップシェルの加工品を買って帰りました。


【発送お手伝いのお願い】

 ニュースレター2016年6月号(第227号)の発送を6月8日(水)10時から事務所にておこないます。
発送のお手伝いをしてくださる方を募集しています。よろしくお願い致します。


 編集後記:熊本・大分で起こった大震災、心よりお見舞い申し上げます。東日本大震災が起こったときと同じように、今回も「予想外・想定を超えた」という言葉を耳にしました。人間の知識の歴史は、地球のそれには遠く及びません。にもかかわらず相変わらず川内原発は稼働したままです。経済優先主義から脱却し、本当の幸せとはどういうことか、真剣に議論し、実践していきましょう。 mud-skipper