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ちば環境情報センター > ニュースレター目次>ニュースレター第270号 

2020.1.8 発行  代表:小西 由希子

目   次

  1.  COP25報告 vol.1  ~主要議題で合意に至らず。しかし、評価できる点も~
  2. 海洋ごみとマイクロプラスチックについて考える
  3. 海大好き、貝大好き(後編)
  4. 新浜の話24 ~行徳近郊緑地特別保全地区~
  5.  臨時総会報告

 COP25報告 vol.1
―主要議題で合意に至らず。しかし、評価できる点も―

国際環境NGO FoE Japan 高橋 英恵 

 2019年12月2日から15日、スペイン・マドリードで国連気候変動枠組条約締結国会議(COP25)が開かれました。当初は南米チリでの開催予定でしたが、首都サンティアゴで続くチリ現政権に対する抗議行動を理由に、チリでの開催は急遽中止となりました。しかし、即座にスペインが代替地として名乗りでたことから、議長国はチリのまま、開催地をマドリードに移し開催されることになりました。

 

 交渉は最終日とされていた13日から2日後の日曜昼過ぎに閉幕。史上最長の長さとなったCOP25ですが、注目されていた論点は「野心引き上げ(国別目標強化) 」「パリ協定6条の実施細則決定(国際市場制度に関するルール)」「損失と被害への対策」です。
 国別目標強化について、パリ協定下で締結国は各々の削減目標を2020年2月までに再提出することが決まっています。目標を”強化”して再提出することが今回決定されるかが焦点でしたが、「可能な限り最も高い野心を反映するよう呼びかける」に留まり、目標強化の決定には至りませんでした。
 国際市場制度に関するルールも合意に結びつかず、6月の中間会合に持ち越されることになりました。国際市場制度は、温室効果ガスの“排出量を制限”したり、排出した分の“埋め合わせ”を行ったりする制度です。国際市場制度は一見、排出量削減につながるように思われますが、実際には継続的な排出を認めることになるため、排出量大幅削減を遅らせるという致命的な欠陥があります。また、排出した分の“埋め合わせ”を実施しようと、先進国を中心とした多くの事業者は、費用を抑えるために途上国等で実施する事例が多く、その多くが実質的な削減でなかったり、環境破壊や人権侵害が生じていたりしています。例えば、森林保全を行い、温室効果ガス吸収源を確保した分に見合う金銭的付加価値をつけるREDD+という国際制度がありますが、同制度によって先住民族が住む土地の囲込み等の問題が発生しています。このように、人権侵害や環境破壊が多く報告されていることから、既に気候変動の影響を被る途上国を中心とした市民社会や先住民族団体等は強く反対しています。
 損失と被害について、中国含む途上国は損失と被害に対応するための新しい資金制度の構築を強く求めましたが、米国や日本、豪州を中心とした先進国の反対により合意されませんでした。しかし、途上国によって提案された損失と被害に対処するための支援強化を図る「サンティアゴ・ネットワーク」の設立が決定しました。
注目論点での合意がなかった今回の交渉は「失敗」のように見られがちですが、国際市場制度への未合意はむしろ多くの排出を許す細則決定に至らなかったことを示し、また、損失と被害への対応に向けたネットワーク構築への合意を鑑みると、既に気候危機に直面している途上国にとって今回の結果は、前進とはいえないものの後退ではない結果であると言えます。              (つづく)

海洋ごみとマイクロプラスチックについて考える

日本環境衛生センター 川崎市 高橋 克行 

 去る2019年11月9日、早水輝好さん(国立環境研究所環境リスク・健康研究センタープロジェクトアドバイザー)による学習会「海洋ごみとマイクロプラスチックについて考える」が千葉市中央区で開催されました。早水さんは長く環境省で環境保全行政にたずさわれていた方で、現在もマイクロプラスチックの国際会議で各国との交渉を担っておられます。

 

 この日は次の5つのパートに分けて講演くださいました。①海洋汚染への対応、②海洋ごみとマイクロプラスチックの現状、③海洋ごみとマイクロプラスチックに関する国内対応、④海洋ごみとマイクロプラスチックに関する国際動向、⑤今後の方向性です。この中でも皆さんの関心があるのは②と⑤でしょう。

 

 まず現状です。海岸に多くのプラスチックごみが流れ着いていることはニュースレター262号で森口さんが報告した通りです。そして「マイクロプラスチック」と呼ばれる小さなプラスチックの破片が問題になっています。マイクロプラスチックとは5 ㎜以下のプラスチックごみのことを指します。それは2種類に分けられていて、最初から5 ㎜以下の大きさで作られたプラスチックを一次的マイクロプラスチックと呼び、はじめは大きなサイズで作られたプラスチックが自然環境の中でどんどん小さくなって5 ㎜以下になったものを二次的マイクロプラスチックと呼ばれています。一次的マイクロプラスチックにはプラスチック原料となるペレットや、化粧品や洗顔剤に含まれるスクラブ剤があります。ほかにも自動車のタイヤが走行中に微粒子化したものがあります。これらのマイクロプラスチックは北極や南極を含む世界中の海で見つかっています。コンピュータを使って世界のどの海にたくさんあるのかを計算した結果をみると、日本の近くにもたくさんありそうです(下図参照)。

 

 またどの国がたくさん海にプラスチックを出しているかを推定した研究もあります(Jambeck, 2015)。それによれば上位には中国をはじめとするアジア諸国が並んでいます。米国は20位、日本は30位ということです。これは各国のプラスチック使用量やプラごみの処理状況などから計算したものです。日本は30位だからと安心してよいわけではなく、一人当たりの使用量は前述の森口さんの報告にもあるように世界で3位となっています。
 これらのプラごみやマイクロプラスチックが生態系に影響を与えていないのかということが気になります。クジラやカメのおなかの中からプラごみが見つかったというニュースをよく目にしますし、アホウドリからマイクロプラスチックが見つかった例も報告されています。またプラスチックにPCBなどの化学物質が吸着しやすいこともわかっています。このことについて影響があるという研究者もいれば、影響はないという研究者もいます。プラスチックを食べてもそのまま、体を通過(排泄)されれば問題ないですし、吸着した化学物質が体の中で溶け出すかどうかもよくわかっていません。そもそも、もともと環境の中には多くの化学物質が存在しているので、プラスチックを通して取り込む化学物質との影響の大きさも考えなければなりません。このようにまだ多くの研究が必要とされているということです。
 では日本や世界ではどのような取り組みがなされているのでしょうか。国連環境計画(UNEP)やG7、G20で国際的な議論が本格的に始まっています。UNEPの意思決定機関である国連環境総会(UNEA)の第4回総会が2019年3月に行われ、「海洋プラスチックごみ及びマイクロプラスチック」に関する決議が採択されました。それによれば科学的基盤の強化とともに、専門家会合でどのような対策ができるかを議論することになっています。日本としては、対策は十分な科学的知見に基づくべきであるべきだということや、対策が効果的で実行可能な方法で取り組むべきだということを主張しています。この問題には課題がたくさんあります。今後の対策を考えるには、プラスチックごみ・マイクロプラスチックの実態や生態系への影響をよく理解する必要があります。また日本はプラごみを焼却(サーマルリサイクル)していますが、国際的には温暖化防止の観点で否定的です。プラごみ規制を国際条約で取り組んでいくのか、各国の自主的な取り組みに任せるのかなど、まだまだ考えなければならないことだらけです。最後に参加された方々の質問を紹介します。

<質問事項と回答>
Q1 マイクロプラスチックの種類は?
A1 (高橋より)ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンが多い
Q2 サーマルリサイクルについてどのように考えるか?
A2 温室効果ガスの問題と一緒に考えるべき。有効利用することで対策になる
Q3 ダイオキシンの発生抑制とNOx抑制とはトレードオフだが
A3 大気汚染対策は高度化している。途上国へ技術協力と費用が問題
Q4 フリースはマイプラになるのでよくないのか
A4 どのような処理をするかでマイクロ化するかが別れる。純度が高ければよい資源にもなる
Q5 君津市ではプラスチック容器をリサイクルしていると理解している。一方、小櫃川では河川からもマイクロプラスチックが見つかっている(毎日新聞2/1)。農業従事者への周知がいきわたっていないのではないか?
A5 中央省庁の連絡会議で環境省や農水省とで情報共有されている
Q6 石油から製造される製品が社会にも深く浸透している。拡大生産者責任の考え方もあったが経団連からの抵抗もあった。製造業の意見もあろうがどう取り組むか?
A6 プラスチックは食品衛生の維持、機能性繊維など利点もある。賢く利用することが大事で、不要なところを削減すべき。企業側、消費者双方が努力する必要がある
Q7 日本の排出が30位というのは違和感ある。海域を示してもらいたい
A7 これは実際に調査したものではなく、Jambeckが推計したもの。各国の使用量やごみの管理の仕組みから推計したものだ
Q8 海洋に流出することが問題で、それを防止すればよいのではないか?
A8 その通りでもある。我が国では法律で罰則があるので理論上は流出しないはず。ただ実際には相当な量の流出がある。その方策を考えなければならない
Q9 ペレットは少しこぼれた程度とは思えないほど海岸にある。規制の取組みは?
A9 海洋汚染防止法は海のことを規制しているので、ペレットを規制するなら水質汚濁防止法
Q10 主婦目線ではエコたわしのように良かれと思ってやっていることが、実は環境汚染につながっているのではないかという自己嫌悪がある
A11 市民としてはやれる範囲で、減らせることは減らしていくという取り組みから始めたい

【参考文献】
Eriksen et al., PLoS One, 9 (2014).
JAmbeck et al., Science, 347, 768-771 (2015).

海大好き、貝大好き(後編)

千葉市美浜区 熊野 志功 

 バットに並べた貝殻を見ながら、毛木先生と、それからもうひとり、貝についてとても詳しくて海岸の清掃活動もしていらっしゃる、谷口優子さんが、解説をしてくださいました。
 ハマグリは、焦茶色の丸っこい固有種でした。外来種の大きなハマグリと違って柔らかいそうです。外来種ホンビノスは、アメリカでよく食べられています。バカガイというは、アオヤギ(青柳)のことです。青潮に弱く、最近は少なくなりました。アカガイの仲間の見分け方も教わりました。ハイガイは、化石で殻が厚く、筋が18本、サルボウは、内湾に生息し、筋が32本、アカガイは、殻が薄く、筋が42本です。ヘモグロビンを含んで真っ赤な体液をもつアカガイは、かつて東京湾の名産でした。ムラサキイガイは、ヨーロッパ原産の外来種で、ムール貝と呼ばれています。ミドリイガイは、東南アジア原産の外来種で、温暖化により北上してきました。海岸にまかれた砂に混じっていたと考えらるのは、付近に生息しないツキガイモドキとヌマコダキガイです。エゾタマキガイは、千葉が寒冷だった時代に育った貝の化石です。おもしろい生態の貝もありました。シマメノウフネガイ、別名スリッパシェルは、性転換します。加曽利貝塚犬カソリーヌの首飾り、イボキサゴは、肉食が多い巻き貝には珍しく、プランクトン食です。貝にまつわる話はおもしろくて、興味が尽きません。
                                               (熊野志功こと磯田尚子 慶應義塾大学大学院講師)

新浜の話24 ~行徳近郊緑地特別保全地区~

千葉県野鳥の会 市川市 蓮尾 純子  

 行徳地域問題審議会の答申をうけて、千葉県が新浜鴨場と隣接の海を「行徳近郊緑地保全区域」に指定したのは、昭和45年(1970年)5月25日、同年8月28日には「行徳近郊緑地特別保全地区」に指定されました。特別保全地区の指定を受けると、保護区の造成や漁港の移転費用など、必要な経費の3分の1が国から補助されます。
 ネットの便利さ。表題の語句を入力すれば、千葉県と市川市のホームページであっさりこれらのことがわかります。行徳野鳥観察舎友の会が行なっている行事の予定も見られます。
 1971年に卒論のため新浜鴨場のサギのコロニーに通っていたころか、その少し後、近郊緑地特別保全地区の造成が始められました。塩浜1・2・3丁目の造成といっしょに市川市開発課が担当したものです。塩浜の造成工事は、鋼矢板を打ち込んで囲いを作った中に、サンドポンプで海底をけずった泥水をサンドパイプで流し込む吹き上げ方式です。この工法の難点のひとつ、粒が大きくて重い順に土砂が沈み、表層に粒子のこまかい泥水が残るという状態が、塩浜にも当然起きました。一方、行徳保護区では、設計上必要とされていた土量が確保できないという事情。一挙両得の方策として、塩浜の埋立地表層のシルト・粘土を多量に含む泥水が、造成中の保護区に流し込まれました。あふれた泥水が堤防をこえて、新浜鴨場に流れ込むという事態まで起きました。
 新浜鴨場と言えば、1970年代前半(何年だったかきちんと覚えていないのですが)、周囲の埋め立てが進んで鴨場内にも水がつくようになり、地盤全体をかさ上げするという工事が行われたことがあります。40~50㎝、たぶんぜんたいが山砂でおおわれたはずですが、ふつうならはびこる外来植物は目立たず、翌春にも以前と同じようにムラサキサギゴケが咲いたのを覚えています。
 外周をぐるりととりまく幅20mの緩衝緑地は(たぶん観察舎前の導流堤も)、浚渫船で保護区内の海底から土砂を上げました。導流堤のあたりは、もともと現在の福栄公園と欠真間三角のところにあった舟だまり(漁港)から、三番瀬の海苔漁場へ向かうみおすじで、極端に軟弱な地盤だったとのこと。造成するそばから、どんどん沈下したり歪んだりする難工事と伺いました。ケーキのような丸い形をした保護区本土部の基礎は吹き上げ方式で、ここにサンドポンプが置かれたと思われる深みが、千鳥橋に近い「北の釜」、暗渠水門の前、行徳高校の前に残っています。こわれた大きなサンドパイプがいくつか放置され、錆び朽ちるにまかされていました。
 最終的な仕上げとして、保護区本土部にはビニールシートを敷き、水道水を水源とした淡水池が造成されました。また、表面には山砂や海砂を敷き、切り立った岸は海面まで斜面にならしました。周囲の緩衝緑地帯には、50㎝、径1㎝ほどの苗木を1m間隔で植え、一角にプレハブ2階建の管理棟(後の行徳野鳥観察舎旧館)を建てて、1975年3月に市川市開発課から千葉県に移管されています。
 さて、1975年に入ったころ、大町自然公園(大町自然観察園)の設置が報じられたか何かのきっかけで、市川市役所(千葉県庁だったか)を訪れた記憶があります。たしかその時に、行徳に観察小屋を作ったけれど、管理に入る人が見つからない、という話を聞きました。


 臨時総会報告

 2019年11月23日10時30分から、千葉市民活動支援センター会議室にて、臨時総会を開催しました(正会員39名のうち出席者9名、委任状20名)。事務所移転に伴う定款変更議案について承認可決されましたので、ご報告いたします。(事務局)

【発送お手伝いのお願い】

 ニュースレター2020年2月号(第271号)の発送を2月7日(金)10時から千葉市民活動支援センター会議室(千葉市中央区中央2-5-1 千葉中央ツインビル2号館9階)にておこないます。発送のお手伝いをしてくださる方を募集しています。よろしくお願い致します。

編 集 後 記

編集後記:今年もよろしくお願い致します。
 下大和田での自然観察会も本年1月で240回目になりました。先日千葉市内で谷津田保全活動団体交流会が開催され、活動継続に関する課題が話題になりました。今後も情報交換や交流を深め知恵を寄せ合っていこうと、引き続きの開催が約束されました。   mud-skipper♀