ちば環境情報センター ニュースレター 第108号

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2006.7.7発行   代表:小西 由希子


目次

  1. 谷津田に小学生がやってきた!
  2. 第9回 ちば環境情報センター 環境活動実践ワークショップ報告
  3. 下大和田“夢”計画(YPP)グループ
  4. 環境活動支援ショップ「わらかふぇ」グループ
  5. 川に親しむ観察会報告 − 環境省・身近な水辺の一斉調査同時開催 −

谷津田に小学生がやってきた!

千葉市緑区 江澤 芳恵

 千葉市緑区あすみが丘小学校の5年生80人による小山町谷津田見学会が6月7日に行われました。5年生の娘が学校で谷津田だよりを見せ、普段行っている小山町での活動を紹介したことがきっかけとなりました。


あすみが丘小5年生を前に「谷津田ってどんなところ?」

5年生は社会科で米作りの学習をします。教科書に出てくるのは大規模な機械を使った米作りですが、地元で昔ながら行われている機械を使わない谷津田での米作りについて農家の方にお話を伺ってみたい、という先生方のご意向で実現しました。
米作りのお話には地元の農家の方3名が協力してくださいました。その他、各地で観察指導をされている方3名とあすみが丘に住んでいる方9名がボランティアとして子どもたちに同行しました。見学は、1クラスが地元の方から米作りのお話を聞いている間、他の2クラスは谷津田2ヶ所を散策する、というように3クラスに分かれて行いました。私が同行したクラスは谷津田2ヶ所を散策したあと、最後に米作りのお話を聞くコースです。
はじめに、全員で「谷津田ってどんなところ?」という話を聞いたあと、たも網を持って出発です。いきなりハチに出会って騒ぎ出す子どもたちに対して、観察指導をしてくださった網代さんから「虫が嫌いな人?」の質問。たくさんの手があがりました。網代さんが、「みんなにもお父さんお母さんがいるように、虫にも子どもたちがいる。その子どもたちに手を出されたら親は守ろうと必死になるけれど、私たちが何もしなければ虫も何もしないから大丈夫。」とお話してくださると、静かに聞き入っていました。そのあと、キイチゴを食べる代表者決めじゃんけんをしたり、スイカズラの甘い香りに静かに目を閉じたり、毛むくじゃらの毛虫を見つけてみたり、水路でホトケドジョウをつかまえたり。。。
あっという間に時間は過ぎて、次のポイントに移動です。はじめはちょっぴり受け身だった子どもたちも、時間が経つにつれ、変わってきました。2ヶ所目の散策では、誰かがキアゲハの幼虫やサワガニやオケラを見つけるたびに、「見せて!さわらせて!」の声。「虫が嫌い」と手をあげていたはずの子どもたちが、いつのまにか、競うように虫にさわっては目を輝かせていました。田んぼを覗きこみ、オタマジャクシを見つけたり、「カエルがいた!」「トンボだ!」と、次々に歓声が上がりました。
そして、いよいよ最後に地元の方との米作りの学習。「この田んぼではどれくらいお米がとれるのですか?」「台風がきたらどうするのですか?」など、地元の方に次々と手をあげて質問です。中には、「田植えをしながらどんなことを考えているのですか?」といったユニークな質問もありましたが、地元の方は、ひとつひとつの質問に対して、一生懸命考え、答えてくださいました。また、害虫についての質問には、実際に米についたドロオイムシを見せていただくこともできました。子どもたちはドロをどけて、中にいる幼虫を熱心に観察していました。
1時間半はあっという間に過ぎてしまい、子どもたちが帰る時間になりました。もっともっと、ゆっくり子どもたちと過ごしたかった、そんな感じでした。見学会が実現し、私たちがいつも活動している谷津田にたくさんの子どもたちが来てくれたこと、地元の方やたくさんの生き物とふれあえたこと、嫌いだったはずの虫をちょっぴり好きになれた子がたくさんいたことをとてもうれしく思います。
わたしも、子どもたちと一緒に歩きながら、生き物に対する時の姿勢であるとか、五感を使って自然を感じることの大切さ、楽しさをあらためて学ぶことができました。本当にすてきな1日でした。地元の方やお手伝いをしてくださったみなさんには感謝の気持ちでいっぱいです。

第9回 ちば環境情報センター 環境活動実践ワークショップ報告

長生郡長柄町 田中 眞夫 

 「いいプログラムができたね」と口々に言い合って分かれた千葉市少年自然の家での2005年度エコの丘セミナーからまる一年。ちば環境情報センター恒例のプログラム作り合宿「第9回 環境活動実践ワークショップ」が2006年6月10日,11日の1泊2日で行われた。今年はいつもの「ちばコープ産直の家」に場所を戻しての開催。延べ23人の仲間が集まって真剣な話し合いが行われた。

今年の活動計画を話しあう 参加者一同

今年はいつもと趣を変え「夢を語る」からスタート。小西代表の軽やかな挨拶のあと、「実現できそうもない夢を出してください」と口火を切ったのは八日市場駅から歩いて到着した高山さん。まずそれぞれ車座になって、配られたA4の裏紙に向き合う。
すらすら書き出す者、うなったきり空をにらんで一言も発しない者。それぞれの30分が過ぎた。挨拶代わりに誕生月順にそれぞれの夢を発表。身近なことから実現しそうもないことまで、参加者の個性にあふれた夢がボードに並ぶ。
出揃ったところで夕食の準備だ。今年の夕食には参加者の熱い思いがあった。なんと鯨が食べられるとの前情報。それに釣られて参加した者もいたくらい。日本捕鯨協会に勤務する小泉さんが提供してくれた鯨肉でのバラエティーに富んだ夕食が野外テーブルで始まったのは日も暮れた7時を回ったころ。近くの魚屋さんで仕入れた新鮮なかつおのたたきの隣には鯨の竜田揚げ、鯨汁、鯨ステーキ、鯨のづけなど定番の鯨料理。
初めて鯨肉を食べた人から小学校の給食を思い出しながら懐かしく食べる者までさまざま。おいしい鯨肉に舌鼓を打ちながらたらふくいただく。一同大満足。酔いも回って来た頃、座敷に上がって小泉さんの鯨講座を拝聴。調査捕鯨の意義、その結果としての鯨肉の消費に対する偏見、水産資源としての鯨の果たす役割など興味深いお話しを聞きながら夜がふける。
気持ち良い眠りを覚ましてくれたのは雨足の音。「さっきからオオタカの声がする」と双眼鏡を片手に飛び出したのは田中先生。双眼鏡で覗いたむこうの森の上に立派なオオタカの姿に一同感動「いるんですねえ!」。
朝食後、昨日の夢を囲んで更に話し合いが続く。出てきた夢をみると思いが共通する項目が多いことに気づく。下大和田での自給自足の協同生活を夢見るグループ、更に進化する下大和田の田んぼを夢見るグループ、自分達で手作りショップを目指したいグループ。思いがわかればあとは簡単だ。3つのグループに分かれて実現するための作戦会議の開始だ。さっきまでの小さな夢が現実のものに見えてくる瞬間。これがこの合宿の醍醐味だ。
約2時間の話し合いの後、グループ毎に計画の発表。驚いたことに、昨日までは単なる夢だったことが、詳細な実行計画までに仕上がっている。「下大和田、夢計画チーム」は刈り払い機の購入や図鑑製作など具体的なアクションプランまで決めていた。「自給た足チーム」は「穂田流(ほたる)通貨(地域通貨)」の具体化と実験マーケット開催日時と実行計画まで作成していた。
最後まで手作りにこだわっていたチームはなんとマイショップの展望までつかんでいた。「わらかふぇ」と命名し、手作り品の販売や提供するサービス内容、出店の候補の場所まで決めていたから驚きだ。詳細はそれぞれのグループの報告にゆだねるが、定評のある参加者それぞれの行動力の産物といってよいだろう。
最後に鯨のひげを持っての記念撮影。お片づけを済ませてかぎを閉めたころにまた雨脚が激しくなってきたが、「夢が現実になる」予感に胸を膨らませながらそれぞれ家路についた。さあ、今年の一年も楽しみだ。

下大和田“夢”計画(YPP)グループ

〈メンバー:平沼勝男,福満美代子,田中正彦,大友英寿〉 

 自然豊かな千葉市緑区下大和田の谷津田をより素晴らしいものにし、自然と人々の暮らしとの調和のとれた里山の原風景を再生したい。そして、その価値を多くの人々に知ってもらいたい。そう考え、私達は以下の計画をたてました。

下大和田“夢”計画(YPP)グループ
◆ 谷津田の景観のために、放置されたままの葦原の伐採
   古代米田んぼの北側の葦原は長年手付かずの状態。景観と将来の復田への足がかりに葦原を伐採します。
   刈り取った葦は“秘密基地”の材料に! そのために、刈払機を新たに2機購入。計4機に。
   メンバー:全員
◆ まるごと図鑑を発展させよう。そのための話し合いをしていこう
   まるごと図鑑内容をもっと豊富に、その手始めとして、谷津田フォーラムのホームページに、谷津田図鑑を掲載しよう。
   その話し合いを進めていきます。   まるごと図鑑製作会議の実施(実施日:6月25日,7月2日 場所:下大和田谷津田)
   メンバー:網代,田中,高山,桜井,平沼 他
◆ エコメッセで谷津田植物の販売。間引き・草取りの有効利用
   水田雑草であるコナギ、オモダカ、林床に増えてきたサンショウ、フジの若芽、ドングリの成る木コナラ、などなど。
   エコメッセ(9月)に販売できるように準備を開始する。
   当初はビニールポットを考えたが環境に配慮し、竹を切って使おう。
   メンバー;福満,平沼,他ご協力いただける皆様
◆ 森の遊び場をひろげる
   木登り・秘密基地・お昼寝・昆虫採集・・・・ブランコに続く楽しい遊を広げよう。森は冒険、探検そしてわくわくランド。
   メンバー;平沼,石橋,春山,福満,田中

(文責:平沼勝男)

環境活動支援ショップ「わらかふぇ」グループ

(メンバー:小西由希子,南川忠男,高山邦明,田中七重,中村彰宏) 

 環境活動に欲しいもの。それは、「たくさんの人の認知と支援」「活動の参加者」「活動のための資金」。
その課題を一気に解決しよう!というのが、今回できたチームの目標。それは、環境活動を支援するお店を開いてしまおうという壮大なプロジェクトとなました。お店の中では、環境活動・団体の情報発信スペースや、自然素材クラフトや環境にやさしい商品などの販売の他、工作や伝承遊びができるコーナーやイベントを提供します。また、くつろぎスペースを作って自然が好きな人たちの交流の場にもできれば、ネットワークも広がります。

環境活動支援ショップ「わらかふぇ」グループ


そんな「絵に描いたモチ」を現実にするため、まずは情報収集と素材集めです。最初は環境イベントでの出店を足がかりに可能性を広げていきます。
お店の名前は「わらかふぇ」。ワラのように強く、いろんな役に立ち、そしてわらいのたえない場所づくりを目指します。賛同者、アイデア募集中!                                                                             (文責:中村彰宏)

川に親しむ観察会報告
    − 環境省・身近な水辺の一斉調査同時開催 −

千葉市緑区 渋谷 雄二 

 私は、平成18年6月11日(日)、雨天にもかかわらず茂原市役所脇の豊田川(一宮川支流)で川の生物観察と簡単な水質調べに行ってきました。
この観察会は環境省の身近な水辺の一斉調査と同時開催で地元の川に住む生物や水質を調査して、川の環境保全についてみんなで考えようという目的で行われました。主催者は『茂原自然大好きクラブ』という団体で代表者は森林インストラクターで(財)日本自然保護協会の自然観察指導員でもある望月力智さんです。今回の参加者は子供から大人まで25名位でした。(アバウトですみません。)

午前10時に茂原中央公民館内でオリエンテーションを行い、さっそく豊田川(一宮川支流)に降りて前日に仕掛けておいたスダジイの枝の下に大きな網を入れて枝を揺するとその中になんとスジエビやドジョウ、ギンブナの稚魚、マツモムシ、外来種の嫌われ者オオクチバスの稚魚などが捕獲できました。ニホンアカガエルも泳いでいました。なんでも水生生物を調査することによって水質(水の汚染度)を概ね判定することができるそうです。(このような生物のことを指標生物と言うそうです。)
ちなみに水質階級にはT〜Wまであって上記の生物の中で指標生物とされているスジエビは水質階級U(良いほうから二番目)だそうです。(目視では前日からの雨の影響で少し濁っていました。)この日は元東邦大学教授の秋山章男先生が自ら胴長靴を持参され、川の中に入りいろいろな生物をプロの技で捕獲していただきました。水槽内で捕獲した生物を観る子供達の真剣な眼差しがとても印象的でした。(ひょっとしてこの子達は末は生物学の博士になるのでは?・・・と思いました。)
その後、茂原中央公民館に戻り秋山章男先生から豊田川(一宮川支流)で捕獲した川の生物と水質保全のお話しを聞き、一宮川の源流部、中流部、河口部で採取した水で簡単なCOD(化学的酸素要求量)で川の汚染度を測定しました。測定結果は当然のように源流部から河口部に向かうに従っての値が増えていました。やはり一般家庭からの生活排水などの影響がかなりあるようです。
一般的に河川のように水の滞留時間が短く、その間に河川の水中の酸素を減少させるような物質、つまり生物によって酸化されやすい有機物が主な規制の対象となる場合はBOD(生物化学的酸素要求量)を測定し、海域や湖沼のように水が滞留時間が長いために有機物の全量を規制の対象にする必要があるので有機物の全量をつかみやすいCODを測定するそうです。
昼食後は生活排水を少なくするためにどうすれば良いのか参加者全員で話し合いました。結果として身近に出来ることから実行しよういうことを誓い合いました。
続いて望月さんから『雨の行方と森の働き』についてのお話・・・『森に降った雨が土に浸透し森の栄養分を含んだ水が川に流れ込み、その水がプランクトンを発生させて豊かな海を育てる。』これをテーマにした(じゃんけんゲーム)『雨つぶ達の旅』・・森に降った雨(水滴)がじゃんけんをしながら汚染されないように海までたどり着けるかどうか?というスリルとサスペンスの感動ものです。
私は今回の観察会に参加して私達の住んでいる地球の大切な自然環境とりわけ命の源である水の大切さを改めて痛感しました。

事務局より 2006年度総会が行われました

6月24日、2006年度 ちば環境情報センター総会が事務所にて実施されました。
田中正彦氏を議長に選出し、正会員48名中、出席者14名,委任状14通(合計28名)で
正会員の過半数を超えたことを確認。2005年度活動実績報告,
収支予算報告及び監査報告,2006年度活動予定,収支予算が承認されました。
会員の方には、関係書類を同封いたしましたので、ご確認ください。
【発送お手伝いのお願い】

ニュースレター8月号(第109号)の発送を8月7日(月)10時から事務所にておこないます。
発送のお手伝いをしてくださる方を募集しています。よろしくお願い致します。

編集後記:7月2日の滋賀県知事選で、嘉田由紀子さんが当選しました。嘉田さんといえば環境社会学の第一人者で、フィールドワークに徹した行動派の研究者です。「もったいない」を合い言葉に、経済優先の政党相乗り候補を破ったのも時代の流れでしょうか。今後の環境行政など、その手腕に期待しましょう。mud-skipper