ちば環境情報センター > ニュースレター目次>ニュースレター第109号
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千葉市美浜区 小泉 龍人
■はじめに
去る6月10日、ちば環境情報センターの研修会で「クジラを食べて環境を考える」という大変貴重な機会がありました。
1970年代に反捕鯨国と過激な環境保護団体の手によって、クジラが環境保護の象徴にされて以来、捕鯨業は自然環境の保全と両立する持続可能な社会作りという時代の流れに逆行とした生業とされてきました。現在でも欧米や豪州のメディアではクジラの話題は毎日のように見受けられますし、環境問題に強い関心を持つ方は、クジラを食べることに強い抵抗を感じるようです。
そんな中で環境を具体的に守り育てている地域NPOが捕鯨をめぐる主張と事実について考えをめぐらすことは、たとえその規模が小さいとしても、それ自体として大変意義深いことです。
当日は日本捕鯨協会の協力を得、クジラの赤肉と皮の提供していただき、かつて給食にでていた懐かしい「竜田揚げ」、しっとりとして旨みのある「お刺身」や「漬け」、夏のスタミナ源として日本海側で親しまれた「鯨汁」、今風の「クジラのサイコロステーキ」などを皆で食することができました。子どもの頃に食べていた鯨の美味しさを思い出した方もいれば、柔らかく味が滲みた竜田揚げは子どもたちも喜んでくれました。
さて、いわゆるクジラ論争には政治、経済、自然科学、社会文化、歴史といった多様な切り口があります。ここではクジラを捕ることが本当に環境破壊的であるかどうかという一点に絞って話をすすめます。
■クジラは絶滅の危機にあるのだろうか?
人類の環境への負荷によりあらゆるクジラが絶滅の危機にあるとすれば、たしかに、クジラを保護することは環境のバランスを考慮することであり、環境保護活動そのものだと考えるのは自然な思考の流れかもしれません。
とはいえ、本当にクジラは絶滅の危機にあるかといえば、それは誤解です。
むしろ、ある種のクジラは増えすぎており、希少な種類のクジラの個体数の増加を妨げているおそれすらあります。まず、クジラの種類は世界中の海で83種類が確認されており、すべてのクジラが絶滅の危機に瀕したことは、一度もありません。特にミンククジラについては資源の数は非常に潤沢であるとされています。南極の周りの海だけをとっても7万6千頭以上も生息することが、国際的な共同調査によって合意されているのです。そして、南極のミンククジラは年間に約4%増殖していますので、毎年3万頭近く増加していることが予想されます。これに対して、2005〜2006年にかけての南極海の調査で、日本の調査捕鯨は致死的調査として850頭前後のミンククジラを捕獲したにすぎません。実に資源量の0.1%弱を捕獲しているにすぎないのです。国際捕鯨委員会の本会議に対して科学的見地からアドバイスをしている科学委員会は一貫して日本政府の見方を支持するデータを提示していますが、本会議における政治的決定が、これを無視しています。
写真1.北西太平洋鯨類捕獲調査事業・ミンク鯨の調査 |
この不条理な政治的決定の背景には、環境保護団体が抗議産業を維持するために単一の偉大な生物としてのクジラというシンボルをなお有効利用(?)していることや、反捕鯨国においては、そうした団体が政治家の集票マシーンとして機能していることなど、様々な複雑な事情があるようです。この点については人気マンガの『美味しんぼ』第13巻「激闘鯨合戦」の中で丁寧に描かれています。
■クジラを捕獲するべきなのだろうか?
このように、特定の種類のクジラを捕獲しても資源量に影響をあたえることはなく許容性があるとしても、クジラを捕獲することが果たして正当化されるでしょうか。つまり、クジラを捕るべきかという問題です。
道徳的には別の議論が必要としても、科学的ないし生物学的には正当化されるという主張に分があるようです。また実際、クジラの生態について調査した結果からしても、そうした主張を裏付ける結果が明らかになりつつあります。
写真2.ミンククジラの胃の内容物(スケトウダラ) |
第一に、過剰に保護されたクジラによる魚介類の捕食が海洋生態系のバランスを崩しているおそれがあります。というのも、クジラは一日に3%から7%の餌を取ります。そこに現在の少なくみたクジラの資源量をかけ合わせ、年間捕食量を計算してみると、世界におけるクジラの年間捕食量は2.5億トンから4.4億トンに達すると推定されるからです。この値は世界の海洋における人類の漁獲量(9千万トン)を大幅に上回る数字なのです(大隈清治『クジラと日本人』岩波新書などを参照のこと)。では、どのような餌をクジラが食べているのでしょうか。この点、?日本鯨類研究所が実施する北西太平洋鯨類捕獲調査(JARPN2)においてはミンククジラの胃の中から大量のカタクチイワシ、サンマ、スケトウダラ、スルメイカなど日常の食卓にのぼる魚介類が発見されています。既にクジラの捕食と漁業との競合が現実の懸念となっているのです。
また、2050年には100億の人口を抱え食糧危機を控えている世界において牛、豚、鳥を大量の穀物資源を用いて畜産すること困難であると同時に、現代の畜産産業には、環境破壊的な要素が存することにも注意しておきたいところです。例えば、C.W.ニコル氏が指摘するようにアメリカ人が食べるビーフを生産するために南アメリカの熱帯雨林が放牧地に転用されるために破壊されています。「すでに日本は捕鯨をやめろという圧力に屈してクジラ肉を食べなくなっている。海洋にはこれほどクジラがふんだんに泳ぎ、しかもその数が増えているという証明がなされているにもかかわらずに、である。日本人がクジラを食べなくなれば、この国の牛肉の消費量は必然的に増えるだろう。そうなれば当然もっとたくさんの森が消滅するわけだ。気候は変化しつつある。砂漠化していく地域は増えるいっぽうだ。こうしたすべてのバランスの鍵となるもの、それがクジラなのである」(C.W.ニコル『TREE』アニメージュ文庫より)。
このような主張及び事実からしても、もっと積極的にクジラを捕獲してもよいのではないかと思います。厳格な資源管理の下で行われる限り捕鯨は、クジラが絶滅の危機にさらすこともないという意味で許容性があり、生態系維持や食料危機の回避という観点から必要なことなのではないでしょうか。もちろん、この結論を押し付けるつもりはありません。クジラ論争に関する日常的な判断基準を一つ提案してみただけなのです。むしろ、グリーンピースなどの環境保護団体のHPなども議論の参考にしながら、より多くの人がクジラをめぐる多様な問題群について立ち止まって考えてくれることを希望しています。その後で、よろしければ、クジラのお肉を買ってみていただければ幸いです!
なお、この文章は筆者が所属する団体等の公的見解とは何ら関係がなく、個人的な見解であることを、ここでお断りしておきます。
(写真1,2は(財)日本鯨類研究所提供)
東京都文京区 荒尾 稔
私は昭和34〜35年の白鳥の大移動をつぶさに経験しています(丁度高度成長の始まる直前でした)45年ぶりの移動第2弾と考えています(あるいは第3弾かも知れません)。
まえから、楢葉の白鳥という名称で、餌付けされた白鳥の個体群をどのように考え、対処すべきかは、白鳥や鴨の保護を考えた上での大きな課題でした。白鳥にとって餌付けされると言うことは、自己と子どもを含め、人に大事な自分の命を託す行為となります。
まず、餌付けによって餌を担保された白鳥の親は、結果として、子どもに何も教える必要が無くなり、教えることを放棄することになってしまいます。一日中遊んで、ぶらぶら餌を待って3食昼寝状態で冬を過ごします。従って、生存率が高く、幼鳥が親になる確率が高く、しかも栄養満点で体力があるので、たくさん子供を産む。コハクチョウのごとく年10%を超す勢いで、現在でも増え続けています。
本埜村に飛来したコハクチョウ(2003年2月2日) 撮影:田中正彦 |
しかも子どもが親になって、たくさんの子どもを産み育てる。複利計算で増えます。まさにネズミ算の世界と話しております。しかも野生状態より(10年程度)から18年程度まで寿命が延びてしまうと言われています。
この、餌付けとは白鳥でも人でも同じで、親子でも学校でも、生きるための方法を教えることが放棄され、文化の喪失をもたらすと考えられてきています。人間に何から何まで、命までをも託してしまう、 冬の期間、日本を故郷とする白鳥に生じた独自の行動を「白鳥の文化喪失」として捉え、それを「楢葉の白鳥」現象として定義しました。
でも、ここ4〜5年、日本海側でも東北地方でも、少し宛白鳥に餌を与えなくなってきています。
その中で、(人を横目で見ながら、餌を貰えないなら自分で探すか?)自立した白鳥群が少し宛排出してきています。
この白鳥群は、人間とは距離を置き、自立を果たした群れと理解しています。人間の行動を観察し、餌をくれないなら、しょうがない自分で探すか。で始まった模様で、餌付けに依存しない個体群です。
特に、新潟県の瓢湖をネグラにする個体群では、自立行動は顕著となっています。そこでは同時に家族単位での分散化がどんどん進み、瓢湖の周辺域には、家族単位と思われる小群があちこちに定着してきています 。
瓢湖では、2つのエポックがあります。
(1)かつて亡くなった吉川老人が白鳥の餌付けに成功しました。北海道からの渡りのルートに沿って餌付けされ、人を恐れなくなって個体群がいたるところで餌付くことになりました。
(2)現在、瓢湖は白鳥群のねぐらの箇所であって、餌付けは自粛されています。
かつて、急な餌付け中止のために一部混乱が生じたと聞いています。結果として一番懲りたのは白鳥達で、人と距離を置き出したと聞いています。
早朝、ネグラを飛びたち、家族単位で1日近在で採餌を行い、夕方遅くネグラに戻る。現在、瓢湖の白鳥群はこのような家族群が主体となっているようです。
千葉市稲毛区 平田 和博
4月末、チューリップを見にオランダへ行って来た。アムステルダム市郊外にあるケンホフ公園と隣接するチューリップ畑のチューリップの景色は見事だった。それから、堤防で守られている海面下の国土を見てきた。
広々とした牧草地、牛や羊たちがのんびりと草を食べているのどかな風景を眺めていると、土地が水面下だとは思えなかった。アムステルダムから30qほど北にある小さな漁港の町フォーレンダムへ行くと、それが実感できた。堤防のすぐ先にある淡水湖のアイゼル湖の水面が家々の2階の屋根ぐらいの位置にある。町も牧草地も運河や水路が網の目のように掘られていて、水位が上がると水をアイゼル湖に揚水する。そして引き潮時に、水門を開けて北海に湖水を流すそうだ。
このような厳しい環境下で生活している人たちは環境意識が高いのではないかと思ったが、そうでもなさそうだ。たしかに人々は自転車や路面電車を利用しているもの、結構自動車も走っていてあちこちで渋滞が起こっていた。それから驚いたことに、アムステルダム空港ビルの出入り口にタバコの吸い殻が足の踏み場もないぐらい捨てられていて、タバコの臭いが充満していた。また、アムステルダム市の広場にもタバコの吸い殻やペットボトルやお菓子の包み紙が散乱していた。我々と考え方が違うようだ。
千葉市稲毛区 深山 貴道
千葉市には焼却施設が3つあります。そしてごみの量は年間40万トンだそうです。去年初めて東京ドームに行ったのですが、ドームに入りきるかどうか・・くらいのごみの量だとか。
先日、ごみゼロクリーンデーに参加したのですが、市長曰く「北谷津を何とか使わずに済ませたい」とのこと。
処理費用162億円と聞けば誰でも納得するのではないでしょうか?
そこで問題となるのがごみの組成です。どうも紙の比重が大きいようなのです。紙なら何でもかんでもリサイクル出来るわけじゃないことは、皆さんは既に知っていると思うのですが、明らかにリサイクル出来る「古新聞」や「雑誌」もごみステーションに出ています。職業柄ついごみステーションを見てしまうのですが、そうしたものを見るたびに残念に思います。
これで生きる糧を得ている身では需要に応じた供給が望ましいわけですが、この時代にそんなことは言っていられませんよね。
資源が底をつくのがわかっているのに手をこまねいている場合じゃありません。
僕は今、違うNPOの活動で小学校を回ってごみの分別やリサイクルについての講習を環境事業所の手伝いで行っています。
子供の反応は明快です。パッカー車に積み込まれる(破砕・圧縮)自転車や家具を見て「もったいない!」とどこの小学校でも聞かされます。
「もったいない!」という言葉を広めているのが外国人というのは如何なものでしょうか?
3Rの推進を大人が率先して行わなければ、いくら学校教育に取り入れても前に進めません。
どうも「もったいない!」という言葉が「ケチ」とか「恥ずかしい」とかマイナスのイメージになってしまっているように皆さんは感じませんか?
僕は10代の頃そう思っていたんです。
美徳とかそういうことでもなく、今必要とされている事として実践できるよう心がけたいと考えています。
事務局より −事務所ボランティア 大募集っ!!−当会では、月・水・金の10時〜14時、ボランティアスタッフが事務所に詰め、電話番や事務作業をおこなっています。現在、水曜、もしくは金曜日のお当番をしてくださる方を探しております。仕事は「電話応対」「資料整理」など簡単な事務作業で、経験がなくてもどなたにでもできる内容です。なお、交通費(実費)とわずかですが昼食代(300円)を会から補助させていただいております。 NPOの活動に関心をお持ちの方、また、「少しだけなら協力できるよ」という方がいらっしゃいましたら、ぜひお力をお貸しください。(お試し体験も可能です。) 会の活動を支えるため、あなたの貴重な時間をどうかご提供ください!! |
発送お手伝いのお願いニュースレター9月号(第110号)の発送を 9月 6日(水)10時から事務所にておこないます。発送のお手伝いをしてくださる方を募集しています。よろしくお願い致します。 |
編集後記:長かった梅雨が明けました。暑くはなりましたが、なんだか本当の夏らしさを感じません。ヒグラシ,ニイニイゼミに続きミンミンゼミも鳴きはじめましたが、あのぎらぎらとした夏の暑さを感じさせるアブラゼミの声があまり聞こえないのです。みなさまの地域ではいかがでしょうか。 mud-skipper