ちば環境情報センター > ニュースレター目次>ニュースレター第110号
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千葉市稲毛区 大友 英寿
昨年、勤めていたコンピューター関連会社をやめて百姓見習いになりました。今はちば環境情報センターの谷津田プレーランドプロジェクト(YPP)の田んぼがある下大和田の同じ谷津田で、農家の方の田んぼのお手伝いをさせていただいています。もうそろそろ待ちに待った稲刈りです。
家が農家ではなかった私が「農業をやりたい」と思うようになったのは、5年前に「自然農(しぜんのう)」という「耕さず、肥料を施さず、農薬除草剤を用いず、草や虫を敵とせず」、できるだけ自然のまま、そして自然と一緒に作物を育てる農業のあり方を知ったからです。自然農に出会うまでは「現代日本の農業とは、機械を使ったり農薬をまいたりして、沢山の虫や草や小動物を殺さなくてはなりたたないもの」としか思っていませんでした。しかし自然農では小さな命達を極力殺さず、むしろ彼らと一緒に作物を育てる事ができるという事にとても感動し、魅了されました。また「自然農が自分に一番あっている」とも強く感じました。
昨年5月、念願かなって奈良県桜井市へ川口由一(よしかず)さんの田んぼと畑の見学会に行って参りました。川口さんは「妙なる畑に立ちて」という自然農についての本をお書きになった、とても穏やかな雰囲気のおじいさんです。見学させていただいた田んぼはまだ田植え前の状態でしたが、他の田んぼと違うのは表面が藁などに覆われて全く土が露出していない点です。毎年、収穫の後に藁を田んぼに戻す事で、藁が積み重なって土がスポンジのようにふかふかになり草もはえにくくなるそうです。26年間、一度も耕さなかったという田んぼの上を歩かせていただいた時のふわっとした感触にはとても驚きました。
奈良県桜井市の川口さんの畑(2005年5月1日) 右が川口さんの畑、左は他の方の畑。にぎやかさの差にびっくり。 左側では農薬も使用するがお互いほとんど影響は無いとの事。 |
畑の方も同じく全く土の表面が見えませんでした。作物以外の草、いわゆる雑草もそのままなのです。作物の種を植える時や小さい苗の頃は、作物が負けないようにまわりの草を少し刈るものの、作物がある程度大きくなって雑草に負けないくらいになったら、刈らずにそのままにしても大丈夫だそうです。作物よりも雑草を好む虫もいるそうで、雑草を根こそぎにしてしまうと、それらの虫達はしかたなく「作物の方で我慢するか…」という事になるのだそうです。もちろん作物の方を好む虫もいますが、作物と雑草を共存共栄させていれば被害は最小限で済むそうです。
自然農で耕さないのは土の中の世界を壊さない為でもあるそうです。ミミズやザリガニ、メダカはもちろん、彼らよりずっと小さな生き物達にとって、大型機械で耕す事は爆撃機による攻撃に匹敵する災難です。彼らの日々の営み自体が土を育んでくれるので、耕さずとも良いのだそうです。
肥料も必要ないのですが、その代わりとなるのは、その田んぼや畑でとれた物だそうです。例えばお米なら藁や籾殻全部、野菜なら葉くず、根菜ならむいた皮など、収穫した分の中でも食べない部分をとれた場所へ戻してあげれば十分で、それ以上の物を入れるのはかえって害となるそうです。確かに化学肥料を使えばタマネギも大根も大きくはなります。でも大きいからと言って、そのぶん栄養も多いかというと、そうではないようです。人間も食べれば食べるほど大きくはなりますが、必ずしも太っている方が健康であるとは限らず、腹八分目で標準的な体型の方が良いのと同じですね。
また、自然農の単位面積あたりの収量は現代農法と大差なく、むしろ雨風や虫に強い、健康な作物ができるそうです。しかし、ほとんど全て手作業のため、収量は機械を使う農法にはかないません。熟練すればひとりで10〜20人前は朝飯前に作れるようになるとの事ですが、仮に50人前できたとしても、それで生計を立てるのは簡単ではないと思います。このあたりのお話は次の機会にさせていただければと思います。ただ、逆に10人か20人にひとり、自然農に携わる人がいれば、みんなが健康でおいしい食べ物を食べられるのは確かなようですね。 (次号に続く)
千葉市緑区 網代 春男
2006年8月2日、千葉県河川計画課主催で鹿島川流域の水草探検(水草探し)と川の健康診断が行なわれました。「探検のしおり」によれば「印旛沼流域水循環健全化会議では、印旛沼・流域の生態系保全の一環として市民の方とともに流域の水草を調査する「水草探検隊」を結成し、流域全体の水草マップの作成に努めています。」とありました。昨年は桑納川および手繰川流域を探検し水草マップにまとめ、本年は鹿島川を対象にした水草探検隊を実施し、併せて「川の健康診断」をすると言うものでした。
本来は印旛沼流域水循環健全化会議が主催でその事務局が河川計画課というものですが同会議主催の姿は見えず河川計画課主催にしか見えませんでした。
鹿島川大和橋付近(2006年9月3日) |
当日は更科公民館に集合し、総勢50数名が14区域に分かれてそれぞれ3〜4kmの流域を調査しました。私の担当したところはいつもフィールドにしている下大和田谷津が鹿島川に合流する地点から上流へ向けた約4kmの区間でした。
これでも「川」と言うのだろうか?とか、いろいろな思いがよぎりました。今回参加したことで感じたことを自分の中で仕舞っておくとむらむらと腹が膨れるばかりです。そこで、今回の実質的主催担当者宛に感想文を発信しました。
感想文を書き終えようとしたら今度はケビン・ショートさんの嘆き「小川が消えた」が伝わってきました。何かをしないではいられない気持ちになっています。環境保全にかかわるグループそれぞれが、個人個人それぞれが、行動を起こさないと、
まだまだ環境破壊が続いて起こっています。思ったことを声に出しましょう! 訴えましょう!
以下は、河川計画課担当者へ送付した感想文です。
平成18年8月9日
千葉県 河川計画課
○ ○ 様
千葉市緑区 ○ ○ ○
網 代 春 男
水草探検隊に参加して、大変もの思うことが多かったので感想をお送りします。「川」とは何だろうか? を考えさせられました。単純に水草を探すことで参加したのですが、目にしたのは「排水溝」で私の思う「川」ではありませんでした。暗渠の蓋を取ったものにしか見えませんでした。「川の健康診断」ともありますがどのような状態を健康と言うのでしょうか?
治水、農業用水の管理、など様々な要因が働いて、今の排水路の形態になっているとは思いますが、川はそこに暮らす住民や利害関係者だけのものではありません。「川」を単なる「排水路」に改変することについて県民ひいては国民的合意があったのでしょうか。一部の人たちで勝手に国土をずたずたにされたように感じています。
水草探検の結果を各班発表するとき、私の9班では「水が奇麗、臭いもない」と言うことも発表することになっていました。私が発表者でしたがそれが言えませんでした。同じ班の方は発表の時に私が言い漏らしたと思われたことと思います。水草はなくて当たり前、「ただの排水路だから⇒水が奇麗で⇒土砂のたまりもない⇒排水路として健康」なんだと結論付けられるような感覚に陥りました。事実、土砂が溜まったところでは水辺の植物があったという報告が幾つかありました。裏返せば排水路としては「土砂が溜まる⇒健康診断で不良⇒土砂を取り除く」ことになるのが必然ではないでしょうか。
河川計画課が目指しておられるものはどんな河川なのでしょうか? 河川の造りは関係ないのかも知れませんが・・・。そんなことを思うと水草探検隊の趣旨、川の健康診断の趣旨が判らなくなりました。
ちょっと話は変わりますが過日7月12日、横山太郎氏主宰の千葉童謡の会例会に初めて参加しました。横山太郎先生の作曲者、作詞者にまつわる話題、その曲、詩の生まれた土地、地域の文化などの背景を交えた解説と歌唱指導に引き込まれ、60年振りに声を張り上げている自分がありました(私は、歌が苦手でカラオケなどもお付き合いで覗く程度で、普段声を出すこともありませんでした)。そこでみんなで歌った懐かしい童謡の数々に心を揺さぶられ涙を禁じられませんでした。思ったことは今の子どもたちが大人になって心を揺さぶられる歌があるのだろうか? それ以前に心を揺さぶられる原風景、原体験があるのだろうかと。
川や里山に因む名曲も数々あります。今の排水溝で何の心の感動が生まれましょうか? 何の曲が、詩がうまれましょうか? 子どもは危険で近寄ることもできません。メダカを捕ったり、フナやタナゴ釣りをしたりも出来ません。子どもの成長過程で必要な生き物とのふれあい、自然とのかかわりを遮断し、子どもを非常に貧しい環境においてしまいました。自然の中で目を輝かせて好奇心を満たす生活からテレビゲームの生活に追いやったのです。子どもたちの心の生育に少なからず影響を与えていると考えます。
子どもたちに川にかかわる文化や環境を残すことが出来なかったわれわれ世代の責任を痛感しています。私の現役時代は会社人間で家庭のこと、地域のこと、を省みることもなく過ごしてきたことを大変悔いています。
私は河川計画課の仕事がどのようなものか知りませんし、今、籍を置いている方々も、今の河川の在り様を全面的に肯定されているわけではないでしょう。最近は多自然型の河川改修や直線にした河川を蛇行する河川に戻したりするようになってきていると報道されています。今後の千葉県の河川行政に期待しています。河川計画課にお勤めの皆さんが、将来、私以上に悔いを残すことがないように−直接河川管理にかかわっていらっしゃるだけに−念じます。
以 上
追伸
単に感想を述べさせていただいたのですが、書きあげた段階でケビン・ショート氏(東京情報大学教授)の嘆き「小川が消えた」が伝わってきました。もし印西市のこの工事が県の事業に係わりのあるものであれば担当部署をご回答ください。
私は、今以上の悔いを残さないために、自身で今後は行動を起こしたいと思っています。
ニュースレター107号で掲載できなかった実践活動グループの報告です。少し遅くなりましたが、以下に掲載いたします。
自給自足グループ「穂(ほ)田流(たる)通貨計画」 東金市 江口 純一郎
(メンバー:田中真夫・光 萩原真紀 小西朝希子 江口純一郎)
私達のグループは自給自足と共同生活に夢を持っている人達が集まりました、夢を話しあう中で谷津田に住むことや、作った野菜をインターネットで売ることなどがあがりましたが、最終的に手軽に出来そうな地域通貨を作る事になりました。
まず範囲としてはあまり広げずに下大和田の谷津田内でYPPや観察会があった時に、現金は混ぜずに通貨だけでやり取りをする事になりました。例えば家で作ったジャガイモや手作りパンを売る事、また売るものが無い人でもマーケットの店番や肩もみなどでも通貨を受け取る事が出来ます。どなたでも出展して構いませんので是非参加してください。
第一回目は7月2日(日)に予定していましたが延期となりました、新しい日程が決まり次第お伝えいたします。開催日には穂田流通貨10枚を配布しますのでお楽しみに。
穂田流と名づけたのは、下大和田の象徴的な生き物という事で蛍を思い浮かべ、さらに文字を変えたのは、下記のような意味を付けて楽しい通貨が出来るように願ったからです。
富津市 竹内 好美
はじめまして、富津市で主に活動をしていますエコウィンドと申します。
エコウィンドは、ビーチクリーンアップや講演会などのイベント、気軽なお茶会などを通して地球の環境に配慮した生活を提案しています。
会員は、木更津、君津、富津市の20代から30代の男女。20名に満たない小さなグループですが、活動のたびに新しい顔が増えているような状態ですので、これからジワリジワリとエコロジカルなライフスタイルを持った仲間達がつながり、大きな輪へと広がっていく気配です。
今年に入ってからは、トークテーマを設けた座談会、ごみ処理施設見学、重曹の活用法講座等ミニ勉強会を開催するなど、いろいろな試みをしております。また、「風のたより」という月刊の通信を発行したり、地域情報誌に載せてもらったりと、一般の方へ参加呼びかけを始め、地元への定着を目指しています。毎年秋に開催するゴミ調査は、少し認知されてきたようで、公民館の子ども教室が参加を申し出て下さいました。
この内房地域は、おだやかな海、里山の豊かな自然が観光資源です。これからは、環境活動が観光の要素に盛り込めないか等のアイディアを出し合い、自然との共生をテーマにした地域おこしのモデルとなるような活動をしていきたいと考えています。
連絡先 竹内好美 富津市岩瀬900-4,電 話 0439-65-1834
千葉市稲毛区 大倉 よし子
JEAN/クリーンアップ全国事務局は、米国の海洋環境団体が提唱する、水辺でゴミを調査する「調べるクリーンアップ」キャンペーン、『国際海岸クリーンアップ(ICC)』を展開し、その結果を集計・考察して、政府省庁や企業、一般に公開、海洋漂着/散乱ゴミ問題の啓発と対策提案などをしている環境団体です。
この度、全国各地の町情報を提供しているe-まちタウン(株)のホームページでJEANの活動紹介とともに、クリック募金が開始されました。
e-まちタウンのサイト
<http://www.emachi.co.jp/charity/>
をご覧いただき、1回クリックすると、1円がJEANの活動に寄付されます。一人、一日、一回ですが、毎日できます。皆さんにご負担はかかりません。
海ゴミの約80%は陸での活動から出たと言われています。JEANは、1990年から、ICCに参加、その活動が実を結び、9月29・30日には、山形県酒田市で、国連環境計画(UNEP)のなかの『北西太平洋地域海行動計画(Northwest Pacific Ocean ActionPlan:NOWPAP)』が主催、JEANと韓国の『(社)海洋救助団』がノウハウ協力をする、関係4カ国(ロシア・中国・韓国・日本)のICCとワークショップを開催することとなりました。
クリック募金は、一回一円とわずかな額ではありますが、日本各地で多数の方の賛同を得て、10万円単位の寄付が集まっています。海ゴミを通して、環境問題の解決を訴えるJEANの活動に、この「ワンクリック募金」を通して、ぜひ、ご協力ください。よろしくお願いいたします。
JEAN <http://www.jean.jp>も覗いてください。
発送お手伝いのお願いニュースレター10月号(第111号)の発送を10月6日(金)10時から事務所にておこないます。発送のお手伝いをしてくださる方を募集しています。よろしくお願い致します。 |
編集後記:8月の末、夜めっきり涼しくなったなと思ったら、秋の虫が鳴き出しました。街路樹からはシャワーのようなアオマツムシ,植え込みからはリィリィリィと か弱いツヅレサセコオロギ、四街道のクツワムシは今年も健在です。みんな一斉に鳴き出すなんて、小さな虫たちはまさに季節を証人ですね。 mud-skipper