ちば環境情報センター > ニュースレター目次>ニュースレター第115号
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国立環境研究所 千葉市中央区 高橋 克行
今年は暖冬で過ごしやすくて良いのですが、きりっとした寒さも経験しないまま春を迎えようとしています。私たちは四季の移り変わりを通して、自然の恵みの豊かさを実感してきました。そんな感覚が失われつつあるとすれば一大事です。
それでも春の到来を感じさせ、かつ一部の人にとっては憂鬱な自然現象があります。そうです、花粉が飛ぶ季節が近づいてきました。
環境省の発表によると今年は平年より少なめと予想されています。それでもつらい人にとってつらいことに違いはありません。花粉症のみなさんはこれからの時期、予防や対策に苦心されることと思います。私も6年ほど前に花粉症にかかり、一昨年からは耳鼻科で薬をもらって飲んでいます。
そんな皆さんの予防手段のひとつとして花粉観測システム(はなこさん)1)の利用をお勧めします(http://kafun.taiki.go.jp)。
このアドレスにアクセスするとその時に飛んでいる花粉の状況をすぐに知ることができます。千葉県の観測ポイントは6ヶ所あります。みなさんのお住まいの近く、あるいはお仕事先の近くのデータをチェックしてみてください。
ところで花粉の観測はどのようにやるのでしょうか。以前からワセリンを塗ったスライドガラスを外に1日おいて置き、そこに付着した花粉を顕微鏡で観察する方法が行われています。この方法なら花粉がスギかヒノキか、人間の目で区別できるので種類別の量がわかり、スギ以外の花粉に悩んでいる人にとっても、有効な情報を提供することができます。
でも、人間の目でみて数えるには限界もあるし、時間もかかります。今、どれくらい飛んでいるのか知りたいという要望に応えるには機械で自動的に測る方法を考えなければなりません。
先ほど紹介した花粉観測システムでは花粉の自動測定器が使われています。
どのように花粉を測るかというと、空気をポンプで吸い込んで管の中に通します。そこに光を当てるとホコリやゴミ(粒子)にぶつかって光がはね返ってきます。この光を測れば空気中に飛んでいる粒子の量を知ることができます。さらに、花粉と他の粒子とを区別するためには花粉の大きさ(大きさが約30μm;1μmは1mmの1000分の1)のものだけを測るしかけと、花粉の形(図2のようにほぼ球形)を見分けるしかけも用意されています。これでだいたい花粉の量を見分けることができます2)。ただし、完璧に花粉だけを測っているというわけではないようで、最近では、光を工夫してスギやヒノキの花粉を選んで測る方法も研究されています3)。
花粉症とディーゼル排ガスとの関係も研究されていますが、まだよくわかっていません。でもいまや6人に1人が花粉症といわれています。これだけ多くの人が悩まされるとういうことと、便利すぎる世の中とは無縁ではないように思うのは私だけでしょうか。
参考資料
1) 環境省保健環境部環境安全課,2006.生活と環境,51,35-39.
2) 佐橋ら,2003.環境技術,32,191-195.
3) 鈴木ら,2005.エアロゾル研究,20,281-28.
2007年1月7日、千葉市緑区下大和田で「どんど焼きと昔遊び」(主催:ちば環境情報センター)が実施されました。 このイベントに参加した中国河北省出身の留学生、李全海さんから当日の感想が届きました。日本語訳は事務局で行いました。 また船橋市の石橋紘吉さんからは、どんど焼きの思い出が寄せられましたので、以下に紹介いたします。
中国河北省 李 全海 千宏
【日本語訳】 どんど焼き感想
2007年1月7日、この日日本に戻ってきてから初めて過ごす日曜日でした。私はこの日“どんど焼き”というイベントに参加しました。どんど焼きを中国語でどう訳するのかわかりませんでしたが、新しい年がすばらしく、健康で、平和に過ごせることを祈るイベントだと思いました。この行事は日本では過去に流行したようですが、今では多くの若者が忘れてしまっているようです。これは経済発展にともなう、都市化が原因じゃないでしょうか。
まずはじめのイベントは、散策とバードウォッチングでした。散策では、谷津田の田んぼを散策し、バードウォッチングでは季節の鳥の冬の行動を観察しました。このようなイベントは若者をひきつける強さはおそらく弱いと思いますが、意義はとても深いものだと思います。田は人々の生存のもとであり、また鳥は人間との共生生活の友人といえるからです。故に、これらイベントの目的は“生活に気をくばり、友人を忘れない”ことだと感じます。
次にご飯を作りました。私と日本人友人(もちろんほとんど日本の友人)が田んぼの藁や拾ってきた枯れた薪をくべて大釜でほかほかのお米を炊き、もうひとつの大釜では野菜、肉、みそ、ねぎ、たけのこなどをいれた日本特有のスープを少し調味料をいれ完成させました。その後、皆で持ち寄った食べ物を分けて食べました。どの人にとっても、なによりな時間でした。でも、こんなに多くの気心のしれた友人とともにご飯食べる機会は多くはないでしょう。故に、このイベントの意義は交流とコミュニケーションをとれることだと感じました。食事をするということは、ただ単に生理欲求を満たすためだけではないのです。一緒に食事をして話ながらわいわいすると食事が一種の楽しみになるのです。考えてみてください、もし毎日自分で作って自分で食べていたら、おそらくここまでおいしいと感じないでしょう。
最後に焚き火をして、ともに新しい一年の願い立てをし、その中で歌もありました。食事をして、願い事をすると、この寒い冬空で皆一緒に暖をとって温まり、そして心までも温かくなりました。
そのほかに、日本のゲームもしました、時間の関係で今日はここまでにします。
今回の日本の独特の文化イベント、ずっと忘れません!
(日本語訳:ちば環境情報センター事務局)
千葉市稲毛区 石橋 紘吉
1.ドンドン焼き
下大和田のわいわい広場で正月あけには「ドンドン焼き」予定されています。このドンドン焼きの由来は様々あるようですが、自分の故郷では「左義長」(サギッチョ)と言っていました。わが故郷は福岡県久留米市郊外の田園地帯の真ん中にあります。南に耳納連山、北に背振連山、東に宝満山、2km先に筑後川が流れています。
正月の15日、小学生高学年が中心となり、土手に穴を掘り太く長い真竹3本立て藁を巻きつけて夕方に火をつけます。しめ縄などの正月の飾り物も持ち寄って一緒に燃やします。灰の中に餅を入れ焼いて食べるのが楽しみの一つでした。
真竹は半焼けの状態で大人の人が切り割りして輪を作りそれを持って帰り玄関先に飾ると、魔よけや病気にならないと言われたものです。自分が中学生になる頃にはこの行事もしなくなりました。
2.モグラ打ち
このサギッチョの前日の14日は「モグラ打ち」を行います。女竹の先に藁を巻き縄で固く縛ります。早朝に庭先や畑の周りの地面を竹のしなりを利用して強く打ちつけモグラを追い出す農事の一つです。他家に負けまいと地面を叩くことで自分の土地からモグラを追い出すのです。
3.寄合
サギッチョの翌日?はお米やお金を持ち寄って当番の家で料理をしてもらい、この日は魚や肉をたらふく食べることができました。食事が貧しい時代では子供にとっては楽しみ一つでした。また田植え前には「ダブリュウ」といって水路に水が張られると水神様に豊作を願い笹竹を水路に立てお米・煮干・スルメなどを紙に包んでありました。大人の人は当番の家に集まり料理を作り会食し豊作を願いました。大人の代理で出席するとたら腹のご馳走(田舎料理)を食べられました。
4.お水取り
夏にはお水取りがあり4qはなれた高良山から清水を汲んできて(当時は車が無く大変)各家を回りサカキで水を玄関先にまき清めたものです。当番になると大変でした。高良山には有名な高良神社(創建は5世紀)があり筑後一帯は皆氏子で一年に一回お札が配られ神棚に飾ったものです。
5.お施餓鬼祭り
家の庭先に「お施餓鬼」の塔があり5月ごろ水路での水難が無いように近所の人が集まり、お坊さんを呼んで経をあげてもらい、子供は茹でソラマメやおにぎりをもらいこれも楽しみの一つでした。
6.相撲
秋には近郷の市町村の選手が集まり、神社の境内で相撲大会が開かれ、屋台なども出ていました。奉納相撲だったのだろうと思います。
7.秋祭り
十月の収穫が終わると鎮守の森でお祭りがあり娯楽の無い時代は子供にとって楽しみの一つでした。
8.おくんち
わが村の行事ではないけど隣町の行事で10月19日「おくんち」と言う祭りがあり、下宮から本宮まで約2qの道を太鼓・・奴、稚児等の行列があり、前日、夜は夜店も出て楽しいものでした。本宮は北野神社といって京都の北野神社につながり創建は天喜2年といわれています。由来は忘れましたが,さば寿司・カマス寿司が名物でこれを食べないと秋祭りが終わらないものでした。
1〜7までは既に廃れて行われなくなり、8は復活してコスモス祭りと抱き合わせて行われています。コスモス祭りは自分たちが始めたんだと町の人は自慢しています。娯楽も多様化し、農業も神に頼らず科学の時代で古き良き時代は帰ってこないようです。寄合も子供や大人に絆を深めいじめや不仲など縁遠いものでした。ドンドン焼きはあちこちで形は変っても復活されておりうれしいものです。
皆様の子供時代はいかがでしたか?
生物が田んぼや川から消えていった最大の原因は農薬にあると思います。わが故郷の家の前は幅10m,水深1.5mほどの用水路があり、子供時代の最高の遊び場所で夏は8時くらいから夕方5時くらいまで何度も泳いだものです。疲れれば甲羅干しをしたり、雨が降ろうと釣りをやったりでした。
魚影も濃く水中に潜って素手でフナなどを取ったものです。農薬が大量に使われだすと遊泳禁止になり、まず肌の弱いドジョウ、ナマズ、ウナギなどがまず居なくなり、ほたるも居なくなりました。
わが故郷はジストマといって肝臓を冒す寄生虫の生息地でした。自分もジストマに冒されて治療のため静脈注射を数ヶ月打ったものです。そんなこともあって薬剤散布が始められ、護岸は土からコンクリートに変っていき生物が棲めない環境に変っていきました。護岸のコンクリート化は農家の水路維持の大変さの解消もあります。
夏場は胸まで浸かって藻切り、冬場は川底に溜まった泥を高さ2mまで放り上げ川底払い作業があり大変なものでした。護岸のコンクリート化は必ずしも必要悪とは言えない面もあります。
ちば環境情報センターでは、長作・朝日ヶ丘・さつきが丘公民館(いずれも千葉市立)において、講座「環境に優しい暮らし」を実施しました。身近な植物を使った草木染めや、エコクッキングを通して楽しく学んだ後、ワークショップで意見交換。ふだんの暮らしの中で、環境に配慮した行動をするためのきっかけとなればと思います。
さつきが丘公民館での講座に参加された飯塚和子さんから感想が届きましたので、掲載いたします。
千葉市花見川区 飯塚 和子
【我が家のエコクッキングの工夫】
・手提げ袋、ビニール袋を持ち歩く。(スーパー袋はもらわない。)
・チラシ、新聞紙で折った箱を常に手元において置く。
・生ゴミ等は箱に入れ、たまったら生ゴミ用バケツにボカシ、ぬかと混ぜて肥料に。
・魚料理は新聞紙の上で、骨、内蔵は火を通して庭にうめる。(生だと虫がわく)
・生ゴミをゴミに出さないと、ゴミ出しは週1回か10日に1回ですむ。みんながゴミ減量を心がけてほしい。
・皿、フライパン、鍋の油汚れは新聞紙、ボロ布で拭き、洗剤はできるだけ使わない。(ほとんどが湯でおちる。)
反省
・買い物物袋と言わないと夫は買い物袋を持参しない。(子どもは言っても持っていかないのでコンビニ袋がたまる。)
・食器洗いの時、夫、子どもは洗剤を使いすぎる。
・保温調理は心がけたい。
・重曹あまり使っていなかった。掃除、洗濯、消臭に活用したい。
・主婦ひとりがエコに関心があっても家族に伝わらなければ何もならない。一人ひとりが意識を持って生活する事が大切。まずは家庭からと思った。
【草木染め】
残った液(タマネギ)をいただいて家でやってみた。優しいきれいな色に染まった。パッチワークに使いたい。
反省
・小さい布は良く染まったが、大きな布(40p×60p)は折って染めたので中まで染まらなかった。
・さび釘を探すのに苦労した。
・次はつゆ草など野の雑草などでやってみたい。
2回の講習を受けて環境保全の大切さを改めて考えさせられた。今回のような講座を多くの人(特に若い人)に広めてほしい、機会があったら又講習を開いてください。
発送お手伝いのお願いニュースレター3月号(第116号)の発送を3月7日(水)10時から事務所にておこないます。発送のお手伝いをしてくださる方を募集しています。よろしくお願い致します。 |
編集後記:ニホンアカガエルが1月7日頃市川市大町自然公園で,17日頃には千葉市大草で産卵したとの報告がありました。下大和田では1月下旬にピークを迎えたようで、2月2日夜の観察会では産卵や新しい卵塊を見ることはできませんでした。例年ならばこれからというのに、これも地球温暖化の影響でしょうか。 mud-skipper