ちば環境情報センター > ニュースレター目次 > ニュースレター第120号
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轄sc造園設計事務所代表取締役 千葉市若葉区 高田 宏臣
無残にも見苦しく剪定された街路樹を見て、疑問を感じる人もたくさんいることと思います。わざわざ税金を浪費してまで、街を潤すはずの街路樹を見苦しく剪定することに何の意味があるのか、そういう疑問をもたれた人はきっと多いのではないでしょうか。
そうです。皆さんの疑問はとても正しいことです。私たちの街をより美しく愛されるものとしていくためにも、何のための街路樹なのか、何のための街の緑なのか、街の緑はどうあるべきか、どうか一人でも多くの皆さんに真剣に考えていただきたいのです。
この紙面をお借りしてこれからしばらくの間、景観つくりの立場から緑のあり方について思う存分お話させていただければと思います。
まずはじめに、街の緑に求められる本来の役割について簡単にお話したいと思います。一言で申し上げますと街路樹や公園緑地には本来、都市環境に落ち着きと潤いをもたらすべき大切な役割があります。
大木の下に揺れる木漏れ日や樹間を吹き抜ける風の爽やかさ、風にそよぐ木々のざわめき、樹木は無意識にも私たちの五感すべてを通して安心感と安らぎをもたらします。
また、伸び伸びと枝を広げる大木は街に風格をもたらします。街の風格は長い時間をかけて育てられると同時に、土地の歴史を刻んで成長した樹木こそ、地域の大切な財産なのです。一年また一年と、気長に街の樹木を大きく育て続けることが、愛されるふるさとの街作りのためにとても大切なことなのです。
なのになぜ、街路樹の多くが毎年同じ大きさに無理に剪定されるのでしょうか。そもそも剪定とは一体何の目的で行われるものでしょうか。
樹形や大きさを維持するために庭木の枝を切り詰めることを剪定といいます。庭における剪定の必要性は何か。それは庭という限られた面積の中で様々な種類の樹木草花を共存させるために、庭全体のバランスを考えながらそれぞれの樹木の成長を抑制すること、あるいは繁茂した枝葉を透かすことによって、低木草花の生育に必要な日照を庭の下部にまで誘導するために行います。
高度に分化された日本の剪定技術は、世界の中でも独特のものといってよいでしょう。狭い空間に自然を縮小デフォルメして繊細に構成する日本庭園独自の技術の中で、剪定技術が培われ、定着してきたのです。
しかし剪定は本来、狭く限られた庭において必要に応じて行うものであり、樹木の管理に剪定が必ず必要というものでは決してないのです。
まして、街を潤すという大きな目的を有する街路樹や公園樹木、集合住宅の緑地などの公共緑地においては極力剪定を避けて、可能な限り上空に大きく枝を張らせた方がよいケースが多いことに気付くと思います。また、大きな樹木がもたらす環境効果を街の潤い作りに最大限に生かすためには、人や車の通行などに支障をきたす下部の枝のみ取り払い、街の樹木を伸び伸びと大きく育てることが、風格と落ち着きと夏の木陰のある美しい街を育てるのです。また、剪定をせずに樹木を大きく伸ばせるような植栽配置を考えることも大切です。
つまり、街の環境改善のための高木樹木については、極力剪定を避けることが大切なのです。
なぜ、毎年折角成長した街路樹を無残に伐って街の環境を悪化させるために税金を使うのでしょうか。
皆さんに是非とも考えてもらいたいことは、毎年決まって街路樹を同じ大きさに切り詰めるという不思議な行為は、世界中どこを探しても日本にしかないという確かな事実です。
どの国でも、街の樹木は支障のない限り大きく育てることによって街の環境を更によくするということは当たり前の認識で、議論の余地などないのです。
なまじ日本は、庭園や盆栽における剪定の歴史を有するもので、それがそのまま街の緑にまで、疑問もなく応用されてしまったということでしょうか。
日本では、街路樹の落葉の苦情が1件あるだけで剪定が行われ、みんなの大切な公共財産が損なわれるのです。地域の緑がこのような一貫性のない管理をいまだ続けているという事実、悲しいことに日本の都市緑地の現状かもしれません。しかし、このような管理の仕方で美しい街、愛される街になるはずがない、そのことは断言したいと思います。
私は造園を専門に仕事している立場であります。私たち造園専門家は、みんなの街を美しくするという重大な責任があると認識しています。然しながら、専門の立場でありながら美しい街作りのために何も発言してこなかった私たち造園関係者のだらしのなさが、今の公共緑地における無意味な樹木剪定を許容してしまった事を、強く反省しなければなりません。
実際に街の緑に携わる私たちこそ、美しく愛される街作りのために、私たち造園関係者が使命と街や緑への愛情をもって、改善していかねばならないと痛感します。
不要な街路樹剪定に税金を費やすことは無駄であり、もっと柔軟な緑地管理のあり方を考え、移行させていかねばなりません。全ては美しく、潤いのある居心地のよい街作りのためという点を忘れてはなりません。
樹木の環境効果を肌身で認識し、そしてふるさとの街や緑を心から愛する人が積極的に発言し、緑政をリードし変えていかねばならないのです。
街の緑は私たちのため、そしてこの地に育つすべての子供たちのための緑なのです。潤いのある緑はとても大切な心の糧となります。そして、潤いのある街は時間をかけて育てるものです。将来子供たちが大人になってふるさとを離れた時、美しいふるさとの風景を心の中の原風景として思い出してもらいたい、そう願ってやみません。
千葉市稲毛区 茂木 俊輔
すっかり幽霊会員です。ところがつい最近2回ほど、久しぶりに小西由希子さんと田中正彦さんとそれぞれやり取りする機会がありました。近況報告がてら、書かせていただきます。
小西さんには、映画「不都合な真実」の上映会を開けないか、という相談をさせてもらいました。きっかけは、地元中学校のPTA仲間からの相談事です。「この映画を観て、環境問題を真剣に考えないといけないと思った。でも、千葉市内や周辺ではほとんど上映されていない。なんとか、多くの人に観てもらえるようなことができないか」と。お誘いを受けて、運営委員会にも参加させていただきました。
結論から言えば、いま保留中です。千葉市内で上映会が予定されているとの情報もあったので、大掛かりな上映会はそこに任せよう、環境問題を意識する輪を地道に広げるような上映会のあり方を模索しよう、と動きを中断しています。ご尽力いただいた方々、ありがとうございました、そして申し訳ありません。
中断せざるを得ない事情も生じてしまいました。地元中学校にお子さんを通わせている保護者で、心臓移植の手術を受けにドイツに渡る予定の方がいらっしゃいます。その方の支援活動にどっぷりつかってしまったので、とても上映会まで手が回らなくなってしまいました。
田中さんとお会いしたのは、ちょうど支援活動の立ち上げ準備のころです。勤務先の高校の生物準備室。あろうことか、先生は娘の担任なのです。保護者面談で訪ねた時、この支援活動の話を持ち出したところ、「体内環境も環境だから、会報に書いてみない」と、ありがたいお言葉。誘いに乗じて、書かせていただく次第です。
この方、「美由起さん」と言います。高1と中1の息子さんがいます。病名は拡張型心筋症。いま補助人工心臓を付けて、都内の大学病院集中治療室に入院中です。支援活動というのは、平たく言えば、海外での移植手術や渡航・滞在などに必要な費用を確保する募金活動です。目標は9,350万円。見たこともない金額です。
母親というのは最期までわが子のことを心配し続ける存在だと信じています。そして、子どもにとって母親というのは、絶対の存在です。母子の砠がいま、すーっと細くなって、切れようとしている。それをなんとか、つなぎ留めて、太くしてやりたい――。
皆様の温かいご支援とご協力をお願い申し上げます。詳しくは、「美由起さんを救う会」ホームページhttp://homepage3.nifty.com/miyukisan/もご参照ください。
銀行名 | 支店名(店番号) | 口座 | 口座番号 |
みずほ銀行 | 稲毛支店 | 普通 | 4058070 |
三菱東京UFJ銀行 | 新稲毛出張所(283) | 普通 | 0873706 |
千葉銀行 | 稲毛支店(003) | 普通 | 4130606 |
千葉興業銀行 | 稲毛支店(130) | 普通 | 1037350 |
京葉銀行 | 稲毛支店(441) | 普通 | 7164211 |
千葉信用金庫 | 稲毛支店(002) | 普通 | 1115304 |
郵便局 | ー | 振替 | 00160-2-558848 |
市川市 岩丸 利恵, 船橋市 越川 重治
やきそば、お好み焼き、おでんなど、屋台の食べ物はお祭りの楽しみのひとつ。規模にもよりますが、お祭りの会場では大量の割り箸が使われゴミとなります。みんながマイ箸持参でお祭りを楽しめれば良いのですが、割り箸リサイクル活動を行うことも、資源の有効活用になり、さらに環境問題について考える良い機会にもなります。
以前、勤務先の高校で、生徒さんたちと一緒に割り箸回収をして下さった越川さんに、学校での取り組みについてお書き頂いた文章を紹介します。みなさんも、自分の通う学校で、お子さんの学校で、地元のお祭り会場で、割り箸リサイクルをしてみませんか。(岩丸)
お祭り会場での割り箸回収に関心のある方へ
担当:CEIC伊原までご連絡下さい。割り箸回収後のルートなどについて、事前に相談させて頂きます。
長年、文化祭で出される大量のゴミは何とかならないかと考えていました。ダンボール等は回収業者に引き取ってもらっていましたが、食品団体の出すトレーや割り箸はそのまま捨てられていました。その時、割り箸リサイクルプロジェクトの存在を知り、その内容を岩丸さんから教わりました。割り箸は使わないのが一番ですが、使われたものがゴミになるのではなく回収され、再び王子製紙で紙に生まれ変わるとの内容は、環境教育にぴったりのものでした。ひとりひとりが集める量はわずかでも、文化祭の間にたまった割り箸の量は4sほどになりました。Think
globally act locally (地球規模で考え、身近なところから実践)のように、まずは自分たちが行動を起こすことに意義があります。割り箸リサイクルの話を生徒にしたら、生徒から食品トレーもリサイクルしたいとの希望が出ました。
食品トレーのリサイクルは、いろいろあたったのですが最終的には近くのマルエツの店長さんに生徒と共にお願いに行き、快くお客さんから集めたものといっしょにリサイクルへ回していただきました。集めた割り箸はわずかなものでしたが、環境への意識は生徒の心に大きく残りました。 (越川)
習志野市 環境漫画家 つやまあきひこ
みなさん、こんにちは。 なぜか日本でただ一人、プロとして活動している変わり者の「環境漫画家」つやまあきひこです。 環境問題の解決の根本は「環境教育」だと思い立ち、会社員を7年前に辞め、漫画家になりました。 朝日小学生新聞・学研・小学館等で児童向けの環境漫画を描いています。 この度、このニュースレターに4コマ漫画「がんばれ!地球マン」を連載する事になりました。 この漫画は過去、NTTが運営する「環境goo」という環境情報サイトで連載したものです。 環境漫画家になった頃のボクの環境問題に対する思いをブラックユーモアたっぷりに連載していきますので楽しみにしておいてくださいね。よろしくお願い致します。 |
船橋市 成島 美憲
偶然、「不都合な真実」の特別試写を見ました。ひょっとして、ゴアのプロモーションビデオでは?なんてところから敬遠していた映画でしたが、「1日だけ大統領になったアル?ゴアです!!(笑)」と始まった講演場面を中心にドキュメンタリーに構成された内容は、「不都合」どころではない、スリリングで大変に興味深い内容でした。
大きな被害をもたらしたハリケーン?カトリーナの発生や、南極の氷が解けるメカニズム。野生動物へのインパクト。降雨地域の移動による干ばつの一方での洪水。気候変動が自然環境や食料分布、ひいては内戦にまで達する様子が、描かれています。
いったい環境の何が問題なのか。そしてそれはどのようなかたちで現れているのか。わたし達に及ぼす影響はなにか。環境活動にはまっている人にも、普段環境に対して、特に関心を持っていない人も、充分なアピールがあると思いました。
内容が進むにつれ、誰にとっての「不都合」なのか、皮肉に聞こえてきました。「問題は、無知ではない。知っているという思い込みだ。」という引用が、印象的でした。行動を起こす時代。「何かを祈る時は、行動もすべき」というアフリカのことわざが紹介されていました。
一人では何もできない、しかし、一人が動かなかったら何もできない。始めは小さくても、個の行動がインパクトを与え、周囲を巻き込み流れを創ることができた時、環境に対する一助となるのかも知れません。
発送お手伝いのお願いニュースレター8月号(第120号)の発送を8月6日(月)10時から 事務所にておこないます。 |
編集後記: 市民の方々と保全活動に取り組んでいる千葉市緑区下大和田では、今、ヘイケボタルがたくさん発生しています。畦の草上で雌を待つ雄ボタルや田んぼの上を淡い光を放ちながらゆっくりと舞うその姿は、我々に何か「ほんのり」とした気持ちを与えてくれます。人といきものが共に生きている空間です。 mud-skipper