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谷津田では二千年前から稲作が始まったと言われ、稲作が多様な環境をつくり、豊かな生きものをはぐくんできました。
しかし、稲作の効率を求めるあまり、農薬や化学肥料の多量な使用や、圃場整備による乾田化、水路のコンクリート化で、生物は徐々に姿を消していきました。今日、開発の波にさらされたり、谷津田のような泥深い小規模な稲作はなりわいとして成り立たなかったり、加えて農業従事者の高齢化と次世代の担い手がいなくなったことにより、放棄田が多くなり荒廃が急速に進みました。
耕作を放棄した田は、ヨシやヤナギ、セイタカアワダチソウなどに覆われ、単一化した環境となり、生物の多様性は著しく劣化してしまいます。
ちば環境情報センターでは谷津田の環境を残すために、ちば・谷津田フォーラムと共にその保全に取り組んでいます。活動の中心は千葉市緑区にある「下大和田谷津田」です。ここも荒廃が進んでいますが、湧水が豊富で、土の水路も残り、千葉市内で最も自然度が高く、魅力的な環境が残っており、2014年、一般社団法人関東地域づくり協会と公益財団法人日本生態系協会によって「関東・水と緑のネットワーク拠点百選」に選出されました。さらに、2015年12月には環境省により「生物多様性保全上重要な里地里山」に選定されました。
谷津田に生息する生きものは、稲作と共に歩んできました。豊かな生態系を維持するためには、昔ながらの湿田での米作りをすることが必要です。私たちの活動は米づくりを中心とし、広く一般の皆さんに谷津の自然と接したり、米づくりを体験したりする機会を提供しています。
また、同じ千葉市緑区の小山の谷津田でも保全活動を行っています。ちば環境情報センターでは、こうした千葉市緑区の二か所の谷津田で保全活動を行うとともに、「谷津田だより」を毎月一回発行しています。
千葉市緑区下大和田の谷津田
2015年12月・環境省発表下大和田谷津が生物多様性保全上重要な里地里山に選定されました。
- 下大和田 谷津田プレーランドプロジェクト(YPP)
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2001年6月から毎月一回、田んぼでのお米作りやどんど焼き、昔遊びなどで楽しんでいます。 「谷津田ってどんなところ?」と興味をお持ちの方、お米づくりを経験してみたいなと思っている方、YPPの活動は大人から子どもまで、はじめての方でも好きな時にご参加いただけます。 家族で、お友達どうしで、もちろん、お一人でも気軽にいらして下さい。
- ちば里山くらぶ
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2013年より毎月一回、林や田んぼ周辺の手入れを行っています。
- 観察会とごみ拾い
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2000年2月から毎月第一日曜日にちば・谷津田フォーラムと共催で自然観察会とごみ拾いを行っています。四季折々の豊かな自然に触れてみませんか。
- 谷津田の米づくり講座
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苗代づくりに始まり、田起こし、田植え、稲刈り、脱穀、もみすりと、お米づくりのすべての工程を体験する講座を千葉市教育委員会の後援を受けて毎年開催しています。申し込みの締め切りは毎年3月中旬です。案内のパンフレットをぜひご覧ください。
千葉市緑区小山の谷津田
- 小山 谷津田プレーランドプロジェクト(小山YPP)
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下大和田とはまた一味違った谷津田で2005年から自然観察会や休耕田を復田した田んぼで米づくりを行っています。
プロジェクトの一環で千葉市立大椎小学校とあすみが丘小学校の五年生のお米づくりのお手伝いも行っています。